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晴海埠頭と角松敏生

晴海埠頭に毎週通っていたかもしれないって程に

夜の晴海埠頭にハマっていた


適度な距離

適度な人混み

適度な夜景

男同士でも、女の子ともこの場所に何回も来た

不思議と車の中では

普段できないような話ができる


男同士だと、普段できない真面目な話、ちょっとエロい話、仕事の話

女の子だと、大体の共通の友達の話、恋愛の話、仕事の愚痴っぽい話


当時の私は、女の子大好き人間なはずなのに、いつも友達止まりなのだ

話しやすいとか

男ってこう時どう思うの?とか

男と意識してもらっているのだろうか?

何故か、いつも男全般の意見を聞かれる

そんな私に

千載一遇のチャンスが来たことがあった


私は例の如く、彼女はいなくて、気軽いに映画やドライブには

一緒に行ける女の子がいた(恋心はあるのだ)

語学学校で知り合った一つ上の先輩なのだが

「タメ口でいいよ」

ってことで、意気投合して、よく話をしていた

当時は携帯など通信機器は無いので、みんなが寝静まった頃に電話をして

平気で2時間くらい話していたりした(ほとんど聞く方だけど)

そんな話の延長で


週末に晴海埠頭へ夜のドライブに行った

電話以上に盛り上がる車内での会話

当時の彼女は、彼氏いるのだか、どうだかわからない状態

少しでも気晴らしになればと思い、ドライブへ誘った

この当時、私達は角松敏生の音楽にハマっていた

カーステレオに自作したカセットを入れて何度も聴いていた


晴海埠頭で車を止めて

ずっと彼女の話を聞いていた

彼氏っぽい人がいるのは薄々わかったいたのだが

彼とはうまくいっていない、という話だった

何とか彼とよりを戻せればいいのにと、思いながらも

彼女に対しての恋心を抑えきれない気持ちもあった


彼女は、私をどうやら【男】として見てくれていると

私は思っていた

話を聞きながら、彼女が私を見つめた

近く二人の顔・・・


コレは

もしかして

いけるのか?

言ってしまおうか?


「好き」なんだと❗️


車の中の雰囲気は、最高に盛り上がっている【今】がチャンスだ

そう思った瞬間



彼女が優しく私を押した

そしてちょっと間をあけて言葉を発した


「君みたいに、相談できて、話を聞いてくれる、優しい人は中々いない」

「ん?」

「君といると楽しいし、付き合ったら良いと思うよ」

「ん?」

もしかして、このパターンは・・・・・

嫌な予感が・・・


「私は付き合って、君という人を失いないたくないのよ」

「失う?」

「い、いや失わないでしょ、側にいるし」

「付き合うと、別れがくるじゃない?」

「君とは、ずっと、何でも言い合える関係でいたいのよ」

「つまりそれって、どういうことかな?」

「今の彼氏の様に、君を嫌いになりくないの」

「私も君のことを、好きなのかも知れないけれど、今日は帰ろう」

・・・・・

・・・

分厚いな〜友達の壁って


行きのドライブと同じ角松敏生の音楽が流れている

オートリバースでA面とB面を繰り返し再生される

全く同じ曲なのに

彼女を送っている時の曲は、まるで違う音楽の様に聴こえる

彼女を自宅まで送りその日は別れた

自宅までの帰り道

カーステレオからは角松敏生は、流れていない

ラジオからFENの早口の英語が聴こえる

全く知らない英語の音楽が無言の車内で響いていた


その後、何度も電話や晴海埠頭に行ったりしたが

もう恋愛に進展することはなかった

あ〜男女の友情ってこういうものなのかな?

彼女とは何でも、お互いに言い合えると思った


その後

彼女は外国の人とお付き合いをしていると聞いた

携帯もスマホもない時代の話


もう二度と彼女とは会うことはないのだろう


「君という人を失いないたくないのよ」


その言葉だけが今でも心の片隅に残っている



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