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原書購読:Out on a Limb『アウト・オン・ア・リム』英語


Shirly MacLaine Out on a Limb

 このページはシャーリー・マクレーンの『アウト・オン・ア・リム』の原書購読の紹介だ。(文字数7,262)
 
 『アウト・オン・ア・リム』とは、「危険を冒して」という意味になる。またこの語句は、「危険な橋を渡る」という意味で、使う事もある。リムという言葉は四肢を意味する。手足の事だ。つまり、手足が地についていない状態を指している。まさに絶体絶命、極限状態だ。

 言語:英語
 表題:Out on a Limb
 著者:Shirly MacLaine
 出版社:BANTAM BOOKS
 発行年:1983年
 ページ:367
 金額:¥1,081円(2021年06月21日)
 読了:2023/12/17
 
 シャーリー・マクレーンはアメリカの女優だ。1934年生まれで、今年で90歳になる。存命だ。バージニア州リッチモンド出身で、アイルランド系だ。1950年代から活躍し始めて、1984年にアカデミー賞(オスカー賞)で、主演女優賞を受賞している。50歳の時の話だ。

 受賞インタビューで、シリアスな顔をして、ジョークを飛ばしまくる離れ業を披露して、会場を沸かせた。この人の本業は、映画女優だが、一風変わった著作でも知られる。

 この人の存在を知ったのは、高校生の時だったと思う。

 五島勉氏のノストラダムスの大予言シリーズの後くらいに、この人の本が流行り出した。所謂、スピリチュアル系で、当時はニュー・エイジと言った。内容は、転生輪廻、幽体離脱、UFO、キリスト教、東洋思想などだ。特に夢見る予言者エドガー・ケイシーに共鳴して、自身の過去世で、アトランティス人がいる事を明かしている。

 どっかで聞いた話だ。
 多分、第三者的に見たら、当方も似たような話を書いているのだろう。
 彼女も小説を書いており、その中に思想を織り込んでいる。手法も同じだ。ただし本人としては、全て事実であり、ドキュメンタリーのつもりだ。
 プライバシー保護の観点で、名前や組織名称だけ変えている。
 言いたい事は、この話はフィクションではないという事だ。
 今回、改めて英語で読んだので、取り上げる事にした。

 因みに幽体離脱だが、当方はできない。だが彼女には、その体験があると言う。もしそうであるならば、心の修行において、霊的なステージが進んでいる事になる。

 ネットで、彼女の90歳を祝う動画を見たが、90歳にしては、会話がかなりスピーディで、年齢を感じさせない点では驚いた。この若さは霊的だ。目にも輝きがあり、明らかに普通の人ではない事は見て取れる。だが、それほど飛び抜けているという印象もなかった。

 若い頃の彼女は男勝りで、イメージ通りのアメリカ人女性だが、年齢を重ねても、まだ政治に興味があるのか、アメリカの民主主義について、語っていた。結構、現実的な人なのだろう。

 21世紀に入ってからも、スピリチュアルな立場から、唯物論と戦う姿勢を見せ続け、独特の発言をして、論争を巻き起こしていた。真理のために、争う事も厭わない戦闘的な姿勢は、男たちから結構叩かれている。これは若い頃からそうだったようだ。

 だが霊能者という程でもないだろう。幽体離脱ができるというより、幽体離脱した事もあるという方が正確ではないか。心の修行の結果、意識的に幽体離脱できるようになったのなら凄いが、そうでもないケースもある。生まれつき霊体質で、魂が身体から抜け易い人もいる。

 また『神々の指紋』で有名なグラハム・ハンコックみたいな例もある。
 キッチンの床の水を踏んだ時、冷蔵庫が漏電していたので、感電をして、身体がぶっ飛び、ついでに意識も身体から飛び出して、倒れている自分をキッチンの上空から見たという体験だ。これは事故だろう。本人的には、「一体どうやって戻るんだ?」と焦ったと聞いている。

 それはともかく、シャーリー・マクレーンは、神秘体験があるのだろう。だからああいう本を書いているのだ。それはよく分かる。日本の芸能界にも、似たような人はいるだろう。それのアメリカ版だ。角川文庫で日本語訳もあるので、紹介しておく。興味ある方は読まれたし。


アウト・オン・ア・リム シャーリー・マクレーン

 言語:日本語
 表題:アウト・オン・ア・リム
 著者:シャーリー・マクレーン
 翻訳:山川紘矢、山川亜希子
 出版社:角川文庫
 発行年:1999/04/22
 ページ:406
 金額:¥924(2021年06月21日)
 読了:(2021年08月09日)

 昔、彼女の本を、幾つか読んだ記憶がある。この本だけ印象が残っていたので、改めて英語で原書購読してみた。他にも出ているが、この本が一番売れた本で、全米で300万部も売れたと言う。下手な作家より、よほど売れた本という事になる。
 それでは、前置きはこれくらいにして、本題に入って行こう。
 まず序文が付いていて、このような事を述べている。
 
 I thought for a long time before I published Out on a Limb because it is the written expression of a spiritual odyssey that took me further than I ever expected to go, into an astonishing and moving world of psychic phenomena where past lives, the existence of spirit guides, and the genuine immortality of the soul became more than concepts to me-they became real, true parts of my life.

