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“Ave Maria” – 私とマリア様

私とマリア様

私は聖母マリアを讃える色の濃い、カトリック系の学校で全学生時代を過ごしています。

あ、こら、そこの君。
意外だとか言わないんだよ〜(´・ω・`)


なんというかね、私にとってマリア様は、『憧れ』とかそういう世俗的な言葉では表せないくらい尊い方です。
毎年5月は聖母月といってマリア様の月のため、
聖歌朝礼も校内放送もマリア様を讃える歌一色になり、
学校中がマリア様マリア様となる素晴らしい月だったなあ(遠い目)。

5月の青空は、マリア様のベールの色と同じ…(うっとり)。

校門にも裏門にもマリア様の像があり、その学校に通う人はだいたいみんな会釈をして通っていくのでした。

幼稚園生や小学生は大きい声で「マリア様おはようございます!」なんて元気よくやるわけですが、
思春期真っ盛りの中学生高校生なんかは素通りしたりもするわけですよ。

私はその思春期の時もずっと会釈してました、遅刻して走り抜ける時も←

そんなマリア様漬けな学生時代を過ごしたので、あらゆる神話、宗教に出てくる神様や聖人の中でも、
とりわけマリア様にはとても特別な思い入れがあります。

多感な時期に憧れたものは、その人の一生涯を通じて憧れの対象になる。というわけですね(*´ω`*)


かの、バチカン内外で物議を醸したメル・ギブソン監督の映画『The Passion of the Christ(邦題: パッション)』を観た後は、
マリア様に感情移入しすぎて号泣したくらいです_:(´ཀ`」 ∠):


そんな私と同じくらいかそれ以上に、マリア様を尊いと思っている人たちがマリア様を想って書いた名曲が、私の心に響かないわけがないのです…。

※なお、私は洗礼を受けておらず、信者でもありません。


それらの曲を書いた人たちの、宗教への信仰心や忠誠心がどうだったかはわかりませんが、
何百年の時を経て今もなおたくさんの人々に愛されている曲ですから、
その美しさや秀逸さは折り紙付きなわけですね。

“Ave Maria”はラテン語で、日本語(文語)に訳すと『めでたし、マリア』。
口語訳では『恵まれた方、マリア様』みたいな感じでしょうか。
Wikiを見たら『こんにちは、マリア』という解釈もあるらしいけどそれは全然しっくりこない(敬意が含まれてない感じがするので)…


尊くて遠い存在なマリア様に、畏多くも呼びかける


そんな気持ちを込めた言葉だと私は思っています。

三大 Ave Maria

さて、そんな素晴らしいタイトル”Ave Maria”を冠した曲は世の中に数あれど、
“三大 Ave Maria”と呼ばれている3曲があります。

まずはその中でも、私が配信やアコースティック・ライヴで歌うことがある曲でもあり、最もみなさんに耳馴染みがあると思われる”Ave Maria”、『グノーの”Ave Maria”』について、紹介したいと思います。

・グノーの”Ave Maria”

フランスの作曲家、シャルル・グノー(Charles François Gounod / 1818-1893)が、音楽の父・バッハ(Johann Sebastian Bach / 1685-1750)の曲にメロディーをつけたもの。
ですので、作曲者はグノーとバッハが併記されることもあります。
全編を通じて、バッハらしい分散和音がとうとうと流れるこの曲。ハープとかで演奏されたら死にますね。確実に。
グノーのメロディーは儚くも力強く、祈りの言葉との相性も抜群で、最後の最後に”Amen”で締めくくる時にはまさに昇天モノの絶品度を誇る…(*´ω`*)

この曲の歌詞は上述の通り、『マリア様に捧げる祈り』そのものでして、聖書にも祈祷文が載っています。

————
Ave Maria, gratia plena
Dominus tecum
benedicta tu in mulieribus,
et benedictus fructus ventris tui, Jesus.
Sancta Maria, Mater Dei,
ora pro nobis peccatribus,
nunc, et in hora mortis nostrae. Amen.
————

カトリック聖歌集627番


私はこのラテン語の祈祷文の歌詞しかないものと思っていましたが、
今回記事を書くに当たってグノーについて調べたところ、


『更に1859年には当時のフランス・ロマン派の大詩人アルフォンス・ド・ラマルティーヌの書いた歌詞が付けられて出版されています。』

引用元: http://www7b.biglobe.ne.jp/~lyricssongs/TEXT/S1592.htm


という事実も知ることができました(о´∀`о)

