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ピラミッド型組織の弱点を克服する次世代型組織の出現:ティール組織とは⁉

1.12/25投稿のOODAループに関する投稿の振り返り

12/25の投稿(↓参照)では、現在の日本企業に多いピラミッド型組織でOODAループ思考を活用するための方法について、お話しました。

内容をすると、以下のようになります。

❶OODAループは、「O観察」→「O状況判断」→「D意思決定」→「A実行」の後、「Loop改善」を繰り返す手法です。

❷OODAループの3つのポイントは、「臨機応変」、「即断即決」、「状況のupdate」であり、この手法を活用すれば、変化の時代に対応できる意思決定が可能になります。

❸しかしながら、ピラミッド型組織では、意思決定に長い時間を要してしまい、何らかの工夫がないとOODAループが機能しないという欠点があります。

❹このOODAループ思考をピラミッド型組織で活用するためには、「組織のフラット化」「権限の委譲」「パーパスの浸透」の3つを提案する。

❺❹を進めて行った時に、管理職の役割は非常に重要度が増してくる。また、管理職は、部下にも権限移譲を図ることで、ヒトや組織の成長を促すことができる。

前回の投稿では、ピラミッド型組織が大前提で、如何にOODAループを活用するかという視点で書きました。

今回の投稿では、それじゃぁ、OODAループを有効に活用できる組織とはどんな組織なのかという視点で書きたいと思います。

結論から述べますと、それは「ティール組織」ではないかということです。

「ティール組織」とは、元マッキンゼーのアソシエートパートナーであるフレデリック・ラルー氏が2014年に著わした以下の書籍で紹介されました。

ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現 (フレデリック・ラルー著)↓

本投稿は、この書籍を参考にして書いていきます。


2.組織変遷の歴史

ラルー氏は、この書籍の中で、組織の変遷について話しています。そして、今、最も新しい組織であるティール組織を紹介しています。

ラルー氏は、下図のように組織を色で表わし、その変遷について説明しています。

スライド1

2-1)レッド組織(約10,000年前)

狼の群れのように衝動型の組織。衝力(敵部隊を後退させる力)、恐怖、支配を重視した組織で、目の前の利益を追求している。

例えば、マフィアやギャングのような組織がこれに当たる。

仕事を分業し、トップダウンの権力構造を持ち、トップがやりたいことをスピード感を持って達成できた。

しかしながら、暴力によるトップダウンなので、組織が常に不安定になっていた。

2-2)アンバー組織(約6,000年前)

軍隊のように順応型の組織。規律を重視した計画遂行を行う。

例えば、軍隊、警察、カトリック教会のような組織がこれに当たる。

階層毎に役割やルールが明確なピラミッド構造で、安定した組織により安定した成果が得られた。

非常に安定的だが、成長が望めない組織である。

2-3)オレンジ組織

機械のように達成型の組織。効率を重視するため、各個人に合理性が求められる。

例えば、日本の多くの企業がこれに当たる。

これは、アンバー組織のようなピラミッド構造を持ちながら、目標設定と効率化を図る組織である。

イノベーション、トップの説明責任(役割や目標設定)、実力主義が特徴である。

しかしながら、常に目標を追い求めるため、人生に虚無感を感じてしまう。

2-4)グリーン組織

家族のような多元型の組織。合意や文化を重視するため、多様性・個人の意見を尊重する。

例えば、NPO法人、学会のような組織がこれに当たる。

組織の人の深い絆を重要視しており、あらゆる人が平等である。

特徴としては、ピラミッド型を有しているが、権限が委譲されており、売上や利益よりも価値観を重視する。また、株主だけでなく、あらゆるステークホルダーを大切にする

2-5)ティール*組織

生命のような進化型の組織。変化への対応を重視するため、各社員が自律的に行動する。

例えば、一部の最先端IT企業のような組織がこれに当たる。

この組織は、グリーン組織をさらに自律的に進化させたものである。特徴としては、❶上下のないフラットな組織、❷各人の目的を擦り合わせて組織の目的を決める、❸情報共有が積極的という3つの点です。

*「ティール」は、小さい鴨のことです。鴨は全体的にはグレーやブラウン系の色ですが、一部、ブルーグリーンの羽が見えます。この色から名前が付きました。


3.オレンジ組織とティール組織の比較

下表は、日本の多くの企業の形態である「オレンジ組織」と最先端のIT企業の形態である「ティール組織」を比較したものです。

オレンジ組織は、機械のように効率を重視しますが、一方、ティール組織は決定のスピードが速く、変化に柔軟に対応できる組織になっています。

即ち、「上司による管理や指示を必要としない運営組織」だと言えます。

スライド2

ところで、ティール組織を実現するためには、3つのポイントを押さえるが重要だと言われています。その3つとは、

自主経営(セルフマネジメント):全てのメンバーが自律的に行動できること

全体性:メンバーの多様性を尊重すること

存在目的:メンバーが一つの目的に向かって行動すること


4.OODAループとティール組織

ここまで、ティール組織について、簡単に説明して来ましたが、OODAループをご存じの方は、この組織ならOODAループを有効活用できると思われたのではないでしょうか。

ティール組織では、ピラミッド型組織でOODAループを活用する際の課題であった❶組織のフラット化、❷権限の移譲、❸パーパス(存在意義)の浸透が既にできあがっているのがわかると思います。

特に、OODAループの二番目の「O」の状況判断のところがキーとなるので、下図を参照して補足説明します。

スライド3

ティール組織では、「自主経営」であるので、誰もが重大な「O(状況判断)」をしなければなりません。

その際に、大前提となる「存在目的」が明確であるため、状況判断の大前提であるパーパスが完全に一致しています。そのため、誰が状況判断しても組織のパーパスに適うことになります。

また、状況判断は、過去の経験・知識により行われますが、「メンバーの多様性が尊重」されるため、新たな発想による展開が期待できることになります。


5. まとめ

❶組織はこれまで、レッド➡アンバー➡オレンジ➡グリーン➡ティールと変遷して来た。

❷ティール組織は、次世代型組織と呼ばれ、生命のような進化型の組織で、変化への対応を重視するため、各社員が自律的に行動する。

❸ティール組織は、OODAループを活用するための「組織のフラット化」、「権限の移譲」、「パーパス(存在意義)」の浸透が既に出来上がっている。



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