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[書評] 命には続きがある

矢作直樹、一条真也『命には続きがある 肉体の死、そして永遠に生きる魂のこと』(PHP研究所、2013)

救命医師と葬儀のプロという異色の顔合わせによる対談

生と死の現場に長年身を置いてきた二人が、自らの体験や思索などを通じて培った死生観を縦横に語り合う。

二人はそれぞれの職業上の経験をふまえて語ることも多いが、本に書かれた興味深い死生観に言及することもある。

二人が言及し、引用する本をみると、本書での議論が思い出される面がある。そこから広がる世界は本書の範囲を超えて、読者にいろいろな角度から死と生について考えることを可能にしてくれる。

そこで、印象に残る本を挙げてみる。

まず、矢作直樹(本書刊行時は東京大学大学院医学系研究科・医学部救急医学分野教授および医学部附属病院救急部・集中治療部部長)が紹介する本。

・レイモンド・ムーディ『かいまみた死後の世界』(評論社)
・レイモンド・ムーディ『リユニオンズ』(同朋舎出版)
[ムーディは古代ギリシアの「サイコマンテウム」(死の託宣所)で行われた死者との交流の方法を2500年ぶりに復活させた。〈霊媒を通さずに、普通の人が直接死者と会える方法〉で、鏡を使った方法を復活させた。]

・カール・オーギュスト・ウィックランド博士『迷える霊との対話』(ハート出版)
[除霊で憑依をはずすと霊障による病気がよくなるということを長年実践した医師の記録。〈自身が降霊役兼審神者(神意を解釈して伝える者)を務め、自身の妻を霊媒とした霊との交信というかたちで治療〉を続けた。]

・ジュリアン・ジェインズ『神々の沈黙』(紀伊國屋書店)
[ジェインズは生涯にこの一冊しか本を書かなかった。見える世界と見えない世界(「二分心論」)というものを展開。三千年前まで人類は「意識」を持たなかったという仮説を唱え、〈意識を持つ前の人間は、神の声を右脳で聞き、その通りに動く自動人形だった〉という。〈統合失調症にある人々は現在でも神々の声が聞こえている人たちではないか〉とみる。]

・リチャード・ガーバー医師『バイブレーショナル・メディスン』(日本教文社)
[代替医療・統合医療のこれからを考えるうえで良い本。]

つぎに、一条真也(作家、株式会社サンレー代表取締役社長)が紹介する本。

・高橋巌『現代の神秘学』(角川選書)
[〈幼くして死んだ子どもは、強力なパワーを持って霊界に参入し、天才として生まれ変わってくることが多い〉という。]

・佐藤 守『ジェットパイロットが体験した 超科学現象』(青林堂)
[「八甲田山雪中行軍遭難事件」の後日談を紹介。「亡霊部隊」となって八甲田山から行軍して戻ってくる軍靴の音をひびかせる部隊に対し、待ち構えていたある将校が「諸君はすでにこの世の者ではない。今から冥土に向かい成仏せよ!」と訓示すると、一斉に向きを変える軍靴の音がし、部隊は八甲田山の彼方に消えていき、その後、亡霊部隊は戻ってこなかったという。]

・鎌田東二『古事記ワンダーランド』(角川選書)
[古事記は〈日本最古のグリーフケアの書〉という。]

この他にも、二人は多くの話題について語る。中でも、二人が共通して挙げる葦原瑞穂『黎明』(太陽出版)は、物理学を基本とする本だが、〈ブッダやイエスやサイババなどを「大師」と呼び、宗教の真の役割についても触れ〉る。

最新の物理学は高次元の存在をも考えるが、そういう観点からも二人が『黎明』を挙げたことには大いに評者は共感する。

矢作は本書でも、伯家神道に言及する。〈明治天皇の践祚まで、宮中では伯家神道が伝承されていました〉といい、宮中で〈特殊神事として密かに継承されてきたものが、「祝(はふり)之神事」と呼ばれるものです〉という。

さらに、次のように、その神事の重要性を語る。

「祝之神事」はたいへん大切な神事で、皇太子殿下が天皇陛下に践祚されるときに、神と天皇陛下とが不二一体となられるご神儀と言われております。この「祝之神事」の具体的な内容については、部外者には一切口外無用とされています。実際に明治天皇は、エネルギー・ヒーリングができたといわれています。お若い明治天皇が荒くれ者の明治の元勲たちを心服させられた一つの理由ではなかったかと思います。

こういうことを米国はうすうす知っていたからこそ、太平洋戦争後、GHQは日本人を骨抜きにしようと思ったのであると矢作は指摘する。おそらくその通りだろう。

「祝之神事」の復活がなかったかといえばあった。本書刊行(2013年)後のことである。

#書評 #矢作直樹 #一条真也

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