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デストピア小説なのだろうか

胸ぐらをつかまれて揺さぶられたようなショック。
「あなたが生きているのはこんな世界ではありませんか?」って言われて「え、ああ、まあそのうちにそんな感じになるのかなあ、あははは、はは…」と力なく笑うのかオレ。

多和田葉子著『献灯使』(講談社文庫)を読みました。
いま、いまのこのときに読んで余計にグラッときました。

それにしても言葉の使い手としての力量がすごいですね。
実は多和田作品を初めて読みました。
創作する者はこうでなくちゃな。じわり滲み入る隙のない表現と言葉遊び。散りばめられた頓知。

「手のひらを焼き続けた失望を手のひらをひらくことで手放すことができた。自分たちを取り巻く「事情」という名の蜘蛛の巣の存在を理解できないままに受け入れてしまったのかもしれない。」

という一文が刺さりました。
自分のことを言われてるみたい。

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