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「うまい」と「うま味」とは違う?

今回はちょっと衝撃的な言葉になりましたが、こんなタイトルの記事を見つけたので、取り上げてみようと思います。うまいって感じる味は、その人の主観や経験によるところが大きいんじゃないかと思うのですが、記事にはどんなことが書いてあったのでしょうか。

まず、ヒトの体は「食べたものでできている」とのことでした。どこかで聞いたことがあるような言葉ですが、確かにそうですよね。それはともかくとして、「うまい」と感じるときは、実はそのヒトが不足している成分を欲していることがあるのだそうです。といっても、甘いものが欲しいときは疲れているときのことが多いので、栄養成分ばかりではなく、その機能が必要で欲していることもあるようですね。

その中で「うまい味」を欲しているときにはどんな栄養成分が不足気味なのかというと、たんぱく質が関係しているとのことでした。たんぱく質を作っている成分はアミノ酸と呼ばれるものですが、これはご存じですよね。およそ20種類が存在していますが、量的にはばらつきがあるものの、どの成分もヒトの体に含まれています。

その中で最も多いとされているのが「グルタミン酸」なのだとか。体重全体の2%くらいを占めているのだそうです、多少の誤差を含んでいるようですが・・・。

さて、前回だったかに書いた内容で「うま味」と「旨味」は意味するものが異なるというものがありましたが、グルタミン酸は「うま味」の方の成分のひとつです。5つの基本の味のひとつが「うま味」ですから、特定の成分を指す言葉でしたよね。グルタミン酸だけを取り出して結晶を作ったとしたら、どんなものになるでしょうか。

じつはグルタミン酸ってまったく香りのない物質なので、それこそ全然味気のないものなんです。おいしさという事になると、香りや食感、雰囲気、彩り、盛り付けなどの見た目も含めた総合的な姿、すなわち「旨味」にならないと具合が悪いんですね。私には実感が湧きません。実際に舌の上にのせて味わってみないとピンと来ないのですが、そんな機会もないでしょうし、必要もないでしょう。

さて、今回の表題にした内容に戻ると、こんなことが言えるんじゃないでしょうか。「うまい」と「うま味」は別物ですが、「うまい」と「旨味」は密接に関係があるんじゃないかと。

ヒトの体の中で、これだけの量を占めるあるグルタミン酸は、体内でどんな働きをしているんでしょうか。これだけ量が多いのですから、さぞかし重要なんだろうなと思いませんか。

私たちが口にする食べ物をざっくりと分けると、動物性の食品と植物性の食品、あるいはそれらを一緒に調理したものなどになりますが、動物性食品ではグルタミン酸の含有量が1割余りを占めているのだとか。植物性の食品に至っては4割くらいになるのだそうです。そりゃヒトの体の中で占める量が多くわけです。

そんな大量にあるグルタミン酸はというと、腸で吸収されますが血中濃度は上昇しません。他のアミノ酸は腸で吸収されたら血中濃度が上がるんですが、グルタミン酸はどこに消えてしまうのでしょうか。じつは腸でそのまま消費されてしまうんです。腸にとって、グルタミン酸は非常に重要なエネルギー源として利用されているんです。そのため、吸収したものを片っ端から使ってしまうというわけなんです。

にもかかわらず、体内では非常に大量に存在していることも事実です。いったい何のため? おそらくですが、腸でエネルギー源として利用されているわけですから、同じようなメカニズムで他の臓器でも使用されているんじゃないか、そのように考えられているんです。

しかも、しかもですよ、人間の脳ではグルタミン酸をさんざん消費しているにもかかわらず、その一方でしっかりと生産もしているのだとか。その材料はグルコース、つまりブドウ糖です。そして、どれくらいの量のグルタミン酸を脳で作り出しているかというと、1時間当たりで700グラムほどになるそうなんです。これはものすごい量ですね。しかも、それと同じくらいの量のグルタミン酸を脳が消費しているとされているんです。

「この消費と生産の速度はいったい何なんだ?」と思いませんか。不思議ですよね。そんな話のもとになる「うま味」を見つけたのが日本人だって聞くと、ちょっと誇らしい気持ちになったりしませんか。


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