まぁ、おフランスの方ですし、おフランス語版もないとねって感じでしょうか。

それはさておき、
このメロディー、優雅で美しいだけではなく、度々、苦悩の色を見せるんですよ。

「私のような小さき者が、尊いマリア様に直接お伝えしてよいのか、わかりませんが」

そんな風にも感じ取れるような、遠慮というか苦悩というか、そんな色合いを見せる部分が本当に素敵なの。
私も歌う時は、このように苦悩というか遠慮というか葛藤というか(笑)、そのようにしながら歌うようにしています。


YouTubeに上がっている中では、私はこちらが好きです。
歌っているDiana Damrauさんはとても好きなオペラ歌手なので、贔屓目もあるかもしれませんけれど…

彼女についてはまた別の記事を書きますが、とにかく聞いてみてください。

私はこの曲のポイントは、最初に来る山『benedicta』の”be”をどれだけ敬虔な感情を込められるかだと思ってまして…

高音だからといって強く出しては雰囲気が壊れるし、
かといってこの音域をソフトに歌うとハリに欠けるしで、
もうなんというかね難しいんですよ本当に!

それからもう一つのポイントは、やはりラテン語歌詞であるということ。

ラテン語の発音は、イタリア語話者にとっては難しくないと思いますが、
べったりと音が乗るようでいて軽やかな子音もあり、もうお前なんやねん難しすぎるやんけと私は思います。
英語話者にとってもラテン語は難しいだろうな…(;´Д`)

厳密さを求めれば求めるほど迷子になりがちな曲ですが、

・メロディーは優雅だが、歌詞の言語の発音がきつめ/くどめ

という曲は宗教曲の大半を占めるでしょうけど、一見簡単そうに見える/聞こえる曲ですが難易度は鬼…
※鍵盤の分散和音も、スローテンポなので鬼度は増し増しですね!

私なんかが理想の完成度で歌うのは恐らく一生かかる…

でも完成度を高めるには歌い続けるしかない…

これからもレパートリーのうちの一曲として、大事に大事に歌い続けたいと思います。


原曲はハ長調 (C Major, C-dur)で最高音がE。
むかーしむかしは、Eがきつかったのですが、高音がどんどん出せるようになったので、以前アコースティック・ライヴで歌った時は4音上げたバージョンのト長調(G Major, G-dur)で歌いました。
高音を競うわけではないですが(これまた別の記事に書きますが、高音が歌える=最強 という風潮が嫌いです)、転調により最高音はBになります。


本当の本当の本当は、転調というのは好きではありません_:(´ཀ`」 ∠):


Aという音にはAという響きがあり、一度原曲を聴いてその響きを覚えてしまうと、
転調するとどーーーーしてもしっくりこないからです…なので安易には転調したくないのですが、自分の得意な音域で既存の曲を歌いたかったので、転調せざるを得ませんでした。


ごめんねマリア様、グノーさん、お父さん(バッハ)。

・カッチーニの”Ave Maria”

さて、次にもう1曲の方、『カッチーニの”Ave Maria”』について書こうと思います。

と、なんだか出オチになるんですけど、
『カッチーニの”Ave Maria”』として紹介しますが
この曲の作曲者はイタリアの作曲家、カッチーニ(Giulio Caccini / 1545-1618)ではない説が非常に濃厚でして…!

ロシアのギタリスト/作曲家、ウラディーミル・ヴァヴィロフ(Vladimir Vavilov / 1925-73)が作った曲なんだそうです。

うーん、まぁ、確かに、この曲のメロディーは現代的であり、カッチーニの時代ではちょっとありえない(バロック音楽の頃、バッハお父さんよりも昔)感じですもんね…。


この作品の世界初録音は、メロディアから発売されていたヴァヴィロフのアルバム《ルネサンスのリュート音楽》に収められています。録音は1970年、16世紀の作者不詳の《アヴェ・マリア》としてクレジットされていますが、音楽は、今知られているものとほとんど同一のアレンジです(冒頭のリュートのソロの和音が少し耳新しい程度の違い)。リュートとオルガンの伴奏で、リュートはヴァヴィロフ自身が弾いています。

