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幻のメンタルトレーナー

先日カーリング日本選手権のニュースの中で、ソチオリンピック代表の北海道銀行のメンタルコーチに就任した白井一幸さんのの話題が出ていました。白井さんはプロ野球元日本ハムコーチ。

このニュースの白井さんに自分を重ねるように2017年までのバレーボールに携わってきたことを懐かしく想い出してしまいました。東京オリンピックでの金メダルを目指した女子日本代表監督は公募になり、それまでリオデジャネイロオリンピックまで2大会を勤めた眞鍋政義さんに代わり立候補したのが中田久美さんでした。久美さんとは旧知の仲、毎日バレーボールの話やらコーチ人選やらををした日々が懐かしく想い出してしまいました。

久美さんが久光製薬スプリングス監督に就任してからずっと選手達に試合前に見せるモティベーションVTRに写真を使ってもらっていました。結果は2012年からのタイトル総なめでした。日の丸を背負った全日本においても眞鍋監督のもとアナリスト渡辺啓太さんにモティベーション写真として使っていただき、数々の大会で表彰台、味の素スポーツセンターの練習コート壁に写真が張り出されて世界選手権では32年ぶりのメダル、ロンドンオリンピックでは28年ぶりのメダルをともに喜ぶことができました。

普通フリーランスが行くことすらできないロンドンオリンピックはFIVBバレーボール国際連盟のスペシャリストとして登録され、その勇士、銅メダル姿を写真に収めることが叶いました。しかしリオデジャネイロは日本協会、そして日本バレーボールを支えているテレビ局、伏兵に足を引かれて行くことが出来ずに全日本チームも撃沈。数々の嫌がらせも受けていたために日本のバレーボールを取り巻く環境や人々に嫌気がさしている時期でもありました。

2020年オリンピックは東京、そして監督は中田久美さん、監督就任を決める面談前から久美さんに提案していました。「金メダルを獲るために僕をメンタルコーチとして入れてください」と。即答でOKをもらえていました。写真に対する理解、そして活用することによっての成績を身を持って体験してくれていたからに他なりませんでした。それからも毎日のようにバレーボールについて、全日本について毎日連絡してきてくれ朝から晩まで話を続けていました。しかし監督就任会見にスタップとして呼ばれることはありませんでした。当日は珍しくスーツ姿で花を持ち、就任会見撮影とともに就任祝いに味の素トレーニングセンターへ出向きました。会見も終わり、他に記者達、関係者達のいる場所でそんな話など出る訳もなく会場を後にしました。

後日、久美さん曰く「呼ばなくて良かった」と日本協会の内情を理由に教えてくれましたが、全日本女子バレーボールチームが東京オリンピックで金メダルを獲ることは私にとってはそこで語ってくれたようなそんな小さなことは問題ではありませんでした。しかし全てを理解しました。協会からもそうでしたが、すでに役目を終えて用事がなくなった者は日本のバレーボールから去りました。

「東京オリンピックなんて無くなってしまえ!」

それ以来想い出に鍵をかけ、バレーボールを見ない、触れない、聞こえないようにしてきました。成績があまり良くないのを喜んでいました。しかし数年後に旧知のアナリストの方と食事しながら「メダルのためにどうしても写真を撮って欲しい」と言ってはいただけました。すでに精神的にもバレーボールから身を引いていたためにお受けできませんでした。その前後にも選手達からも「戻ってきて欲しい」と少なからず言ってもらえ、中には涙を交えてまでの選手もいてくれました。でもまだその気にもなれず月日は流れてパンデミックはそんなことすら忘れさせてくれていました。

東京オリンピックもなくなり(そう願っています)、すっかり忘れていたそんなこと。まさかカーリングのニュースから想い出すとは思ってもみませんでした。

メンタルトレーナーは現代社会においてかなり重要です。それは写真から鍛えることも出来ます。ただ誰のどんな写真でも良い訳ではなく、心の底から願えるひとが心の底から想え撮影した写真ではないと選手には響きません。

東京オリンピックは無くなったとしても、2022年には女子世界選手権はオランダとポーランドで共催されます。資金難に喘ぐ日本のテレビ局が手放し日本を出て再び世界選手権が世界選手権に戻ります。今これを書きながら2014年イタリア大会以来の世界選手権を純粋に撮影したくなっています。個人的にようやくパンデミックのその先をみることが出来るようになってきました。個人的には少し明るい話題、「来年はバレーボールを撮る」。

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