 『アウト・オン・ア・リム』を出版する前、私は長い間考えていた。なぜなら、精神的な旅を文章で表現したものだからだ。この本は、私が期待した以上に私を遠くへ連れて行ったし、過去世がある驚くべき感動的な心霊現象の世界へ、魂の存在が導き、そして魂の真の不滅性は、私にとって、概念以上のものとなって、私の人生の中で現実的で、本当の部分になった。
 
 角川の日本語訳には、別の序文がついていたため、止む無く、当方で訳したが、ここで注目してしまった単語が、a spiritual odysseyだ。英語の世界の話と割り切って、精神的な旅と訳したが、元々はオデュッセイアである。あのホメロスの『オデュッセイア』だ。

 笑ってはいけない。これは英語の話だ。だがa spiritual odysseyは、古典ギリシャ語を学んだ者としては看過できない。要するに、オデュッセイアのような冒険をしたという意味だろう。しかもそれは、とってもスピリチュアルだったという事だろう。
 
 確かに、この本を一言で表すなら、a spiritual odysseyと言えるだろう。
 読んだ後であれば、そう表現するのも頷けるが、あくまで英語の話である。当方であれば、古典古代を連想しない単語を選択する。ちょっと誤解が生じる。
 
 この本では、主に過去世が問題となるが、そもそもキリスト教では、転生輪廻や過去世の存在を認めていない。現行の聖書(editio Vulgata、最終版1979年)に、そういう記載がないからだ。だがシャーリー・マクレーンは以下のように言っている。
 
 But then the Bible says nothing about reincarnation either and it’s quite well known that the Council of Nicea voted to strike the teaching of reincarnation from the Bible.
                          原書前掲書-p181
 
 聖書は輪廻転生のことについても何も書いていないでしょ。でもニカイアの宗教会議で聖書から輪廻転生の考え方を落とすかどうか、評決したことはよく知られた事実ですよ。
                          和訳前掲書-p184
 
 これは史実だ。世界史に基づいて、話を進めている。ただしニカイア公会議とは限らない。
 事情としては、当時のキリスト教は、東方的な教えを排除したいという考えがあったようだ。その結果、元々イエスが発言していた転生輪廻の教えも削った。これでキリスト教の教えは大きく曲がった。削除して1,500年近く経過して、復元も不可能なので、今もそのままだ。
 
 ローマ時代の教父たちの教えや、グノーシス派のキリスト教には、転生輪廻の教えは存在する。かつてキリスト教にも、転生輪廻の教えがあった事を示す残滓とも言える。だが正統な教えと見なされず、異端として、歴史の中で葬られていった。
 
 結果、西洋では長い間、生まれ変わりの話はタブーとなり、転生輪廻はキリスト教以外の話となった。だがそれでも、生まれ変わりがないと説明できない事象が起きていて、それを学問的に、科学的に、統計的に調査しようという流れが、アメリカを中心に起きた。
 
 ある意味、霊能者エドガー・ケイシーもこの流れにいるが、他でも学問的な調査はある。
 
 イエスが、転生輪廻の教えについて述べる事は、キリスト教的には、仏教の真似みたいで嫌だったのかも知れない。東方の教えとの差を出すために、類似性を排除して、独自性を際立たせようとしたのかも知れないが、それは世界の真実を曲げる事になる。大罪だ。
 
 あるいは、イエスが、仏教から影響を受けている事が、明確に分かるので、削除しないと教会が不都合という事だったのかも知れない。生前は公然の秘密で通せても、死後何百年もすれば、状況も変わるので、後世の弟子たちによる、そういう歪曲も始まるだろう。

 地上の党派性で、天上界の意志や、世界の真実が捻じ曲げられる事は、世界宗教において、よく起きる事象ではある。だが西洋では、古典古代のソクラテスが、生まれ変わりの話を頻繁にしているのに、イエス以降ぱったりなくなり、西洋文明の内容が大きく変質した。
 
 これら宗教会議で、転生輪廻の教え排除に票を投じた者たちは、悪魔の味方をしている。
 
 『アウト・オン・ア・リム』で関連した箇所を追おう。
 
 I’m convinced that Christ was teaching the theory of reincarnation.
                          原書前掲書-p233
 キリストも輪廻転生の思想を教えていたのだよ。
                          和訳前掲書-p246

