2014年2月18日投稿。
再生回数337万回。
超有名YouTuberでも、人気バンドでもない。
どこにでもある男子高校生の日常を切り取った動画が、なかなかにバズっているらしい。

彼らがどこの高校で、現在どのような仕事をしているかなど、詳細は全く不明。
ただ、2014年に高校生であるとすると、みどり苑と同年代になる。
今はマッシュヘアーにセンターパーツがイケてる男子のイケてるヘアスタイルだが、当時は襟足長めのツンツンヘアーこそが主流だった。彼らもまた、襟足長めヘアーで、平成ど真ん中世代であることが伺える。

4人の男子高校生が、廊下でリップスライムの『熱帯夜』を踊りながら歩く、ワンカット動画。約4分の動画だが、コメント数は約6000。高評価は9.8万(！)と相当な人気である。
いくつかチャンネルに投稿されているが、概要欄にこれといって説明事項も無し。おちゃらけた内容とは打って変わって、ちょっとミステリアスな雰囲気を漂わせる。

登場人物は、
●襟足長めカーディガンの彼。動画投稿者(とコメント欄で憶測されている)
●ダッフルコートの彼　脅威のジャンプ力の持ち主
●高身長の彼　モテそう。あとサッカー部って感じ。
●赤セーター 短髪の彼　グループに1人はいるキャラ。東海オンエアで例えると紛れもなくしばゆー。
あとは、素晴らしいカメラワークの、カメラマンも、グループの一員なのだろうか？

『バズりたい、という承認欲求より、自分たちが楽しみたいという気持ちが表れていて好感度がある』
『制服の着こなし方、髪型、、、手軽に平成を感じることができる』
『4人がそれぞれ個性があって好き』
『この4人が登場人物の青春漫画作ってほしい』
など、コメント欄を見ると、かなり愛されていることが伺える。
中でもビビッときたコメントがこちら。

これだ！！

なぜ、私がこの動画を定期的に見てしまうのか。
なぜ、心が疲れたとき、この動画を見たくなるのか。
なぜ、何度見ても、また見たくなるのか。

懐かしいのだ。
自分にはなかった青春がそこにはあって、無邪気にバカやっている姿が眩しいから。

インスタがそこまで浸透していなかった時代。
TikTokなんて存在しなかった。
かっこつかないけど、純粋にそのときを楽しんでいる姿は、なによりもかっこいい。
だから、何度もここに、戻ってしまうわけだ。

青春は戻らないし、今の歳で、彼らのようなおふざけをしたところで、モチベーションは10代の頃と違うのだと思う。
いつだって過去は愛しいし、これからのことを考えると頭が痛くなる。
睡眠時間が少なくても元気だったあの頃。
マスクをしないで堂々と外出できたあの頃。
若さが武器だったあの頃。
いつだってあの頃に戻りたい。
しかし、今を生きていくしかない。

だからといって、あの頃は愛しいままである。
そんなとき、私はこの動画を見る。
手っ取り早く、青春を手に入れる。
4分間、青春を手のひらで味わい、視聴後、深呼吸をして、仕事に戻る。

今に飽き飽きしたり、嫌気が差した、20代の皆さん。
この動画を見て、ちょっと現実逃避してみてください。
そして、青春を取り戻してみてください。

あの頃に戻れなくても、あの頃の気持ちを蘇らせることは容易い。

以前、数年ぶりに夏祭りというものを堪能した。
きっと、10代であれば、もっと楽しめたんだろうな。屋台の行列も、人混みも。
ただ、花火大会の前に浮かび上がった三日月を写真に収めるあたり、10代では確実にしなかった変化だ。
この変化もまた、愛しいのだ。