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海に立つと

海辺は波際に近づくほどに
粒が細かくなっていって

朝イチの真新しい黒い砂は
極上の感触。

犬ならば
思わず掘りたくなり

人ならば
当然のように靴を脱ぎ始める。

足指をしっかり開いて
グーをして
濡れた砂をつかんでみる

重く冷たく
指先の間から砂が溢れて盛り上がる。

砂浜に立つと、からかうように
波は必ず徐々に近づいてきて足元を巻き込む。

そこに意志を感じ
「かなわないよ」と私はあっけなく降参する。


海に立つといつも不思議な感覚になる。

その懐の深さを感じて確かに癒されるのに
同時に恐れを抱くのはなぜだろう。

「近づきすぎたら危ない」
という声がいつも耳元に聞こえてくるのは私だけだろうか。



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