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【前編】BtoBもファンを大切にする企業だけが勝ち残る-ファンを「売上への貢献度」だけで測ってはいけない理由-

皆さん、こんにちは!令和PRとHELP YOU広報の小澤です。ここ最近、1歳半になった娘の「自分でやる!!!」精神がすごすぎて、自分でご飯を食べたり、衣類を脱いだり、おもちゃを片づけたり…。親がやろうとすると手を払いのけて自分でやる主体性に、ただただ、驚くばかりです。結果、机の上や床は大変なことになっていますが、それもまた成長だと思って向き合っております(笑)

さて、今日は、「BtoBのファン化の重要性」についてです。では、行ってみましょう~♪


ファンとはどんな存在か?

近年、自社顧客とのエンゲージメントを上げていくために、ブランディングにつなげる「ファンマーケティング」が注目されています。元々、ファンといえば、「ファンクラブ」といったアイドルやアーティスト、または特定のスポーツチームなどを熱狂的に応援する人、というイメージが強いものでした。私もかつて、中学生時代に、V6のファンクラブに入っていました(笑)

株式会社ファンベースカンパニーの取締役会長・ファンベースディレクターの佐藤尚之氏は、「ファン」を「企業やブランド、商品が大切にしている『価値』を支持している人」と定義しています(『ファンベース』ちくま新書・2018年)。

▼ファンマーケティングを学ぶ上での良書です

ブランドや商品・サービスには、価格や性能・スペックといった「機能的価値」、その商品にまつわるエピソードやブランドへの愛着といった「情緒的価値」、企業やブランドの社会課題へのコミットへの共感といった「社会的価値」など、様々な「価値」が内包されています。ここで言うファンとは、「情緒的価値」や「社会的価値」に対して真の価値を感じる人と定義することにいたします。

ファンは「熱狂的」でなくとも、日常に溢れている

「ファン」や「推し」と聞くと、前述したようなアイドルやアーティストのファン、というイメージが強いのが現状だと思います。ただそれだけではなく、特定ブランドの化粧品、車、服、コーヒーショップ、レストラン…などなど。日常は、「リピート」であふれていると思いませんか?「熱狂的に」ということだけではなく、安定している・安心感があるという信頼があって、迷わずにそのお店に入り、同じ飲み物を飲む。
例えば、海外に行って、現地のオシャレなコーヒー屋さんはいっぱいあるのに、「スターバックス」があるとホッとして、結局日本でも飲めるラテを頼んでしまうのは、そういった「スタバなら知っている=安心」というまさにブランドが確立している証拠ですね。

以下の有名な「パレートの法則」の概念。売上の8割が2割の顧客によって生み出されるという考え方です。少数であっても繰り返し購入するコアな消費者=ファンが企業にとって最大の利益をもたらしているということです。ファンマーケティングは、こうした「2割」のファンを大切にして共創していくことで、さらなる価値を生み、企業の成長につなげていくという考え方になります。

出典:佐藤 尚之著書『ファンベース』 (ちくま新書)

SNS

▼SNS時代に無視できない【UGC】

UGCとはUser Generated Contentsの略です。いわゆる、ユーザーが作ったコンテンツのこと。企業が打ち出す広告ではなく、ユーザーが自分の意志で投稿するコンテンツのことを言います。
広告があふれる時代において、「心から湧き出る想い・言葉」しか、人に響かなくなってきている、ということを象徴しているのです。

以下は前回の「セルフブランディング」の記事でも書きましたが、SNS時代において、ファンが広報活動をしてくれている数字的な根拠です。

▼SNSをきっかけに物を買ったり、イベントに参加したりした経験
65%がありだと回答しており、Z世代に至っては92.8%がSNSきっかけで何らかのアクションをしています。

