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スピンオフ小説・憧れの初恋相手、M先輩(中編)

第 4 章

無事に中学校に進学して、憧れのM先輩と同じ吹奏楽部に入れて、アタシは凄いいいスタートを切れたと思ってるの。

あっ、アタシは福本朋子。中学1年生の女子よ。

唯一残念だったのは、憧れのM先輩が吹いてるサックスのパートに、抽選で外れて入れなかったことと、小学校からのお友達梅ちゃんが、サックスパートに入れたこと、かな。
アタシがあまり好きじゃないOちゃんもサックスに入ったのは悔しいけど。

でもアタシ、毎日放課後になるのが楽しみなんだよ、今♪

部活に行って、M先輩の顔を見るのが楽しみなの💖

そして、中学校ならではのルールで、廊下ですれ違ったりしたら、後輩から先に挨拶しなきゃいけないんだけど、たま~にM先輩と廊下ですれ違うことがあるの。

その時はアタシ、全力で
「おはようございますっ!」
「こんにちはっ!」
「お疲れさまでしたっ!」

って、挨拶してるの。

少しでもM先輩にアタシのことを覚えてほしいし。

部活の行事はしばらくないから、アタシは初めて吹くホルンに慣れようと、毎日部活で基礎練習を頑張ってるの。

先輩方も優しく教えてくれるから、少しずつホルンの音が出せるようになってきたよ。

昨日は出来なかったことが今日は出来るようになるって、凄い嬉しい♪

極端な話になっちゃうけど、M先輩抜きにしても吹奏楽部に入れて良かったよ。

あっ、でもM先輩がいなきゃ、吹奏楽部には入ってないかな…。

もしM先輩がいなかったら、アタシは体育が好きだから、バレー部かバスケ部、または陸上部に入ってたかなぁ…。

そうそう今日はね、一ついいことがあったの♬

帰る時にM先輩に、「お先に失礼します!」って挨拶したら、

「お疲れさま。いつも福本さん、元気があっていいね!ホルンの音もしっかりしてきたね!このままグングンと伸びていってね」

って、言ってくれたの~O(*≧∀≦)O

M先輩、アタシの練習も視界にいれてくれてるんだ。流石部長さん、凄いな!
ますますアタシの恋心に火が付いちゃった💕

先輩のお誕生日って、いつなんだろう?

もしこれからだったら、素敵なプレゼント用意して、プレゼントと一緒に告白しちゃったりして(*ノωノ)

そして付き合ってください!って言ったら、M先輩がいいよ、なんて言ってくれるの♪

M先輩が彼氏だなんて、みんなに自慢出来るよ!

そしてデートして、帰りに手を繋いで駅から社宅まで歩いて、別れ際にまた明日とか言って、キスしちゃうの💘💏

キャーッ\(*≧∇≦)/

「ちょっと朋ちゃん、お風呂でうるさいわよ!」

あっ、今アタシ、お家に帰ってお風呂に入ってたんだ、お母さんに聞こえちゃったかな?ハズカシー(≧o≦*)

でも先輩の誕生日が終わってたら、告白のチャンスが1回減っちゃうよね…。

何かイベントとか行事とか、ないかな?

クラスマッチ…は、ちょっと違うよね。

あっ、夏のコンクールってのがあった!

コンクールなら、吹奏楽部の人達しか周りにいないから、友達に協力してもらって、告白のチャンスがあるかな?

コンクールを逃したら、体育祭かぁ。

ちょっと先過ぎる!

決めた!夏のコンクールで、M先輩に告白するんだ、アタシ。

それまでにホルンをもっと頑張って、先輩ともっとお話しできるようになっておかなきゃね。

アタシ、頑張る!

第 5 章

1学期が終わって、夏休みに入ったんだけど、アタシ、凄いショックなことがあったの。

もう吹奏楽部やめちゃおうかなって思ったほどなの…。

アタシの初恋の相手、M先輩に、吹奏楽部内で彼女が出来たって噂を聞いたんだけど、全然部活ではそんな素振りなかったし、噂でしょ?って流してたんだけど…。

昨日、M先輩が、クラリネットのT先輩と2人で仲良さそうに一緒に部活から帰るのを見ちゃったの…(>_⊂)