 He said when Christ returned to Israel he taught what he had learned from the Indian masters, that is, the theory of reincarnation.
 But David, I said, why aren’t these teachings recorded in the Bible?
 They are, he said, the theory of reincarnation is recorded in the Bible. But the proper interpretations were struck from it during an Ecumenical Council meeting of the Catholic Church in Constantinople sometime around 553A.D. , called the Council of Nicea.
                        原書前掲書-p234~235

 デイビッドは、キリストはイスラエルに帰ってからインドの聖人に学んだことや輪廻転生を人々に説き始めたのだと説明した。
 でも、どうして聖書にその事が書いてないのかしら?
 輪廻転生のことは聖書に書いてあったんだよ。ただ五五三年のコンスタンチノープルで開かれた、一般にニカイア会議と言われている宗教会議で、教会の支配を強めるために輪廻転生の思想を削除してしまったんだ。
                        和訳前掲書-p246~247

 人間は転生輪廻するから、過去世があり、この世界は、目に見えている以上の世界があるという視点はよい。大切だ。またこの事から宇宙に目を転じて、UFOを目撃できる事から、宇宙人の存在を想定する事もよい。シャーリー・マクレーンは、南米でUFOを目撃している。

 今の世の中で、世間的に見たら、こういった話はぶっ飛んでいる。確実に非常識と思われるだろう。だが最近は、NBC Nightly Newsや、ABC World News Tonightでも、UFOの目撃情報や、宇宙人の報道を、やるようになってきたので、流れが変わったかもしれない。

 昔は、表側の大きなマスコミも、UFOは取り上げなかったが、2021年に、トランプ前大統領が、三つのUFO動画を公開してから、アメリカでは流れが変わり、今ではアメリカ国防総省、ペンタゴンが、UFOを現実的な脅威として訴え、米議会でも取り上げるようになった。
 日本でも、国会で、原則UFOの存在は認めないが、報告はするようにと言っている。
 
 これは米政府によるファースト・コンタクトや、重大な発表に備えているようにも見える。
 日本では非現実的だが、アメリカではかなり現実的な話となっている。
 気が早い人は、時間の問題だと言っている人もいる。日米で意識の差は大きい。

 UFOはともかく、過去世というものは、世の中で認知されていない。記憶がないからだ。これも個人差もあるが、原則的には人は過去の人生は覚えていない。忘れている。過去世を思い出したり、覚えている人はごく一部で、例外だ。だが真実でもある。
 だが当方が考えるに、過去世も語学である程度、量れると考えている。

 英語やフランス語ができるので、直近の過去世は、英語国民かフランス人だったと思っている。他にも、ラテン語やギリシャ語もできるので、二千年くらい前まで遡れる。

 ドイツ語は苦手だが、イタリア語は、割とできるので、イタリア人の線もある。またスペイン語もフランス語の類推でできるが、好きになれないので、スペイン人の過去世はない。また同じ理由で、ポルトガル語も勉強しているが、ポルトガル人としては生まれていない。
 北京語も勉強している。中国も生まれた事があるのだろう。旅愁のようなものは感じる。
 メソポタミア文明にも思う処があり、ギルガメシュの小説まで書いている。

 逆に、日本は初めてでなないかと考えている。かなり違和感があるからだ。自分は長い間、キリスト教系かなと思っていたが、仏教にも、浅からぬ縁があるようで、自分がこれほど仏教について、書けるとは思ってもみなかったので、最近は新しい驚きに包まれている。過去世というものは、本当に分からない。人間の可能性、才能の源泉だ。

 あまり知られていない事だが、外国語を勉強する事は、霊的な修行でもある。ほんの極僅かだが、過去世が蘇る。
 本人は気が付いていないが、通訳の人には、霊人がついている。
 同時通訳とか始めると、明らかに、巫女的な状態になり、モードがチェンジする。これは過去世とか、転生輪廻とか、信じていない人でもそうなる。
 大抵の場合、霊人は、自分の過去世で、ガーディアン・エンジェルだったりする。つまり、過去の自分が、現在の自分を助けている。笑える話だ。

 英語で本を読んで、夜寝た時、心胸の奥深くで、強く共鳴するものを感じて、目が覚めた事がある。同じ本を日本語でも読んでいたが、改めて英語でも読んだところ、多分、過去世の自分が反応して、内容を深く理解して、伝わったという事だろう。こんな事もあるのだ。

 明らかに、過去の自分は、複数存在する。今も自分の中に記憶として眠っている。眠っているというのは、正確ではないかもしれない。活動はしているのだろう。ただし普段はリンクしていないので、繋がらない。

 これがリンクして、過去の自分が使えるようになると、仏教的には、パンニャパラミタの智慧が使えるという事になるのだろう。もう普通の人ではない。だから出る言葉が違う。過去に生きた自分の智慧が使えるのだから、複数回分の人生経験が出て来る。
 これは常人と比べて、圧倒的な戦力差となる。

