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『FLEE』についての殴り書き

やはり観れてよかった。そして、これがもしただのドキュメンタリーとして存在していなかったら観ていなかったかもしれない。アニメになっているから、興味を持ってみることができたのかもしれない。

あの2時間のなかに何十年ものアミンの人生が詰まっているということ。ここでいう「人生」は支配されているところの方がほとんどなのであろうし、きっとここからの手に入れたはずの人生も支配から完全に解放されることはないのかもしれない。

過去の辛い記憶、きっと思い出したくないであろう記憶は、素描で表現されていて、それによって漠然と恐怖や不安を感じてしまった。素描なはずなのに、恐怖に怯える目ははっきりと捉えられていてそれに心を掴まれた。

モスクワで収監されているとき、記者に期待したが、なにも変わらなかったという描写、アミンと兄が外に出てマクドナルド開店のセレモニーを見ているときの実写映像で満面の笑みを浮かべている白人女性、腐った警官に捕まったときに女性を見殺してしまったアミン、これら全てを安全な場所でゆったりと見ている私たち。同じとは言わないけれど、やはり傍観しているだけ、あるいはそもそも何もわからないまま過ごしていることがあまりにも多いのだと思う。それが現実なんだ。

守ってくれるはずの警官すら信じられないこと、密入国業者に時間をあずけること、
家族が既にいないということにして周りと接しなくてはいけないこと、自分の出自を最愛の人に打ち明けることすら怖くなっていること、家族に対する責任を負ってキャリアを望み続けること

「希望」

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