引用元: http://matsudaira-takashi.jp/analysis/vavilov/


と、この説の根拠としても捉えられる事実が書かれた記事を見つけました。

この”Ave Maria”、『グノーの”Ave Maria”』の歌詞はラテン語の祈祷文を使っているのに対し、
この曲の歌詞は”Ave” “Maria”の二語しかありません。
さらに、歌い手にとってはブレスがとんでもなく難しい曲であるあたり、
歌ありきの曲として書かれたわけではなく、元々はリュートで演奏するための曲だったと言われると、納得できちゃう部分もありますね。

まぁそれはいいんですよ。
とにかく。

この曲は、アコースティック・ライブの日のMCでも話しましたが、
イントロが神なのです…

そして歌に入る直前の下降していくベース音…

このたった4つの音で、天界の情景を描くような神聖さのイントロと、祈りを紡ぐ歌の部分をとてもうまく分断かつ導入していて、
さぁ、始まりますよ、という語りかけになっていまして(全部私の解釈です)。

グっときますね…(´;Д;`)

さらにさらに、絶妙な音域で始まる歌、ですよ。

この出だしの一音、超絶真剣勝負です。
この一音がこの曲の歌の印象のほとんどと言ってもいいかも、、、

ですので、この歌い出しがめちゃくちゃ決まってる『カッチーニの”Ave Maria”』を聞くと、そのたった一音だけで涙が出てしまいます(´;ω;`)

マリア様ぁぁぁあああぁぁ(´;ω;`)

この曲は先述の通り、歌詞が二語しかありません。
つまり、歌詞に感情表現をリードしてもらうことが不可能なため、
歌、音、声、歌い方(全部同じようで別物)で表現しなくてはならず、
これまた上述の通り、ブレスが大変困難な曲なので、

難易度は鬼レベル

です。・゜・(ノД`)・゜・。

もう一つ言ってしまうと、クラシックの曲は一番と二番は表現を変えないといけないルールがあるので、
この鬼難しい歌を二周も 考えながら歌わないといけないのですwwwww


誰や、この曲を最初に歌おうとしたのはwwwww

あほか!

めっちゃええやんけ。

というわけで、この曲も理想の完成度で歌えるようになるには相当な時間を要しますが、
演じてみないと始まらないので、この曲も私のレパートリーとして長く歌わせていただきたいと思っています。

数ある演奏動画の中でも、私が好きなこの曲の動画は、Elisabeth Kulman(エリザベス・クールマン)さんによる歌唱のものです。

聴いてください、この方の柔らかで包み込むような中音域…(´;Д;`)

とっても豊かな響きですよね。

メゾ・ソプラノでもいらっしゃるようなので、下からしっかり支えられた高音が大変心地よいです。

私があらゆる女性オペラ歌手の中で(そんなに沢山は知りませんが)一番大好きなCecilia Bartoli(チェチーリア・バルトリ)さんも、メゾ・ソプラノなので、
私はもともとメゾ・ソプラノ的な声質が好みなんでしょうね〜( ´ ▽ ` )

Diana Damrau(ディアナ・ダムラウ)さんも、ソプラノの中でも厚みのある声質をお持ちですし(が、儚い歌はめちゃくちゃ儚く歌える人なので訳がわかりません)!

ちなみに、私の声質そのものは、かのFabio Lione(ファビオ・リオーネ)先生からすると、ソプラノの高音域が出るけど、がっつりメゾ・ソプラノだそうです(`・ω・´)
※このエピソードはまた後日!

記事の最後の方は脱線してしまいましたが、
『カッチーニの”Ave Maria”』はとても素敵な曲なので、
誰が作ったかは問題ではなく、
みんなたくさん聴いてくださいね。

『三大”Ave Maria”』のうち2つについては紹介できましたので、また今度は残りの1つ、『シューベルトの”Ave Maria”』について書きたいなと思っています。
これも美しいんですよね〜(*´ω`*)

いずれの”Ave Maria”も、いろんな楽器の組み合わせ、調で演奏されることが多く、
メロディーをヴァイオリンで演奏される機会はピアノやヴォーカルと同じくらい多いように感じます。

またいつか、みなさんにお聴かせできる機会があるといいなあ(*´ω`*)

ではでは、また(*´ω`*)

※こちらの記事は、2019年12月に私の個人ブログで発表した記事を一部編纂した上で転載したものです。ご覧いただき、ありがとうございます。


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