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Live in Love -ファムファタル-

愛する女性から「伊達メガネ」のプレゼントが届いた。
この眼鏡は、実は私が彼女の為に選んだものと同じ。

私には「他人を美しくする」と言う才能があるらしい。
だから多くの女性が私に身に着ける色々を選んで欲しがる。
この才能が自分に対しても発揮されるのであれば嬉しかったのだが
いつでも宇宙は【自分の事はわからない】と言うルールを課すのだ。

「ひとと共に生きなさい。ひとを鏡としなさい。愛に生きなさい」

この眼鏡は見事に彼女に似合った。
「褒められない日は無い」と言う程に。
彼女は厚化粧をやめ、代わりにこの眼鏡を掛ける。
「これは私のマジックアイテム。これさえあれば恐くない」…と。

先日、彼女と私とある男の3人で食事をした時に、
彼女が私にこの眼鏡を差し出した。「掛けてみて」

私は何を恥じらうのか自分でもよく解からぬまま横を向き、
眼鏡を整えてから彼女に顔を向けた。

「貴女にも似合う!」と目を見開いて見せてくれたが、
私の隣に座る「自称・眼鏡フェチ」の男からの凝視の方が熱くて焦げた。

「そんなに云われたら…。私も買うわ」

パーソナルカラーで言うなら「ウィンター」の彼女と「サマー」の私。
どちらも「ブルーベース」の肌を持つので
共通の【得意色】も少ないが、ある。
この眼鏡のラズベリー色は、私と彼女の両方を美しくした。

後日。「私に買って贈らせて」と言う彼女に、
私は「有難く頂戴し、一生大切にします」と誓った。

この眼鏡は決して安くない。いつの間にか製造中止となったデザインで、
一つだけ残る在庫は、倍の値に引き上げられていた。

「買う!あげる!高くなんてない!“あんたあたしのファムファタル”!」
「そうね。“あたしあんたのファムファタル”…」

これが私達の合言葉…否、愛言葉。

【ファムファタル】…運命の女。
時に「魔性で男を破滅に追いやる女」の事もこう呼ぶらしいが、私は思う。
破滅させられるほどの力も無くて、何が運命の女だろうか。
その力を愛によって使う時に運命が動くのだ。

「私、男じゃなくてよかったわ。男なら貴女に惚れて破滅してる」
これが彼女の、出逢った頃から続く私への口癖。

「愛してるから破滅させない」
そう言っても「いいえ、するね!」と彼女は笑う。

この可愛い笑顔に私も思う。「貴女が女で良かった」と。
そうでなければ私には一人の女友達すら居ないのだから。

さて、3人で食事したその日、彼女は「自称・眼鏡フェチ」の男に言った。

「諦めな。このヒトみんなのファムファタルだから」

おそらく「ファムファタル」と言う言葉を初めて聞く彼はきょとんとしていたが、彼女は後から反省していた。

「言うべきじゃなかったわ。ただ、あの人、私に似ていて。
 もし私が男だったら、きっと彼みたいな男だったから。
 どうしても、先に覚悟させてやりたくて…辛いよって。
 だけど絶対に運命は変わる!出逢えて良かったと解かる!」

「あたしみんなのファムファタル……か」
「そう、あんたみんなのファムファタル!」

「それでもいいわ、どう呼ばれても。愛に生きるだけよ」


愛する覚悟は愛される覚悟。
愛される覚悟は愛する覚悟。
生きる覚悟は死ぬ覚悟。
死ぬ覚悟は生き抜く覚悟。


嗚呼。生きる、とは愛する事。愛する事は生きる事。

人と愛し合う度に、お揃いのものが増えていく。
それはとても愛おしく可愛い、人生の楽しみ。

ありがとう。私の愛するひと。
あなたのファムファタルより。

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