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考えさせられすぎる

『春にして君を離れ』(早川書房) 読了。著者はアガサ・クリスティーですが、発表当時は身分を隠しメアリ・ウェストマコット名義で出版されています。アガサ・クリスティー名義で出すと「なんじゃこりゃ〜!」と本をぶん投げる人が続出する懸念があったのですね。確かに今でも「ちょ、なにこれ!」という人もいるかも。

ミステリー成分がゼロ、中年女がモヤモヤモヤモヤウダウダウダウダ考えまくるだけの(笑)、そして発狂してしまうほどの物哀しさ、人生の哀しみ炸裂、解説の栗本薫さんのおっしゃる「怠惰と怯懦」を痛々しく見せられるがしかし「これがお前だ!」と言われているような、世にも恐ろしい小説なのだ。
それにしてもクリスティーってやっぱりすごい人なんだなぁーとあらためて思う。わたしはこの作品に芥川賞な感じを受けました。なにその感じ(笑)。でもそんな感じ。
(帯には、鴻上尚史さんの人生相談で取り上げられたことが書かれていますが、それについてはまあ私はなんとも言えないなぁと思いましたです)

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