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恋する惑星 待つことの美しさ


後編の感想です。

前編とは別の警官と、惣菜屋の新人店員との物語。

↑前編の感想はこちら

警官に一目惚れした店員フェイは、警官がCAの女性と別れたことを知る。思わぬ形で家の鍵を手に入れ、住所を聞き出したフェイは、警官の家を掃除したり、水槽の魚を増やしたり、ぬいぐるみを替えたり、模様替えをしたりする。
フェイはかなり大胆な行動をするものの、警官は部屋の変化に気づかない。それどころか、出て行った元カノを引きずったまま。
そんな生活も警官にバレてしまう。警官とフェイが家で鉢合わせしてしまったのだ。
警官は怒ることもなく、フェイをデートに誘うが、フェイはカルフォルニアへと旅立ってしまう。
惣菜屋の店主が、フェイから預かっていた封筒を警官に渡す。搭乗券が入っていた。しかし、行き先は雨で濡れて読めない。

1年後。警官は惣菜屋を買い、新たな店を開こうとしていた。
フェイはCAの格好で姿を現す。
(元)警官が、搭乗券の行き先をフェイに訊ねる。
フェイは、どこに行きたい?と聞く。

君の行きたいところに

と、答えた。
(この最後のセリフにキュンとした!それはもう、かなりキュンとした。)

1年の間。警官は元カノのCAとヨリを戻そうとするわけでもなく、フェイを待っていた。

今の時代であれば、LINEで気軽にやりとりしたり、インスタやTwitterで相手の生存を確認したりできるが、当時はあってポケベル。相手の連絡先を知らない場合は、待つしかない。

店を譲ってもらったのも、おそらくフェイが戻ってくることを信じていたからだろう。

待つことは難しい。
相手を信じ切らなければいけないからだ。

相手からLINEの返事が来ない、もういいやー知らない!って言いたくなりがち。(私だけ?)
ちょっと辛抱強く待ってみたら、いいことあるのかも。

ハーゲンダッツの、『待つ人だけに幸福は訪れる』というキャッチコピーが好きだ。
アイスも、冷蔵庫から出したてのカチカチよりも、ちょっと溶けた方がおいしいよね。

しかし、待つだけではいけないときもある。
相手のリアクションを伺うだけでなく、たまにはアクション起こしたい。
嫌われるかな、とか、迷惑かなと、とか、余計なことばかり心配してしまうが、フェイの(かなり)攻めた姿勢はちょっと見習いたい。


無期限。待つこと。

時間には限りがある。
私たちは永遠に憧れる。
永遠なものなど存在しないからだ。
毎日激しく移り行く社会で、永遠を信じるのは難しいのだ。
永遠が架空であれば、自身の中で生み出したっていい。
自分の命ある限り信じてみたら、それは永遠になる。自分自身の中で。

素晴らしい映画に出会えた。
素晴らしい映画とは、何度でも自分の中で記憶を呼び起こすことができる。
命ある限りは、容易いだろう。

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