平日、仕事が休みのときは、
boy(14歳息子)とお昼ごはんを食べられる。

だいたいテレビを見ながら食べるが、
平日昼は、こう言っちゃ悪いが
見たい番組がない。

なんでもいいけど、テレビはつけていたいので今日は、「ヒルナンデス」を見るともなく
つけていた。

芸能人が、どっか
東京近郊の場所に旅行に行き、
いなり寿司を食べていた。
おいなりさん。どこかの有名な店の。

美味しそうだけど、お揚げさんが
びっくりするくらい薄いな。
厚みが、1ミリなさそうだ。

私が一瞬、ちょっと目を離したすきに、
もうスタジオにいる芸能人が、
そのおいなりさんを巡って、
手裏剣投げ対決を始めていた。
スタジオは大騒ぎ。

いつのまにはじまったのか。
進行がはやいなあ。

そう思っていたら、boyが、

「ヒルナンデスって、忙しそうだな」

と言った。
うん、そうだね。
ヒルナンデスのこと、ずっと、そんな目で
見ていたのか。

boyは、

忙しい
せわしない
あわただしい
騒々しい
うるさい

といったことが苦手である。
常に騒々しい小学校という場所は、
ストレスフルだったろう、と想像する。


ゲームに勝って、おいなりさんを食べられる
権利を得た芸能人が、おいしいーーーー
と大袈裟にコメントしている。

「油揚げって、何を揚げたものなの？」

とboyに聞かれ、わたしは答えられなかった。
原料が大豆、なのは知っている。
厚揚げは、豆腐を揚げたものだという事も
知っている。

では油揚げ。
何を、揚げたものだろうか。
ガワだけであるよな。
ガワだけだから、空洞にすることができ、
その中にごはんが入れられるわけだ。
卵をいれて煮られたり、餅を入れたら
餅きんちゃく、になれる。

ゆば？
湯葉は、貴重なものだとうかがっております
から、あんなに安くないはずだ。

45年も生きて来て、どうしてそんなことも
知らないんだろう。

「油揚げって、油で揚げてある以外の情報が
ないよね、名前に」

とboy。
boyはいつもするどい目線で
世の中を見ている。気づかなかった。

ほんまやね。
へんな名前。
油揚げ。
何を、油で揚げてあるというのだ。

長く生きてきて、こんなこともしらないのか、と思う事が度々ある。

夜、他の家族にも聞いてみた。
皆、油揚げについて、今まで疑問を持たないで
生きてきたようだったが、

やっぱりとうふだろ

ということになった。
とうふを揚げる。。
あの、ほとんど水分であるとうふを、
揚げるのか。なんも付けずに？

油から水分が蒸発してはねまくり、
大惨事になっている様子が想像される。

ペラペラにうすくとうふをきる必要が
ありそうだし。

たいっへんじゃないか。作るの。
あんなに安いのに。

検索すれば、すぐに、作っているところも
見られるだろうが、あえてしないで、
想像する。

インターネットが無かった時代。
なんでだろう、と思う事があると、
まずどうしたか。

考えた。
想像した。

遠い遠い、むかしのお話だけど、確かに
そんな時代を生きていた。
今はなんでも、検索したら、
目の前にポンって答えがやってくる。
想像する暇がないよ。

よくお話する20代の子は、話をしていて、
わからない言葉が出てくると、スマホで
すぐ検索する。
まず、集中してお話しましょ、と
思うのだが。

すぐに答えを出したいし、
すぐに結果が見たい気持ちはわかるよ。
わかるけど。
人間として、なんか大事な部分の筋肉が、
やわやわになっている気がするのだが。

その結果、ドラマも倍速で見たりする
ようになってしまうんでしょう。
あれだけはなんだか、いただけない。

早く、結果と、答えをくれ。
に、ちょっとうんざりしてるんだ。

だから、油揚げのことは、調べてやらない。
もうちょっと、考えてみます。