見出し画像

ばぁちゃんと醤油チャーハン

小さい頃から、ばぁちゃんはよく褒めてくれた。

「やっちゃんすごいねぇ。あんでも器用にできんだかんよぉ(なんでも器用にできるんだからさぁ)」

千葉の茂原にいたばぁちゃんは少々なまっていたので、こんな口調だった。

幼稚園から小学校低学年くらいは、時折ばあちゃんちに預けられた。
行くときは半日~1日は過ごしてた気がする。

ばぁちゃんに料理をつくりたい

小1か小2のある日、NHK教育テレビの「ひとりでできるもん」に触発されたためか、「ばあちゃんに料理をつくりたい」と思った。

料理としてちゃんと作れそうなものが、たまにオカンが作ってくれる「醤油チャーハン」だった。

ピーマンとネギとハムを刻んでご飯と炒めて、塩コショウとお醤油で仕上げ。割と好物だった。

はじめてのチャーハン

ばあちゃんちにある中華鍋を取り出して、不恰好に切った食材と冷やご飯を炒めて、初めての醤油チャーハンをつくった。

処女作は、醤油入れすぎで塩っぱくてご飯もダマになっていた。

それでも、ばあちゃんは「美味しいよお」といってくれた。

そして一口で食べるのをやめた。

私の祖母はとても正直な人間だった。

かわいい孫とはいえど、高血圧の塊のような醤油チャーハンを完食してくれはしなかった。

自分でも食べきれないマズさだったので、味は思い出せる。

だから料理を特訓し始めた

その後、悔しさをバネに時折ばあちゃんちで料理の自主練をしていた。

割と小学校高学年になるころには美味しいものを作れるようにはなっていた気がする。

あのとき「うんめぇよぉ」と完食されて満足しちゃっていたら、料理うまくなってなかったかもと思う。

そう思うと、ばあちゃんに感謝したくなる。

***

あの頃、料理を自主練する小さな私にばあちゃんはこうもよく言った。

「やっちゃんありがとね。でもアタシはかっぱ寿司が好きだかんよぉ」

さすがに、正直すぎる😇

#祖母 #エッセイ

サポートいただけたら、嬉しくて本屋に行くと思います・・・笑