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46、アンドロゲンの話

ちょっと長い期間の空白がありましたが、今回から再開することにしました。以前はテストステロンの話でしたが、今回はアンドロゲンの話です。今から〇十年前に学んでいた頃にどんなものだと教わったか、忘れちゃいました。それでもう一度最初から調べていくことにしました。

アンドロゲンは総称

昔は「アンドロゲンというのは~」といったような教わり方だったと思いますが、現在ではアンドロゲンは「男性ホルモンと同じ機能を有する生体内物質の総称」となっています。総称というくらいですから同じような働きを持つ物質が他にもいろいろと存在しているという事ですね。

前回のテーマだったテストステロンもアンドロゲンの一つですし、他にも名前だけを挙げると「アンドロステロン、アンドロステンジオン、デヒドロエピアンドロステロン」なども含まれます。そしてアンドロゲンはホルモンの中ではステロイドホルモンという分類になります。ステロイドホルモンとは、その物質の中にステロイド核を持つ構造をしているという意味です。

作って分泌する場所

男性ホルモンとは言いますが、男性でしか分泌されないという訳ではありません。ホルモンですから女性の身体でも作られて分泌されています。ただ、どこで作られるかというと男性が精巣のライディッヒ細胞というところで作られるのですが、女性はこの構造をもちませんので卵巣で作られます。

女性の場合、卵巣で作られたアンドロゲンは代謝によってエストロゲンに変換されるんですね。エストロゲンについてはまだ書いていませんでしたので、いずれここで書くことにします。
また男女ともに副腎で作られることが分かっています。この場合、副腎の皮質がその場所にあたります。

アンドロゲンもホルモンですからそれぞれの場所で作られると血液中に分泌されるのですが、じつは肝臓で不活化されてその働きを失います。血液の流れに乗ってそれぞれ目的の臓器に辿り着くと言っても、こんな落とし穴があったんですね。そうすると、消化管から吸収した栄養物は血液を介して肝臓に運ばれますから、この方法でアンドロゲンを摂取しても効果が期待できない事になります。実際に治療などの目的でアンドロゲンを経口投与したとしても、ほとんど効果がないということです。それで、投与は一般に注射によって行われるということでした。

作用

アンドロゲンは男性ホルモンですから、その働きは「第二次性徴を促し発現させる」というものが有名です。その他にもたんぱく質の同化を促進させて筋肉を増強させるとか、声変わりにも関わっていたりします。

アンドロゲンがもつ働きの中にはちょっと困ったものも含まれます。例えばにきびや脱毛(抜け毛)、あるいは前立腺の肥大など、とくに前立腺の肥大などは疾患にもつながりかねない悩みに直結するような作用もあるんです。

そして、前立腺がんの増殖にも深く関わっていることが分かっています。ですから前立腺がんの治療を行なう場合はアンドロゲンの生産を抑えたり、アンドロゲンの働きを抑制したりするといった様々な方法で、アンドロゲンががんの細胞に作用しないようにする薬を使うようです。

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