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21、フィトケミカルの話

今回は、栄養素という意味では7番目に登場する「フィトケミカル」について書く事にします。


フィトケミカルって、何ぞや?

フィトケミカルという名前は、未だ馴染みの無い方が多いかもしれません。少し前まではファイトケミカルと表記されていた記事もありました。「ファイトケミカル?戦うのか?」そう感じる人がるたかもしれませんね。現在は両方の表記が混在していますが、指しているモノは同じです。ここではフィトケミカルと表記することにします。

フィトケミカルはあくまでも総称であって、一つひとつは結構知っている方も多いものでではないでしょうか。たとえばカテキンだとか、ポリフェノールだとか、イソフラボンだとか。この名前ならご存じの人が多いはずです。かなりたくさんありそうだと感じている人もいるでしょう。実際、1500種類以上が存在すると言われています。

まずフィトケミカルの意味ですが、これは「植物に含まれている化学物質」という意味です。フィト(phyto、植物)とケミカル(chemical、化学物質)を組み合わせた言葉なんですね。なぜこのような化学物質が植物中に存在するかというと、植物は土に根を張るので動けませんよね。ですから、紫外線や昆虫など(時には動物もですが)、植物にとって害を与える存在から体を守るためには何か対策を講じなければなりません。

紫外線から身を守ろうとすればフィルターが必要になりますので、そんな働きがある色素を作り出すという事をします。あるいは昆虫にかじられると枯れてしまうかもしれませんので、虫除けとでもいうのか。昆虫が嫌う香りや辛味などの成分を作ったりもします。植物自体は繁殖のために昆虫を引き寄せる必要があったりもしますので、この辺りはツラいところかもしれません。

ところがこの身を守るために作り出した成分が、人間にとっては健康を保つうえで有用なものだったんですね。ですから、ぜひとも摂り入れたい成分として、最近はとくに注目を集めているんです。だからと言って、必須の栄養素かというとそうではありません。〇大栄養素という言葉がありますが、この表現で言えばフィトケミカルは7大栄養素ではじめて入ってくる名称です。重要なんだけども必須とまではいかない、そういう事のようです。

何をする成分?

どんな働きがあるんでしょうか、気になりますよね。じつは1980年代と言われています。この時期は(アメリカの話ですが)国民のがんになる人が増えているために問題になっていた時期です。そのため、アメリカの当局が「いったい何故だ?」と理由を解き明かすために、アメリカ国民の食生活を調査していたんです。そんな頃に国立科学アカデミー(これもアメリカの話です)というところが発表したレポートが話題になりました。

その内容は「脂肪の摂取量が増えると、がんになる人も増える」「しかし、野菜の摂取量が増えるとがんの罹患率が下る」というものでした。こんな事を聞いたら誰だって飛びつきますよね。アメリカではがん研究所が飛びつきました(ホンマかい!)。そして、野菜に含まれる成分を徹底的に調べ上げて、がんの予防に効果がありそうな成分を特定したといいます。その数、およそ600種類。

それを更に重要度の順に並べて40種類ほどに絞り込みを行って公表したといいます。そんな事を聞いたら国民だって飛びつきます。そうしたら、本当にがんの予防効果があったのでしょう、罹患率も脂肪率も下がり始めたといいます。そんな経緯があって知られるようになったんですね。

今書いた通り、大変な数になっていますので、ここで全部を紹介しきれません。次回から、主なものに絞って紹介していきたいと思います。

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