 語学を勉強すると、心のどこかで、パスが開いて、過去世と繋がる事があるのだ。だから、語学を学んで、その国に旅行すると、デジャヴが発生する。

 当方は、フランスのストラスブールで、その体験がある。1997年の話だ。
 ベンチがあって、後ろには町が見えるが、前方は見渡す限り、黄色い菜の花畑で、初めて見る風景だが、以前、見た事がある。遥か昔、ここに来た事があると、感じた事がある。
 まぁ、そんな体験など個人的な感傷なので、どうでもいい事だが、肥やしにはなる。証明はできないが、確信がある。こういう体験は大切だ。

 『アウト・オン・ア・リム』を読んでいて、気が付いた事がある。
 シャーリー・マクレーンは、善悪の話がない。
 カルマの話をしているのに、善悪の話をしていないのはおかしい。
 これは大きな問題点だ。完全に抜け落ちている。
 だから天国・地獄の話もしない。特に地獄の話がない。

 この人は、過去世を理解しているが、全て地上の話で完結している。
 本当は、天上界、霊界があり、その上で、地上に転生輪廻している。
 人間はあの世にいる時間があり、地上に生きている時間よりも長い。
 そして転生輪廻の理由、原因には、善悪の話が大きく関係している。
 いわゆるカルマの話となるが、これは善悪の話である。

 今は地獄と言っても、悪夢でしか、分からない。
 ゾンビに追い掛け回されたとか、そういう夢だ。
 あれは寝ている間に、地獄界に行っている。
 目が覚めて起きると、そんな事など忘れてしまうが、あれは真実である。
 地獄界は存在するし、善悪は存在する。だから転生輪廻する。カルマの清算だ。

 天国に行く人はいいとしても、問題は地獄行きの人だ。現代ではあまりに多い。というか、天国も地獄もないと思っている人が多いので、死んで地獄にも行けない。そのまま、そこら辺を影となって彷徨う。本人は透明人間になった気分だ。所謂、不成仏霊だ。成仏していないから、彷徨う。悪さをする。これが結構長い時間となり、何百年も時間をロスしている。

 今、こういう死者たちが、到る処で溢れている。街でもそうだ。
 戦争をやれば、もっと発生する。とんでもない事になる。
 今の世界、戦争だらけになりつつあるので、霊的にも大問題だ。
 これが行き着く処まで行き着くと、地球がパンクする。大陸陥没だ。

 当方は目で見えないが、ごくまれに声を聞く事はある。
 大体その時は気が付かないが、後でアレが、実は悪霊の声だったと気が付く。

 やはり語学で耳を鍛えているせいか、天耳から始まる。
 霊能力が耳から始めるケースは割と多いらしい。
 預言者ムハンマドも、耳でしか霊を捉えられなかったから、偶像崇拝を否定した。

 霊は見えないものだと判断した。これはこれで問題がある。霊視もある。
 霊視と言えるのかどうか、分からないが、意識的に人の後光が見える。
 これも霊能力の初期段階として在り得る力のようだ。

 あと右手をかざすと、手の平から、熱い何かが出る。
 多分、法力の走りのようなものだろう。エクソシストか。
 程度の低い悪霊なら、祓えるかもしれない。

 だがこの程度では、霊能者とは言えないので、低能者と呼んでいる。
 霊的な出力が低いので、日常生活で、あんまり役に立たたない。

 話が逸れたが、シャーリー・マクレーンは、霊能者エドガー・ケイシーの話を援用して、自分の過去世を説明している。ただアトランティス人の話に期待して読むと、肩透かしを食うかもしれない。実はこの本で、アトランティスの情報は殆どない。

 35,000年前に、アトランティスにいたという話だけだ。
 その時に一緒にいた人と再会して、運命を感じたというだけだ。
 35,000年前と言うと、アトランティス初期で、まだ文明らしいものもない。16,000年前からアトランティスは、科学文明への道を歩き始めている。

 よく35,000年も前の事を思い出したなと思うが、エドガー・ケイシーの話では、12,000年前から10,000年前を思い出して、アトランティスの全盛期から最末期までの2,000年の歴史が語られる事が多い。かなり多くの人に、強烈な印象を残したため、この話ばかり出て来る。
 そのため、ある程度の復元が可能であり、どういう事が起きていたのか、分かっている。
 
 シャーリー・マクレーンの本は、面白いので、興味がある方は読んでみてもよいだろう。西洋を中心にした旅行記みたいにもなっている。その時代のある地域がよく見れる。ただし限界もある。ちょっと普遍性がない。個人的な悟りに留まっている。仙女か。

                           原書購読:004

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