▼SNSを通じて「物を購入するきっかけ」になると思う投稿
ただ、誰の投稿でも良いというわけではなく、49%が「友人や知人」のオススメ投稿が参考になっているのです。芸能人や企業公式アカといった、宣伝要素の強い投稿以上に、身近な人の投稿に影響されているわけです。

調査概要
調査対象:Twitter・Instagram・FacebookのいずれかのSNSアカウントを取得 、 閲覧頻度「週に1回以上」、発信頻度「月に1回以下」の 20~30代女性1000人
調査期間:2017年4月21日~26日
調査方法:インターネット調査
調査実施機関:楽天リサーチ

▼ULSSASの概念

AIDMAやAISASといったマーケティング用語における購買行動モデルにおける有名なフレームがありました。しかし、これすら古くなりつつあることを提唱されているのが、飯高氏の『僕らはSNSでモノを買う』に書かれているULSSASの概念。

出典:飯髙悠太著書『僕らはSNSでモノを買う』

最初の起点が、UGCだと提唱されています。そして、このULSSASの6つのポイントにおいて、4つがSNS上で行われているのですよね。もはや、企業として、SNSを無視できないのは当たり前で、いかにして有効活用していくのか?を思考せねばならないことがよく分かりますね。

熱狂的なファンになるまでには段階がある

まずは知らないと何も始まらない。でもそれを、【知り合い経由】で知ることで、「興味がある」に昇格しやすいわけです。だからこそ、SNSにおいて、一定のフォロワー数が重要。それでないと、その後のブランディングも何もありません。まずは、知ってもらう、ということを増やしていくことが重要です。

その次に、「知る」→「好き」へ昇格するには、接触頻度が重要。よくあるのが、「X頑張る!」と始めたものの、2カ月もしたら更新頻度が1週間に1回…。これでは、エンゲージメントは下がる一方ですよね。発信やコミュニケーションを通じて、ファンになってもらい、その接触頻度を上げていくためにも、いかにSNSに時間を投下できるのか?が結局大事になってきます。

BtoCのファン創りからの学び

BtoCの企業、例えば、お菓子メーカーだったら、お菓子を買って食べてくれる人を「ファン」にしなければいけないですよね。
以前、カンブリア宮殿で、ファミリーマートさんやブラックサンダーを製造する「有楽製菓さん」、かつおぶし専門店の「にんべん」さんが熱狂ファンの作り方をテーマに取り上げられていました。以下、少しですがテキストでも読むことができます。

ドレッシングで有名なピエトロも、「ピエトロファンコミュニティ」(「ピエトロ コミュニティ」は2024年3月28日(木)13時をもって終了し、新しいコミュニティへお引越しされる予定です)を運営されています。参加者数:71,787名 投稿数:171,539件という驚異的な数字を叩き出し、ファンの人たちが、勝手にピエトロを使ったレシピを公開し、レストランの感想をシェアしてくれている形です。

こういった取り組みから、ファンがファンの人たちとつながって、会社やサービスへの愛を語りたい!という場を作っているのだと言えますね。コミュニティ運営は、最初は熱を帯びるものの、徐々に冷めていくものですが、それを燃え続けさせることには、戦略が必要だと非常に感じます。

BtoCのファンマーケティングはとても進んでいるので、見習うべきことがたくさんあると思っています。

「好き」への投下は可処分時間の奪い合い

人間には、1日24時間しかありません。仕事8時間、睡眠8時間、食事3時間を除いたら、残り5時間しかありません。「好き」への投下時間は、5時間の奪い合いなわけです。

かつて、娯楽がテレビしかなかった頃は、クラスの大多数がHEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP、学校へ行こう、めちゃイケを見ていました。「好き」がみんな一緒だった時代でした。ただ、今の時代は、情報が氾濫を起こし、YouTubeを見る人がいれば、ピエトロのファンコミュニティに参加する人がいれば、Instagramを見る人がいれば、Webメディアを見る人もいる。「好き」が多様化している時代の中で、いかにその5時間を自分たちへ惹きつけるか、という戦いになっているわけです。

