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在宅医療×AI-ChatGPT team:GPTs具体例9例

皆さんこんにちは!みどり訪問クリニックです!
本日はAI第2段として具体例をお示しします。

前回の在宅医療でのChatGPT team導入についてのnoteはコチラ

今回はどんな具体例があるのかということを説明し、ChatGPT teamのドキドキを共感していただければと思います。「訪問看護指示書作成GPTs」と「返書作成GPTs」は先のnoteで紹介いたしましたので、上記ご参照いただけますと幸いです。また今回もデモ病歴は前回使用しました80歳男性を使用します。何度も繰り返しますがChatGPT teamは入力内容が学習に利用されないため、個人情報を入力できるのが、teamプランの強みです。


文脈を考慮してくれるメリット

ChatGPTは文脈を考慮してくれますので、一旦デモ病歴を入力したら、その患者さんの背景を意識してそれぞれの文書などを作成してくれます。ですので、1回ずつプロンプトに「」(カギカッコ)などを使って病歴を入力するのもいいんですが、毎回やるのは非効率的。患者さんごとのチャットを作成しておきながらメンション機能、すなわち@(アットマーク)でGPTsを呼び出すことで、同じ患者さんの背景の文書を様々書くことができます。
参考↓


1.診療情報提供書作成GPTs


プロンプト

「(デモ病歴を載せる)」この患者さんが「昨日発熱、本日SpO2が87%に低下し、痰も増加していることから誤嚥性肺炎を来しているものと思われます。」他病院搬送用の診療情報提供書を作成してください。

回答:

平素より大変お世話になっております。この度は、当院で診療を受けております80歳男性患者様について、貴院への緊急搬送をお願いする運びとなりました。以下、患者様の状況につきましてご報告申し上げます。

患者概要性別: 男性
年齢: 80歳
主訴: 発熱、SpO2低下、痰の増加
現病歴: 患者様は昨日より発熱が見られ、本日はSpO2が87%まで低下し、痰の増加が認められました。これらの症状から、誤嚥性肺炎を来している可能性が高いと考えられます。


既往歴脳梗塞後遺症による左半身麻痺
高血圧
糖尿病


現在の治療状況高血圧、糖尿病に対する内服治療継続中
脳梗塞後遺症に対するリハビリテーションを実施中


緊急搬送の理由

患者様のSpO2の低下及び呼吸状態の悪化が見られるため、迅速な高度な医療機関での評価と治療が必要と判断いたしました。誤嚥性肺炎の可能性が高く、このままでは患者様の一刻も早い適切な治療が求められます。

お願い

貴院におかれましては、患者様の状態を踏まえた上での迅速な診断及び適切な治療をお願い申し上げます。また、患者様の既往歴や現在の治療状況も考慮いただけますと幸いです。

患者様の搬送にあたり、必要な情報提供は惜しみませんので、何卒よろしくお願いいたします。お忙しい中大変恐縮ではございますが、患者様の救命・治療のため、ご協力のほど心からお願い申し上げます。

箇条書きになってしまいましたね。文章のほうがいいと思いますので、そのように変更してもらいましょう。

プロンプト:

箇条書きではなく、文章にして

回答:

平素より大変お世話になっております。この度は、当院で診療を受けております80歳の男性患者様につきまして、誤嚥性肺炎を来している可能性が高い状況下で、貴院への緊急搬送をお願いすることとなりました。患者様は昨日から発熱が見られ、本日にはSpO2が87%まで低下し、痰の増加も認められる状態です。これらの症状から、誤嚥による肺炎が疑われます。

患者様は脳梗塞後遺症による左半身麻痺を抱えており、高血圧と糖尿病に対しても内服治療を継続しております。これまで、当院ではこれらの疾患に対する管理とともに、脳梗塞後遺症に対するリハビリテーションを行って参りました。

