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豆腐用凝固剤というものがある

今回の対象は豆腐用凝固剤という食品添加物です。名前を知ったとき、私にはちょっと違和感がありました。これって食品添加物になるんだ~といった、妙に納得のいくようないかないような、ヘンな気持ちになったんです。まあ、私の感覚はどちらでもよいとして、凝固剤がないと豆腐は成り立ちませんので、その意味で食品添加物の範疇であることは理解できます。一般的に「にがり」という名前が知られていますが、豆腐用凝固剤っていったいどのようなものなんでしょうか。

豆腐を作る過程をざっくりと説明すると、先ず大豆から豆乳を作ります。次いで、そこに凝固剤を加えて固めます。手順はこれだけなのですが、添加物としてもう一つ加えるものがあるそうです。それは「消泡剤」と呼ばれる物質。豆乳を作る過程は、先ず大豆を細かく砕いて煮沸するという工程があるのですが、このときに泡が出るので、これを消すために使用するのだそうです。そうしないと、出来上がったときの豆腐の食感に影響を与えたり、日持ちが悪くなったりするということでした。豆腐を作るときには、二つの添加物が使用されているんですね、ちょっと意外でした。

さて、この凝固剤ですが、いくつか種類があるようです。代表的なものは「にがり」と呼ばれるもので、これはご存じですよね。私も名前くらいは知っていますが、具体的なことなどの詳しいところまでは分かりませんので、調べてみます。

豆腐に用いられる凝固剤としては、4つのものが知られているようです。

一つ目は「にがり」、これはよく知られていますが、「その性質は?」と尋ねられると答えに詰まってしまいますが、塩化マグネシウムというのがにがりの正体なんですね。これは海水から塩をとった残りのものから作られます。にがりの主な性質は二つ、水に溶けやすいという点と、もう一つ豆乳の凝固反応が速い(速効性)という事です。という事は、豆腐を作るうえでにがりを使う場合、凝固に技術を要するともいえます。町の豆腐屋さんって、実はすごい技術を持っている職人さんなんですね。そして、にがりを使って固めた豆腐は、大豆の甘みなどを引き出すという優れた特徴があります。最近のグルメ志向などもあって、徐々ににがりの需要が増えているようですね。

二つ目は「硫酸カルシウム」です。硫酸と聞くと、ちょっとビクついてしまうかもしれませんが、澄まし粉という名前で使用されている凝固剤のひとつだということです。水に溶けにくいという性質があるのと、凝固する力もどちらかというと弱いという特徴があります。一見マイナスポイントのようですが、これが実は豆腐を作るうえではメリットになっていて、これを使うと豆腐がゆっくりと固まるので、とても滑らかに出来上がるんです。

三つめは「塩化カルシウム」。これも海水から塩をとった残りの成分のひとつですが、これは豆腐の凝固剤としてはあまり好いものではないようです。性質としては、水に溶けやすいこと、凝固力が強いこと、凝固の速度が速い事が挙げられます。ただ、豆腐を作ると味が落ちるとの評価があるということで、豆腐ではなく油揚げや凍り豆腐用の方に使用されているということでした。

四つ目は「グルコノデルタラクトン」という物質で、いかにも薬品といった感じの名前ですね。これはデンプン由来のもので、性質は水に溶けやすいという点です。豆乳に均一に溶かすことができるということは、豆腐を作るうえで大きなメリットです。加えて、凝固の速度が遅いという性質があるのですが、これは機械を使って豆腐を作るうえで非常に適しているとされています。そのため、保水性に富むなめらかな豆腐を作ることができるということで、絹ごし豆腐に適しているのだとか。

こうしてみると、食品添加物の種類として、豆腐というように特定の食品に使う添加物で独立している種類のものがあるんですね。ただ、最後に挙げたグルコノデルタラクトンという物質は、豆腐以外の食品にも別の種類の添加物といった役割で使われているのだとか。それだけ様々な活躍をしているものもあるんですね。

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