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苦味料のはなし

前回は酸味料という酸っぱい味を付ける添加物の話でしたので、今回は苦味料という苦い味をつける添加物について書きます。

苦味ってあまり良いイメージではありませんね。口にした食品や飲料がヘンに苦かったりすると、「これ、傷んでる」として食べなかったりしますが、食品によってはわざわざ苦い味付けをすることがあるんです。例えばビールだとか、コーヒーだとか。そしてこの苦味、適度にあると胃を刺激するのだとか。胃酸や消化酵素といった胃液の分泌を促す作用があるのだそうです。

もう少し詳しく書きます。味覚として感じる味には主に四種類(酸味、甘味、塩味、苦味)、最近はもう一つ「うま味」を足して五つあるとされています。食品が傷んだりするとヘンな臭いがしたり苦くなったりすることが多いようですね。そこで、苦味は舌の奥で感じてうっかり飲み込まないようにという見張りのような位置付けとして知られてきました。

私もそのように教わったように思うのですが、最近はこれが否定されている傾向にあります。舌の表面にあって味を感じる構造を「味蕾」と呼びますが、一つの味蕾の中に先ほど挙げた五種類の味を感じ取る仕組みが一通り備わっているというように、この説が変化してきています。とはいっても、感じ取る味のの強さがそれぞれ違うようなので、酸味を強く感じる味蕾がある一方で、苦味を強く感じる味蕾もあるといったところだそうです。知らなかった・・・。

味覚の話はこれくらいにして苦味料ですが、このグループに含まれるものは全て天然系の添加物に限られています。カフェインがそうですし、ビールに用いられる苦味の素であるホップと呼ばれるもの等がそうですね。人工的に作ったものもあるようですが、それらも合成した薬品ではなくて普段口にする食品の成分と同じものなのだそうです。

苦味も味の重要な要素の一つです。食品や飲料によっては苦味が特徴になっている場合もありますので、添加物として使用して苦味を強調する場合もあるわけです。また、食品の味を調整するためという場合もあります。甘さだけでは単調になりますから、そこに少し苦味を加えることで味を引き締めるなどの効果をもたらすという事ですね。

苦味は強調され過ぎると、その食品の味を損ねてしまうかもしれません。苦すぎるチョコレートって食べにくそうです。味もそうですが、香りにも影響を及ぼすことがあるようなので、過剰摂取は要注意ですね。といっても自分で摂取したものではなくて、食品に添加されて商品化されたものですから、消費者にはどうしようもないことのようですが。

苦味料はもう一つ、健康上の問題になりかねない要因を含んでいます。例えば、過剰摂取をすると、人によってはアレルギー反応を引き起こすかもしれないという危険性です。他にも、ある種の苦味料ではがんになる可能性があるとの報告があったり、腎臓に悪影響をおよぼす可能性があるという報告があったりしているようです。カフェインについてはよく知られているところですね。

こういったこともあるので、苦味料の使用についても厳しく規定されていますが、私たちも過剰摂取には注意を払う必要があります。使用する場合はもちろんですが、消費者として食品を購入する場合も成分表示をしっかりと見るなど、情報をしっかりと集めたうえでの摂取を心がけることが望ましいようです。

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