現在の患者様の状態を鑑み、より高度な医療設備と専門的な治療が可能な貴院への緊急搬送を決定いたしました。患者様のSpO2の低下及び呼吸状態の悪化が見られるため、迅速な評価と治療が求められております。貴院におかれましては、患者様の既往歴や現在の治療状況を踏まえ、迅速な診断及び適切な治療を施していただけますと幸いです。

お忙しいところ大変恐縮ではございますが、患者様の救命と治療のため、何卒ご協力を賜りますようお願い申し上げます。患者様の搬送に際して、さらに詳細な情報が必要な場合は、遠慮なく当院までご連絡ください。貴院のご支援とご協力に心より感謝申し上げます。

誤嚥性肺炎は在宅での治療もできる、とか、入院適応かどうか、という話は一旦置いておいて、ChatGPTの例を体感してください。

2.在宅医療計画書作成GPTs

こちらも初診時には作成します、在宅医療計画書です。

プロンプト:

「(デモ病歴を入力する)」この患者さんの情報から在宅医療計画書を作成してください。

回答:

在宅医療計画書

医学管理に基づく疾患の治療に関する指導:


患者は脳梗塞後遺症による左半身麻痺を有し、高血圧及び糖尿病を患っています。これらの疾患に対する適切な医学管理として、血圧と血糖値の定期的なモニタリングを行い、処方された薬剤の管理を徹底します。また、症状の変化に応じて、医師の診察を受けるよう指導します。

その他必要な治療に関すること:

脳梗塞後遺症による運動機能障害の改善を目指し、在宅でのリハビリテーションプログラムを実施します。物理療法士や作業療法士の訪問による専門的なリハビリテーションを計画し、患者の自立支援と生活の質の向上を目指します。

投薬に関すること:

高血圧と糖尿病に対する薬物療法は、定期的な医師の診察に基づき、適切な投薬管理を行います。薬剤の種類、服用量、服用時間に関する詳細な指導を行い、副作用や薬剤間相互作用に注意しながら、患者や家族に対する教育を実施します。

介護サービス利用上の留意事項介護方法についての指導・助言:

患者の日常生活の質を向上させるために、介護サービスの適切な利用を推奨します。在宅介護サービス、訪問看護、訪問リハビリテーションなどの利用を促し、患者や家族がサービスを最大限に活用できるようサポートします。また、患者の安全を確保するための住環境の改善や介護用具の適切な使用についてもアドバイスします。

療養計画に基づく計画的な医学管理:

脳梗塞後遺症のリハビリテーションと、高血圧及び糖尿病の疾患管理を統合した総合的な療養計画を作成します。定期的な健康状態の評価と、必要に応じた治療計画の見直しを行い、患者の状態に応じた柔軟な医療提供を目指します。また、患者や家族に対する教育とサポートを継続し、療養生活の質の向上を図ります。

3.BPSプロブレムリスト作成GPTs

在宅医療や家庭医療領域にはBPS(Bio-Psycho-Social)モデルというものが存在します。これは患者さんをいろんな側面から見て、生物学的な側面だけではなく患者さんの全体像を把握するためのモデルです。

プロンプト:

この患者さんのプロブレムを挙げてください

回答:

・biology
(背景) 脳梗塞後遺症による左半身麻痺、高血圧、糖尿病、誤嚥性肺炎の発症
#左半身麻痺による運動機能障害
#高血圧および糖尿病の継続的管理
#誤嚥性肺炎に伴う呼吸機能障害
#痰の増加とSpO2の低下
・psychology
(背景) 誤嚥性肺炎の発症による精神的ストレス、趣味活動への参加制限、慢性疾患のストレス
#誤嚥性肺炎に伴う不安感とストレス
#趣味活動(読書、囲碁)への参加制限による孤立感
#慢性疾患管理に伴う心理的負担
#リハビリテーションへの参加動機の減少
・social
(背景) 自宅療養中、家族による介護負担、社会的サポートの必要性
#家族による介護負担の増加
#社会的孤立感と支援サービスへのアクセス制限
#適切な医療・介護リソースへのアクセス困難
#在宅医療とリハビリテーションサービスの調整と継続の必要性