だからこそ、企業としては、より秀逸なターゲット設定とファンの心を掴み続ける仕組みを作っていけるか?が勝負の分かれ目になりますよね。

BtoBとBtoCの違いは「ファン」になってもらう対象の違い

更には、BtoB企業でいくと、正しく認知してもらうこともママなりません。
BtoBの場合はお金をもらうのは顧客かもしれませんが、ファンになってもらうのは、顧客だけではなく、取引先だったり、パートナー企業さん、外注企業さん、何なら、従業員かもしれないし、従業員の家族かもしれません。

★社員「私、○○で働いているんだよね!やりがいがあって楽しい!」
ママ友「そうなの!?じゃあ、私も応募してみようかな」

とある経営者「広報に困っているんだよね」
★パートナー企業さん「あぁ、それなら令和PRってのがあるよ!」

といったように、知り合いが知り合いに紹介してもらえるような会話が生まれていくわけです。ただ、どちらのケースも、★の人が、本気でその会社のファンじゃなかったら、紹介はしてもらえないですよね。

なので、顧客が商品やサービスを利用した時に得られる、感情や精神的な価値である「情緒的価値」にこそ、比較的ファンになりやすい要素があるんだろうと思っています。その企業自体が今までどういうことをやってきたのかという過去、今やっていること、未来という時系列でも、興味関心が持てるポイントは増えているんじゃないかなと思っています。

ファンを作らないと危険な社会的背景

また、技術力が上がっている昨今、コモディティ化が進み、製品やサービスについて、性能・品質・創造性・ブランド力などに大差がなくなり、顧客からみて「どの会社の製品やサービスも似たようなもの」に見えるようになった状況になってきています。したがって、製品力だけで訴えても、いずれ、より高品質な製品・より安い製品は生まれてしまい、競合に取って代わられてしまうわけです。

更には、スノーピークの純利益99.9%減といった衝撃的なニュースがあったように、業界全体の構造が変化したり、ムーブメントが起こった後の失速だったり、「飽き」といった顧客離れがあったり‥といったことは、いつの時代もあることです。だからこそ、「なぜ、その製品を選ぶのか?」といった理由、ひいては、「なぜ、その【会社】の製品を選ぶのか?」が必要になってくるわけです。

「ファンを売上だけで測らない」ことの重要性

ファンの人たちの企業への貢献として重要なのは、ベースに「愛」があって、その上で、「知識」「売上」「推奨」というものがあると思っています。売上はすごく大事だと思うのですが、企業やブランドによっては「売上で貢献できないファン」もいるのではないかと思っています。

例えば高級車があって、買えるお金を持っていない中学生がいる。その中学生をその高級車のブランドは「ファン」として認定するかと言ったら、認定していないと思います。ただ、その中学生は、その高級車のことをとてもカッコイイと思っていて、これまでのニュースをスクラップし、他の高級車との違いに関する知識量も持っている。そして、熱量高く自分の親や親戚のおじさんに「この高級車、すごくカッコいいんだよ!性能も抜群!」と推奨し、結果的に、大人がその高級車を購買する意欲に繋がっていくかもしれない。

中長期的な視点は絶対的に必要ですが、「売上がないからこの人はファンじゃないよね」と近視眼的に結論付けてしまうのは、とても勿体ないことだと感じます。未来永続的に発展していく企業にとっては、「売上」だけでなく、「愛」「知識」「推奨」という観点で、ファンを認定していくことが、非常に重要だと感じています。

だからこそ、中長期的なPR視点を持つことは重要ですし、マーケティング・採用において、ストーリーやエモさが絶対必要だと感じています。

では、BtoB企業で、どのような形でファン作りをしていったらよいのか?という具体をお伝えしようと思いますが、この時点で5000文字になってしまったので(汗)、次回、改めて、お伝えします!

最後まで読んでいただいて、ありがとうございましたm(__)m


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