今更でゴメン、ChatGPTが便利過ぎる
今更?なんて言わないで。ここ数週間で何度ChatGPTのお世話になったことだろう。
役所関係の手続きや、銀行や公共サービスへの問い合わせをしなければならない事態が続いていた。こういうことって何故か立て続けに起こるから不思議。
以前であれば電話を掛けたり役所や各種サービスのカウンターへ直接出向かなければ出来なかった手続きが、今では自宅からネットでポチッと出来るようになり、便利な世の中になったわ、と思っていた。
が、
問題が発生した時に目の前に人がいない。パソコンの画面に話しかけても誰も返事をしてくれない。
慌てて該当サイトの隅から隅まで目を皿のようにして確認しながらクリックを繰り返し、ようやく問い合わせ番号やアドレスを発見することが出来る。
この時点で既に半パニック状態に陥っているわけだが、出来るだけ早く問題を解決したいと強く願う私は、先ずは電話をして口頭で担当者から直接解決策を聞くのが良いだろうと考えた。
ところが表示されている番号に電話を掛けても誰も出ない。音声アナウンスや陽気な音楽がリピートで流れるばかり。何十分も待たされ、遂には途中で強制的に切られてしまった。
どういうこっちゃ!!
こうなると秒単位でパニック度数が上昇する。
仕方がないので連絡先として書かれているアドレスをクリックしてメールを送付することにした。整理の付かない頭で今の状況をどう伝えたらいいか。心臓がドクンドクンと音を鳴らし始める。
こういう場合、私は先ず英語で状況を書き出すことにしている。
大学のライティングの授業で文章を簡潔にまとめる特訓をしたからなのかもしれない。フランス語や日本語だとどうしてもツラツラと感情的な言葉が出てきてしまい、結局何を言いたいのか分からなくなってしまう。
頭がこんがらがった時に冷静な気持ちで表現できる言語は英語なのだ。
そしてその英語を元にしてフランス語で文章を書き、送信する。
普段ならそうしただろう。でも今回はそうしなかった。
夏の終わりごろに友人とChatGPTの話で盛り上がったのを思い出したのだ。その人もAirbnbをしているのだが、問い合わせでも何でもChatGPTを利用していてとても便利なのだと力説していた。
そんな会話をふと思い出し、何の気なく自分の書いたメールの文章をChatGPTにより良い文章に書きかえて、とお願いしてみた。
すると!なんてことでしょう!ひとつ瞬きをする間に書きかえられた文章がサーッと目の前に現れた。
コアの部分はそのままで、丁寧な言い回しをする単語や熟語が自然な形で付け加えられていた。しかも頼んでもいないのにメールのタイトルまで的確なものが添えられていた。
なななんと!
私の書いた文章はシンプルだった。いや、シンプル過ぎた。明確に相手に状況を伝えようとする気持ちが強過ぎて、フランス語特有の美しい表現を欠いていたのだ。
私の素っ気ない文章を美しい文章に書きかえたのはAIと呼ばれる人工知能。
ひぇ~!!すごすぎん?
以降、ChatGPTが便利過ぎてどうしようもない。
フランス語に限らず日本語でもそうなのだが、私が事務的な目的で書く文章はシンプル過ぎる。印象良くしようとすると、しょーもないいらんことまでツラツラと書いてしまって収拾がつかなくなる。
シンプルと複雑の中間、ちょうどいい具合に仕上げてくれるのがChatGPTなのだ。
もちろん全任せはしない。自分が言いたいポイントを省かれても困るから、とりあえずはいつものように文章を書く。それを自然な形で内容を変えずに美しくて丁寧な文章にデコレーションしてくれるのがChatGPT。
私の書いたメールを読んだ役所の誰かが気持ちよく作業出来るようにと、それだけのためにChatGPTにお願いしている。
でもテクノロジーがますます進化して、そのうち問い合わせメールを読むのも人工知能に任せはじめたら?誰の何のために美しい文章に書きかえているのやら訳が分からなくなってしまう。
昔、役所やサービスカウンターへ出向いていた頃は、担当者に面と向かって話をしていた。表情や身振り手振りを交えて状況の深刻さを説明していた。
時間や交通費がかかって面倒だったし、担当者の横柄な態度に何度も心を押し潰されたネガティブな記憶だが、そんなあの頃が懐かしい、と思う日がやってくるかもしれないなぁ、と何となく思ってしまった。
声を出し、生身の人間と対峙してコミュニケーションを取ることで安心感を得られていた部分もあったと思うから。
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