それぞれ優先順位がどうなのか、とか、「プロブレムか?」という内容もありますが、見落とされがちなpsycologyな側面やsocialなプロブレムも挙げてくれるのは初学者にとって、大きなサポートとなりますよね。

4.サマリー作成GPTs

病歴や経過が長くなってくるとサマリーが必要になってきます。他の先生が見た時にも、経過がわかるようにサマリーを作成しておくのは重要なんですが、サマリーを作るのって時間がかかりますよね。
これも作ってみてもらいましょう。

プロンプト:

サマリー作成して

回答:

患者は脳梗塞後遺症による左半身麻痺、高血圧、糖尿病を有し、最近になって誤嚥性肺炎を発症した。この状況は、生物学的側面では運動機能障害、呼吸機能障害、継続的な疾患管理の必要性、痰の増加とSpO2の低下といった問題を引き起こしている。心理的側面では、誤嚥性肺炎による不安感とストレス、趣味活動への参加制限による孤立感、慢性疾患管理の心理的負担、リハビリテーションへの参加動機の減少が見られる。社会的側面では、家族による介護負担の増加、社会的孤立感、支援サービスへのアクセス制限、適切な医療・介護リソースへのアクセス困難、在宅医療とリハビリテーションサービスの調整と継続の必要性が挙げられる。

先程のBPSモデルの文章の文脈で作成されてしまいました。
一番もとになった病歴を入力してみましょう。

「(デモ病歴)」のサマリーを作成して

【現病歴】:80歳の男性は脳梗塞後遺症により左半身に麻痺を残している。脳梗塞は2年前に発症し、緊急入院にて治療を受けた経歴がある。

【既往歴】:高血圧、糖尿病の既往があり、これらに対しては長期にわたる管理と治療が行われている。

【生活歴】:教育職に従事した後、定年退職し、読書や地域貢献活動に多くの時間を費やしてきた。読書は特に日本古典文学に関する深い知識を持ち、脳梗塞後はオーディオブックを楽しむようになった。また、地域の囲碁クラブに所属し、現在はオンラインで観戦や研究を行っている。

【薬剤】:(情報無し)

【ADL】:左半身の麻痺により、日常生活の一部に支障があり、定期的なリハビリテーションによる機能改善と自立した生活の回復を目指している。

【その他】:趣味として囲碁と読書を愛し、庭いじりも楽しんでいた。家族構成は配偶者との二人暮らしで、成人した子どもが二人おり、孫も複数いる。孫との関わりを通じてリハビリに対するモチベーションを高めている。読書会や囲碁クラブへの再参加、孫との活動を楽しむことを目標にしている。

このようにフレームワークをGPTsに覚えさせることもできます。毎回フレームワークを指定するプロンプトを書いてもいいですが、頻用するならGPTsを作成してしまったほうが早いです。

5.治療変遷サマリーGPTs

患者さんの全体的なサマリーは先述のGPTsで作成できますが、直近の変遷についてもサマライズしておくと便利です。他医師もその変遷を理解できますし、主治医としても何かしらのイベントの時系列や薬剤による有害事象を見つけやすくなります。電子カルテの複数日の記載を一気にコピペして、このGPTsに入力するだけ。こちらの具体例は示すのが難しいですが、
日にち、診療形態(定期訪問、その他、往診)、日毎のサマリーをoutputしてくれます。重複している情報は省略するようにカスタマイズしておくことで可能になります。


6.医療倫理の4分割表GPTs

プロンプト:

この患者さんが搬送先にて気管挿管となりました。医療倫理の4分割表を用いてこれまでの情報を整理してください。

回答:

医療倫理の4分割表に基づく整理

医学的適応 (Medical Indications)

患者の医学的問題: 脳梗塞後遺症による左半身麻痺、高血圧、糖尿病、及び最近誤嚥性肺炎を発症し、気管挿管が必要と判断された。
急性か、慢性か、重体か: 誤嚥性肺炎による急性の呼吸障害があり、重体と判断されたため気管挿管が行われた。
治療の目標: 誤嚥性肺炎による呼吸障害の管理と、患者の安定化。
治療が成功する確率: 正確な確率は個々の患者の状態によるが、気管挿管は呼吸障害に対する即時の対応策として有効である。


