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おじ、デジタルストライキすな

babyちゃん(娘)が、ローカル線の、一両編成のワンマン列車で通学しているので、
3ヶ月に一度、定期を買いに行く。

金額が25000円くらいという結構大きな
額なので、現金がないこともあるし、
できればクレジットカードで支払いたい。

最寄りの小さな駅には、常時1人だけ、
勤務しているおじさんがいる。
AおじとBおじ、という2人が、交代で勤務して
いるようだ。2人とも60歳くらいだ。


今まで何度も定期を買いに行って、
気付いたのだが、Aおじのときは
クレジットカードが使えるのに
Bおじが窓口のときには、必ず

「すみません、今日は使えないんですー」
「今日ちょっと調子悪くてー」

というのだ。毎回。

前回は
「ちょっと回線がね、混雑する時があって、、
ちょっと使えないんですよね、すいませんね、
すいませんすいません」

と平謝り。
すごく腰の低い態度で、謝り倒して、自分の
意見を通そうとする人ほど厄介な者はない。

わざわざ自宅まで25000円をとりにかえり、
支払いを済ませたが納得いかない。
前もそうだったよね。
その前も。
だいたい、回線って混雑しちゃうのか?
クレジットカードの?

わからない。目に見えないもの「回線」
が「混雑している」といわれたら、
お手上げだ。
こちらも、あーそうなんですね、
って言うしかないやん。

いやいや、さすがになんか、おかしくないか?
Bおじ、まさかやけど、電源すら入れていないのでは?
と私は怪しみ出した。

そして昨日、たまたま待ち時間があり、
Aおじが勤務していたので、
ちょっと意地悪だが、Bおじのときに
クレジットカードが使えないことを
伝えてみよう、と思った。
まず確認。

「この駅、クレジットカード、使えるんです
よね?」

「はい、使えますよ」

窓口にも、クレジットカード決済可、の
マークが並んでいる。

「もう1人のおじさんのとき、いつも、
使えませんって言われるんですが、、」

と言うと、Aおじは苦笑いし、

「あー。何回も教えてるんだけどなあ。
なんか、使い方がよくわかんないみたいで。
ほんま、すんませんね」

予感は的中だ。
回線が混雑、は嘘だった。
やはりクレジットカードの機械は、電源すら
入れられてなかったのだ。
Bおじは、はなから回線を飛ばす気もなかったのだ。

むかむかしてきた。
こんな怠慢があっていいのか。仕事だぞ。
本社にちくってやろうか。
そして、Aおじも、すんませんね、じゃなくて
だめだぞって、しっかり使えるように
教えてくれないとだめじゃないか。

私は運転ができないので、このローカル線が
ないと移動ができない。
やることやらないで、この列車を使う人が
少なくなり、廃線にでもなったら困るのだ。
そうでなくても、赤字続きで経営難なのは
知っている。

観光の外国人だってくる。
現金なんて誰も持ってないんだからな。
その度にBおじは、ソーリーソーリーと頭を
下げているのだろうか。
想像したくない。


2つ隣の駅でも、少し前、フリーWi-Fiが
使用できるようになりました、と
なったので、お、と思い、

「フリーWiFi、使いたいんですが、
どうやって、、」

と窓口の人(こちらも1人勤務。定年間近おじ)
に聞いた。
おじは、超めんどくさそうな顔をして、
私の質問が終わるのを待たずに、

「わしはもうそんなもんはわからんので
これ読んで、やってください」

と言って、駅員用に作られた、
「お客様へのお伝え用説明書」
みたいなのを渡された。

ぶあつい。。

渡された、というより
投げ渡された。
今ちょっと、投げたよね?

放棄

完全に放棄だ。
このローカル線、おじたちが
デジタルストライキを起こしている。

私だって若くないから気持ちはわかるよ。
でも、お金もらってるんでしょう。
とりあえず、やろうという努力はしようよ。
放棄するんじゃない。

私はもう、このローカル線が身近に
なりすぎて、半分社員くらいの気持ちでいる。 
覆面社員だと思ってくれていい。
このローカル線が良くなるためだったら
どんな事でもするんだからな。

おじたち、ごめん。
本社に報告するかもしれない。
試練が来るかもしれないが、乗り越えてくれ。

大丈夫、きっとできるはず。
おじ、ファイトファイト!

あんころうさま
すてきなイラスト使わせていただきました。
有難うございます。

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