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萬葉植物園にて

雨予報だと聞いていたので予定を入れず、家で読書に耽ろうと思っていたところ、朝起きたら何と気持ちのいい快晴か。

急遽、地元奈良に散歩でもと思い、春日大社までお参りしに行くことにしました。
思ったよりも人が多かったので、サクッと行ってお昼前には帰ろうと、長い長い参道を進みます。地元民にとっては何も珍しくない鹿さんを真横にズンズン進んでいきます。

進んでいく途中、左手に植物園が見えました。萬葉植物園です。
入館料400円。藤園と椿園が目玉のようですが、椿園は工事中で立ち入り禁止。藤の季節でないこともあり、植物園に入っていく人は見られません。気になって、そんな植物園にあえて入ってみました。


入り口で、受付のお姉さんから地図を指し示されながら
「小さく、ぽつ、ぽつ、というくらいなんですけど、冬の桜が見られますよ」
と、教えていただきました。

冬の桜。ワンピースのヒルルクの桜が思い浮かびますね。
インパクトのある言葉にテンションが上がりました。とりあえず、その「冬の桜」を目標に園内を進むことにします。


***

園内で花を咲かせていた植物は片手で数えられる程度で、目に映る色は緑色か茶色ばかり。
太陽はさんさんと輝いていましたが、侘しさを感じる景色でした。

特に印象深かったのが、はじめの方に見た枯れた蓮。
見事に枯れており、強い風が吹いたら吹き飛んでしまいそうな、手で握ったらクシャクシャと音を立てて散り散りになってしまいそうな蓮で、全盛期の状態を保ったまま綺麗に枯れていました。

その後、藤園に行くと、ただただ緑色の植物が藤棚にからまっていました。
見頃でない、季節でない植物を見ても、解説文がなければその植物のポテンシャルがわかりません。開花時間の短い花など、初めて見つけた人はどうやってその美しさを世に広めたのでしょう。


私の目には見分けがつかない植物たちにも一つ一つ名前があり、ここに植えられている多くの植物は、萬葉集の詠まれた時代からその姿が確認されています。
枯れても次の芽が出て、咲いては朽ちてを繰り返してきた植物たちなのです。

季節柄「見頃」と呼べる植物は少なかったのですが、植物にしろ何にしろ、「見頃」じゃない時期の方が多いんじゃないか、と園内を歩きながら思いました。見頃の姿だけを知っている、それだけで知った気になっているのって違うな、とも。
悠久の時を経た植物を見て、「見頃」は1回きりではなく、何回も訪れるものだ、と。自分で自分を励ますようなことも考えていたらちょっと心が元気になってきました。


そうして藤園の奥まで進むと、受付の方が言っていた冬の桜を見つけることができました。


拡大して撮ると、こう。


見上げて探さなければ見つからないほどの小さな花。しかも咲いていたのもわずかで、落ちていた花びらの量からしても数はさほどついていなかったでしょう。

こんな冬桜を、日常の中でたくさん見つけたいと思うのでした。


***



ちなみに、トップ画像に載せたのは「ヒオウギ」というアヤメ科の植物。夏の花らしいのですが、万葉歌中では「ぬばたま」と詠まれ、花ではなく、写真にある実の方が注目されていた植物でした。


私の名前は漢字で書くと「実花」なので、実も花も、大きくなくていいので見応えのあるものに育てていければな、と思いました。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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