実話物語 捨て子 第3話

朝目が覚めるとそこは母に連れられて家出する前に住んでいた半田市の家だった。両親は昨日離婚して、そのまま父に連れて帰られたのだった。泣いた…ただひたすら泣いた。大好きで絶対的存在の母親はもういない。目の前にいるのは酒に溺れて暴力を振るう父親だ。

母さんのところに行きたいか?と聞かれ頷くと怒られた。「お前を捨てて逃げた女のところなんか行くんか!」と。小学校1年生の脳ミソには限界がある。母親は第一生命とヤクルトで掛け持ちをして働き頑張って来た。(子どもの前でお客さんと複数不倫もしていたが)父親は機嫌を損ねる訳にいかないので怒られ無いように子どもなりに気を使う。自分ながら良く出来た子だと思う。大人になって周りからグレなくて凄いね!と言われるが、多分それすら超えていたんだと思う…。それはまた後ほど。

かくして父との共同生活が始まったのだった。私が7才の時点で父は飲んだくれ無職の44才。無論小学校に行かせてもらえる訳も無く団地の家賃さえ払えず一週間後に夜逃げした。世間はバブルの真っ只中だというのに。


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