患者の意向 (Patient Preferences)
精神的判断能力: 診断前の情報からは、患者は精神的判断能力を有していたと思われるが、現在の緊急状況下での意思決定能力は不明。
治療への意向: 患者の事前の意向についての明確な情報はないが、リハビリテーションへの積極的な取り組みから、生活の質を重視する姿勢が伺える。
代理人の存在とその意向: 患者は配偶者と生活しており、緊急時の意思決定は配偶者が担う可能性がある。


QOL (Quality of Life)
通常の生活に復帰できる見込み: 長期的な見通しには不確実性があるが、気管挿管後の適切な治療とリハビリテーションにより、QOLの改善が期待される。
治療による身体的、精神的影響: 気管挿管は患者にとって侵襲的な処置であり、その後のリハビリテーションには時間と労力が必要となる。


周囲の状況 (Contextual Features)
家族の要因: 患者の配偶者が介護を担当しており、搬送と治療の決定において重要な役割を果たす。
医療者側の要因: 患者の状態を最もよく理解している医療チームによる、迅速かつ適切な治療の実施が求められる。
財政的・経済的要因: 治療に伴う費用負担や、長期的なリハビリテーションに対する経済的支援の必要性。
法律的要因: 患者の治療に関する意思決定において、法的に認められた代理人の意向が重要となる。

プロンプト:

これまでの情報から4分割表に足りない情報はなんですか?

回答:

これまでの情報から4分割表に足りない情報を整理すると、以下の点が挙げられます。

医学的適応 (Medical Indications)
治療が奏功しない場合の計画: 誤嚥性肺炎と気管挿管後の予後や、治療が奏功しない場合の代替計画についての詳細が不足しています。

患者の意向 (Patient Preferences)
患者の事前指示: 患者が以前に作成した事前指示書(アドバンス・ディレクティブ)や、特定の治療選択に関する意向があるかどうかの情報が不足しています。
患者の治療への意向: 現状における患者の意向や、気管挿管を含む緊急治療に対する具体的な意思が明確でない。

QOL (Quality of Life)
医療者による患者のQOL評価に偏見を抱かせる要因:
患者のQOLに対する医療者の評価が、患者自身の価値観とどの程度一致しているか、医療者の偏見の可能性についての情報が不足しています。
治療をやめる計画やその理論的根拠: 患者のQOLを最優先に考えた場合の、治療中止や緩和ケアへの移行に関する検討が不足しています。

周囲の状況 (Contextual Features)
治療に関する決定に影響する医療者側の要因:
患者に対する治療決定における医療者の価値観や信念、利害対立の有無に関する詳細が不足しています。
資源配分の問題: 患者の治療に必要な医療資源の配分やアクセスに関する問題が検討されていません。
臨床研究や教育の関与: 患者の治療が臨床研究や医学教育にどのように関与しているかについての情報が不足しています。

これらの足りない情報を補完するためには、患者や家族とのさらなるコミュニケーション、医療チーム内での詳細な検討、患者の価値観や希望を尊重した意思決定プロセスの実施が必要です。

注意点:利用されない。利用する

もちろん言うまでもないですが、これまで見ていただいた通り、ChatGPTを含め生成AIは正しい情報を出してくれるとは限りません。この作成したGPTsを利用するのは、ある程度のベースの知識を持っている方のほうがいいと思います。もちろん教育に利用するのはいいと思います。しかし、どのように使用するのか、どのあたりに注意するのかはそのフレームワークによって異なります。生成された情報を鵜呑みにせず、あくまでアシスタントとして批判的な目も持ちながら利用することで生成AIとのいい関係を保ちながら利用することができると思います。適度な距離感を模索しながら、try and errorを繰り返していくのがこの時代には必要なのかもしれません。

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