就職氷河期世代である私たち。年齢をある程度重ねてからの就職活動って、とても心細いものだと思うんです。現状を変えたいけれど、どんな方法があるのか思いつかない。これまでの経験が、「今」の就活にフィットしているのだろうか、などなど。あふれんばかりの情報の中から、自分に合った仕事を見つけるのは至難の技です。

そんなとき、頼りにできる場所があります。それはハローワーク。国が運営する職業案内所で、誰でも無料で利用することができます。多くの方がその存在を知っていますが、就職に対してたくさんの知識を持ったエキスパートがいることや、面接や書類作成などのサポートを受けられることを知っている方は少ないのではないでしょうか。

今回はハローワーク四日市で、主に就職氷河期世代支援窓口を担当する 谷口さんに、ハローワークで受けられる支援について詳しくお話をお聞きしました。

就職のエキスパートたちと話せる場所

大学卒業後に労働局に入局し、人事などの部署を経て、今年の4月から就職氷河期世代支援窓口の担当となった谷口さん。学生時代から、女性の労働支援に関わりたいと考えてこの仕事に就きました。

「出産を機に離職した母が、再就職で大変な思いをしていました。正規雇用は難しく、ずっと派遣で働いているのですが、給与や待遇面で不安定なところがあり、毎年更新の時期に「更新されるのかな、不安だな」と言っていました。そういった姿がとても心に残っていたので、労働局で働きたいという思いに至りました」

母の姿を見て、何か自分にできることはないかと選んだ道。労働局では、就職支援をはじめとした労働分野のゼネラリストになるのを目標に、経験を積んでいます。ハローワークの前には、労働局で人事の仕事をしていました。

「年間1000通ほど履歴書に目を通していたので、こういう風に書くとわかりやすいな、こういうアピールポイントは目にとまるんだなど、人事担当者の目線を持つことができたので、それが今の業務にも役立っていますね」

就職氷河期世代支援窓口には、谷口さん以外に3人の相談員が在籍しています。相談員は人事担当者、福祉、カウンセリングなどさまざまな分野で働いた経験を持つ方ばかり。中には、キャリアコンサルタントの資格を持つ方もいます。窓口では、いわば「就活」のエキスパートが相談にのってくれるのです。

基本的には、予約なしで相談が可能。特に支援の必要な方は、担当者制とし、悩みや疑問の糸口が見つかるまで、しっかりと伴走してもらうこともできるのです。

「どんなささいな悩みでも構いません。先日は『今の仕事から、転職した方がいいでしょうか』という相談もありました。今はどういった求人があるのか、そのためにはどういった資格が必要なのか、というような悩みをお聞きすることもあります」

ささいなことでも大丈夫。まずは、相談してみよう！

窓口での相談以外に、2021年の9月から就職氷河期世代向けのオンラインセミナーを実施しています。10月からは、応募書類の書き方セミナーを毎月開催。オンラインで実施するため、自宅で受講することができます。書いた書類は、相談員が添削し、アドバイスをもらうこともできます。

「応募した会社の求めるスキルがあっても、不採用になってしまう方もいます。面接の取り組み方次第で不採用になってしまうとことも。窓口で相談して下さる方には、書類を添削したり、面接のポイントをお伝えさせていただくこともできますよ」

11月は自己分析のセミナーを実施予定。簡単なチェック項目をもとに、自分の興味関心や傾向を知り、就職活動に活かすことができるそう。通常時も、「キャリアインサイト」という自己分析用のPCを利用して、自己分析を行うことも可能です。

「求人条件をしっかりと読み解く力、自己分析、書類作成、面接対策。それが全部合わさって、いい就職支援ができるんじゃないかと思っています。どれか一つでも足りないと、ミスマッチな仕事についてしまったり、見合う能力があってもうまくアピールできず、希望する企業に就職できなかったり。これまで就活が上手くいっていないと感じる方にこそ、こういった支援があることを知ってほしいですね」

他にも求人票の見方を教えてもらえたり、資格取得の支援について詳しく聞くこともできます。大人になると、自分の中にある不安や疑問はついつい一人で抱え込みがち。自分のなかに転職の意思が固まっていなくても、どんな仕事につきたいのか定まっていなくても大丈夫。まずは、その疑問を窓口で話すことからはじめてはいかがでしょうか。自分の中にある意外な可能性に気づくきっかけになるかもしれません。

一人ひとりに合わせた支援のかたち

窓口でさまざまな方と話をする中で、一人ひとりに合わせた支援が必要だと強く感じるようになったという谷口さん。

「就職氷河期世代と呼ばれてはいますが、生活スタイル、望む仕事の条件、悩みや考え方も、一人として同じ人はいません。だからこそ、それぞれにあった提案や支援が必要だとひしひしと感じていて。それは就職氷河期世代だけじゃなく、女性や障害を持つ方など、すべての方の支援に通じることなんです」

「中には就職氷河期世代と呼ばれることに抵抗を感じる方もいるので、支援を押しつけるのではなく、こういうサポートがあることをまずは知っていただき、自分で選んでいただくことが大切だと思っています」

大切なのは、一人ひとりに対する支援。最近ではハローワークに足を運べない人や、ネットで就活を行っており、ハローワークと接点がない人にも利用しやすいようにと、インターネットでのサービスを拡充し、支援を強化しています。

「今はハローワークでもオンラインのサービスが広がっています。できればネットをきっかけに、ハローワークの取り組みを知ってもらい、窓口で直接お話ができる機会をもてたら、もっと多くの方の力になれるんじゃないかなと思ってます」

私自身は転職の際、WEB媒体や転職エージェントを利用していたので、ハローワークは、雇用保険の手続きを行う場所、というイメージしかありませんでした。けれど今回、谷口さんに話を聞くことで、そのイメージは大きく変わりました。

就職のささいな悩みを聞いてくれたり、新しい仕事に向かって一緒に伴走してくれる場所。もし、仕事にまつわる悩みが少しでもあるのならば、そのことを話すことから始めてみませんか。心細い気持ちが、少しでも晴れるきっかけになりますように。

【セミナー情報】

就職氷河期世代歓迎　オンライン企業説明会
令和3年10月26日14:00 ~ 15:45
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三重県下の各市に就業場所のある企業（4社）が参加します。
マイクもビデオもオフでＯＫですので、お気軽にご参加ください。
お問合せ先・開催運営：ハローワーク四日市／059-353-5566（41＃）

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応募書類作成の基本を知りたい方、アピールポイントや職歴を整理したい方におすすめです。
お問合せ先：ハローワーク四日市／059-353-5566（41＃）