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大きくも小さくもならず、ただひっそりと

11月11日(土)
 今日は文学フリマ出店の日。朝ごはんを食べずに病院の薬を飲んでしまった。反省。
 慣れない電車に乗り、本が詰まったキャリーケースをごろごろと引きずりながら会場まで向かう。今日は秋を通り越して冬の寒さを感じる。風が冷たかった。友人と合流し、準備をする。
 いよいよ始まる。という時に私は「本を買うなら今しかない!」と出店者なのに本を買いに行った。売るよりお目当ての本を買う気持ちの方が高まってしまった。それははたしてどうなんだろうかと少し反省。しばらくおとなしくしていようと、本を何冊か売った。フォローしてくれてる人、カタログを見てきてくれた人、通り過ぎてなんとなく立ち止まってくれた人、様々な人に本を売ることができた。もうすでに本は持っていて、大切に読んでいるという人もいた。嬉しかった。本当に、誰かの救いの一冊になっているのかもしれない。
 知り合いの方にもたくさん会えた。少なくとも私の個人的な感じ方だけど、日記を書いてる人や私の知っている方達は(ブースに来てくれた方達を含め)皆さん常識があり、いい人たちである。皆、色んな思いを抱えて生きている。私も同じく。だから日記を書いたり、ここ文学フリマに出ているのかもしれない。
 友人は手製本を販売していた。文学フリマでは印刷本が多い中、すごく注目を浴びていた。私は透明になっているのかな、見えてないのかなというぐらい夢中になって彼女の本を見ている人もいた。でもそれが悲しかったとかそういう単純なことでもなく、イベントはそういうものだよなと思っていた。でも本当は、少し悲しさもあったかもしれない。友人ももしかしたら同じことを思っていたかもしれないし、そうじゃないかもしれないし。感じ方は皆違う。でも、悔しいけど彼女の本は可愛く、とても魅力的な本だった。目を惹くのも納得できる。
 あっという間に時間は過ぎていく。気づいたらもう17時。お疲れ様でした、という拍手が会場中に広がり、ああ文学フリマはいいなと密かに思った。お隣のブースの萌木野さんから差し入れにじゃがりこをいただき、あたたかな気持ちになる。今度またイベントでお会いできたら、私も何かお返しがしたい。「お疲れ様でした。お隣でよかったです」と挨拶もして、片付けをして、友人と平和島駅まで歩いた。静かな住宅街や道路の脇の道を通り抜け、キャリーケースをゴロゴロと引きずり、友人といろんな話をした。イベントの疲れと歩き疲れが重なって、話の内容はよく覚えていない。全部含めて、いい時間ではあった。反省もいろんな感情もたくさんあったけど、いい時間で良いイベントだった。またいつか参加したい。本当は毎年参加したいけど今はまだ次のことを考えられそうもない。
 なんとか帰りの電車は座れて、駅にあるロッテリアでポテトなどを買おうと思っていたが、結構混んでいたのでやめた。父が駅まで迎えにきてくれて、ドラッグストアでお菓子や冷凍ポテトを買ってもらった。家に着いて、ご飯を食べ、ちょっとコーヒーなどを飲みながら休憩。そして寝た。すぐ寝れた。


文学フリマ、ありがとうございました。本を購入してくださった方、気にかけてくださった方、遊びに来てくださった方、お隣の萌木野さん、一緒に参加してくれたmomoちゃん、とにかくいろんな方々に感謝を伝えたいです。ありがとうございました。いつもこういうイベントなどでの準備が異常に早い私なので、前日の夜から当日の朝までものすごく暇で、実はフリーペーパーなどを作っていました。でも当日は渡せる余裕もないだろうと印刷はしませんでした。なんとか無事終わったのもありますし、記念に(文学フリマ前日と当日の朝に書いた)フリーペーパーをここに残したいと思います。

「大きくも小さくもならない 
ただひっそりとそのまま生きると決めた」

 文学フリマ前日の深夜に、このフリーペーパー用の文章を書いている。
 文学フリマはとても大きなイベントだ。たくさんのブースの中から自分を見つけてもらおうなんて、天国で知り合いや一緒に暮らした猫を探すぐらい難しいのかもしれない。天国には行ったこともないし、行けるかもわからないけど。もしかしたら、天国には自分の知り合いを自動的に探し出してくれるシステムとかあるのかもしれない。天国の話はもういいよ、ありがとうございました~(漫才)深夜だからおかしなテンションになっているが、とにかく自分なんてちっぽけで、こんな大きな会場で多くの人の中から自分を見つけてもらうなんて、とても難しいのだ。

 以前他のイベントに出店した時に、周りはガヤガヤとしていて人も動き回っているのに、自分だけ静かな空間にいるような体験をした。なんかこう、人の動きもスローモーションに見えたような。文学フリマもそうならないか、心配だ。自分のブースだけ透明になっているとかそういうことにならないでほしい。

 いつか作家になりたいと思ったこともある。でもそれは夢の夢のまた夢に近い。文学フリマに出たからといって大きくも小さくもならなくていいし、作家になれなくてもいい。そのままひっそり生きるって決めた。深夜の小さなどうでもいい決意である。

 朝、6時に起きてまたもフリーペーパー作り。暇すぎての行動。決して準備が間に合わなかったとかではない(本当に)。
 とにかく楽しみたい。文学フリマに出たいと申し込み、お金を支払って今日まで準備をしてきた。この場にいれることが嬉しいし、とてもワクワクする。自分は出店側だけど今日ここでしか買えない本との出会いも楽しみにしている。ただひっそりと、本が好きな者として、この文学フリマを楽しもうと思う朝なのであった。



来年またこのようなイベントに出られた際は、猫の本(もしくは写真集・グッズ)やもっと濃いぬいぐるみについての本を出したいな、と思っています。ではまた、いつか。

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