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同じ時代を生きていた

1997年、私は生まれた。

25年の人生を振り返ると、いつでも、好きな音楽がそばにいた。


先日、くるりのライブに行ってきました。

くるりのライブは初参戦、そもそも1人でライブ参戦すること自体が初めて、という緊張感、加えて仙台日帰り、行き帰りは高速運転、というハードスケジュールにも関わらず、この日は私にとって大切な1日となった。

『愛の太陽』発売記念のツアーのため、セトリは新曲多め。
一曲目『真夏日』は蝉の鳴き声や畦道を彷彿とさせるような、ジメジメと、そしてしっとりと夏を歌い上げる。
すごい!!今、くるりが目の前にいる。
くるりがこの会場で、この会場の人たちのために歌っている。
毎日のように聴いているバンドの音楽を生演奏で聴いて感動しない奴がどこにいるのだろう。
会場には、くるりのパフォーマンスを目に焼き付けたいと集まった人たちで敷き詰められ、みんな、彼らの演奏に体を揺らしたり、MCでの雑談に声を出して笑ったりしている。
1人で参戦したとはいえ、会場がひとつになっている現象が心地よい。

『ハイウェイ』の前奏が流れたとき、やはり私は、彼らの曲の中でハイウェイがいちばん好きだな、と再確認した。
緩やかな歌い方と反して、力強い歌詞に、聴く度に心奪われる。

全部後回しにしちゃいな勇気なんていらないぜ
僕が旅に出る 理由なんて何ひとつない

くるり ハイウェイ より

何かを辞めるとき、何かを始めるとき、真っ先に、この歌詞を思い浮かべる。
何度聴いてもいい曲だ。

アンコールで演奏していた『ロックンロール』、もちろん知っている曲ではあったが、個人的には、くるりの中では、そこまで積極的に聴く曲ではなかった。
しかし、高速の帰り道で、ロックンロールをガンガン流しながら口ずさんでいた自分がいた。
新しい発見ができるのも、ライブの醍醐味だ。

音楽は、写真やビデオのように、そのときの情景や思い出を思い起こす力がある。

福山雅治は、私が初めて熱心になったアーティストだ。彼の曲をデビュー当初から遡って、当時はiPhoneはもちろん、iPodも持っていなかったため、お小遣いで買ったCDを部屋の中で流して聴いていたものだ。ませた小学時代だった。

親の影響で慣れ親しむようになったサザンオールスターズ。
歌詞の意味なんて何一つわからないが(あなたとドリス・デイ 踊ろよマッシュ・ポテト、どういう意味? いなせなロコモーション より)とにかくカッコよかった。
中学時代は『通ぶりたい』お年頃だったため、クラスメイトが知らないサザンに没頭した、というのもある。

aikoを知って、歌詞の意味を深掘りすることこ楽しさを知った。当初恋愛脳(ただし経験値は皆無)の私ほaiko先生の曲で、恋愛というものに思いを馳せていた。

初めて友達とカラオケで遊ぶことを覚えた中学時代。
ヘビーローテーションや、ギンガムチェックなど、当時大流行していたAKB48の曲ばかり歌っていた。
今でも、AKB48の曲はカラオケで歌うことが多い。

AKB48は例外だが、福山やサザンなど、自分の世代より上の音楽を好んで聴くことが多い自分が、『これ、世代だわ』と胸を張っていえるのは、backnumberだ。
今でも時代を担い、大活躍している彼ら。
『高嶺の花子さん』や『恋』、『わたがし』など、女々しくて共感できて、胸が苦しくなる、でも心地よい音楽は、10年前あたりは、画期的だったのではないだろうか。

そこから、バンドの魅力にのめり込むことになる。
My hair is bad、go!go!vanillas、Alexandros、クリープハイプ、などなど。
高校から20歳あたりの思い出には、彼らがいる。

今お付き合いしている彼は、私と同い年だ。
1997年に、それぞれ違う場所で生まれ、違う育ち方をし、違う部活に入り、休日は違うことをして遊び、違う進路へと進んだ。
2人の人生が交わるまで、24年間もあったのだ。
その24年間、事件や天災、環境問題など同じニュースを見ていたし、同じように、新型ウイルスの影響を受けていた。
そして、同じ音楽を聴いて、育った。
厳密に言うと、全く同じではない。
彼は福山もサザンもaikoも全く聴かないのだ。
しかし、backnumberなど、当時流行していたカルチャーは共通している。
ボボボーボボーボボも、夕方クインテットも、ペン回しも、修二と彰も、知っている。

違う人生を歩んできたのに、同じカルチャーに触れてきたことが、面白いなあと思った。

自分に自信がなくて、周りの目が怖くなったとき。初めて片思いの人に告白したとき。
初めて1人で県外にドライブしたとき。
彼はどんな風に過ごしていたのだろう。

カルチャーは、付箋のように、その人生の目印になる。
こんな経験をしたとき、この音楽が流行っていたなあ、とか。
思い出を振り返るときに、カルチャーは必要なのだ。

現在、同じ時間を過ごしている。
写真を撮るように、あの頃の音楽をアルバムに保存しておけば、いつでも懐かしい気持ちになれる。
懐かしいって感情が好きなのだ。
いつでも、あの頃に戻れる。
現実逃避ではない。
明日に進むための、エネルギーチャージだ。

くるりのライブも、付箋紙を貼って、いつでも思い返せるようにしておこう。
いつでも、あの頃に戻れるように。

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