2人の姿はもうラブラブで、手とかは繋いで無かったけど、どう見てもカップル。

アタシ、失恋しちゃった…💔

「ただいまぁ…」

「朋ちゃん、おかえり。どうしたの、そんな落ち込んで」

「お母さん、アタシ、失恋しちゃったよぉ」

お母さんの声を聴いたら、つい涙があふれてきちゃった。

「よしよし、朋ちゃん。聞いてあげるよ。Mくんにフラれちゃったの?」

ううん、とアタシは首を横に振った。

「え?告白したんじゃないの?」

「告白する前に、M先輩に彼女が出来ちゃったの。今日の帰りにね、この目で見たの。夢じゃないかなって思って、頬をつねったけど、夢じゃなかったよぉ、お母さん…」

「そっかー。…お母さんもね、朋ちゃんくらいの頃に、何回も失恋したのよ」

「お母さんも?失恋?」

「そう。でもこうやって元気に生きてるでしょ?お母さんは初めて失恋した時、好きだった男の子を見返してやる!って思って、勉強とか頑張ったの。でもさ、一度心から好きになった男の子のことは、そう簡単に忘れられるものじゃないわ。特に朋ちゃんは、隣の棟に住んでるMくんが初恋のお相手なんだもの。無理に忘れなくってもいいのよ」

「でも、M先輩とはもう付き合えないんだよ」

「そんなの、分かんないわよ」

「えっ?」

「朋ちゃんがMくんのことをずっと好きでいたら、いつかチャンスが来るかもしれない、ってこと」

「でも、でも…」

「お母さんはね、最初に失恋した男の子のことがどうしても忘れられなくて、結局フラれた後も、何回もアタックしたの。そしたらね、6回目のアタックで、お母さんのことを好きって言ってくれたんだよ」

「えーっ、お母さん、凄い!6回も同じ男の人に告白し続けたの?」

「そうよ。それだけ、お母さんにはこの人しかいない!って思ってね」

「お母さんも若かった時、頑張ったんだね。結局その男の人とは、どうなったの?」

「どうも何も、あなたのお父さんがその男の人なのよ」

「うわっ、そうなんだ!」

アタシ、お父さんとお母さんの出会い、馴れ初めを一気に聞いちゃった。

お母さんの恋、凄い恋だったんだ…。
だからウチのお父さんとお母さんは、今でも仲良しなんだね。

「だから朋ちゃん、Mくんのことを簡単に諦めたりせずに、思い続けなさい。第一、お母さんと違って、直接フラれた訳じゃないんでしょ?偶々、朋ちゃんより先に、Mくんの彼女になった女の子がいただけでしょ?」

「う…ん。出来たらね、夏休みの終わりにある吹奏楽コンクールの時に、M先輩に告白しようと思ってたの」

「Mくんのこと、嫌いになったの?そうじゃないよね?じゃあ、Mくんのことが好き、だけど、ちょっと今は休憩、そんな感じで過ごしなさい。いつか朋ちゃんにもチャンスが来るわよ、きっと」

「チャンス?来るかなぁ…」

「大丈夫!毎日ホルン頑張ってるねって、Mくんが褒めてくれたって、物凄いいい顔して教えてくれたじゃない。諦めないことよ。Mくんに彼女がいても出来ることなんて沢山あるんだから」

「えー、嘘。何も出来ないよ」

「何言ってるの。毎日の挨拶があるでしょ。それと、パートが違うから難しいかもしれないけど、曲について聞いてみるとか、Mくんの前でワザとでもいいから派手に転んでみるとか」

「お母さん、そこまでいくと頭がオカシイ後輩になっちゃうよ!」

アタシのことを気遣って、全力で慰めてくれたお母さん。ありがとう。
少し元気が出てきたよ。

うん、M先輩は大事な先輩。
アタシが吹奏楽部を辞めたら、二度と喋れなくなっちゃう。
だから彼女がいても、このままアタシの初恋相手でいて下さい。

好きでいさせて、M先輩💖

第 6 章

夏のコンクールの日が来ました。
残念ながらアタシは補欠になっちゃって、本番には出れないけど、その分、M先輩がバリトンサックスを頑張る姿を客席から見れると思って、一生懸命応援するんだ!

会場に行くバスでは、2年生の男子の先輩が、M先輩とT先輩を隣同士に座らせてたけど、2人とも殆ど喋ってなかったの。
もしかしたら、もう倦怠期なのかな?(*^m^)v

まさかね。

そのコンクールは、終わった後で記念撮影があって、1枚は出なかった人も含めての全体写真、もう1枚は3年生だけの記念写真。

全体写真に入ってもいいって聞いたから、アタシ、M先輩の近くに行って、さりげなく前側に座ったの。

初めてM先輩と、一緒の写真に写ったよ!(/ω\)

いつ届くのか分かんないけど、一生の宝物の写真にするんだ♪

次に3年生だけで写真を撮ってたけど、M先輩はT先輩と並ぶのかな?って見てたら、副部長の女子のF先輩と中央に並んでた。
部長と副部長のコンビってことなんだね、多分。

その後はバスが出発する夕方4時まで、自由鑑賞の時間。

本当ならこの時間を利用して、M先輩に告白する予定だったんだよね…。
でももう吹っ切ったから、次のチャンスを狙うんだ、アタシは。

そのM先輩は、2年生の男子の先輩とずーっと一緒。男で固まってる。
T先輩は仲良しの女子で固まってる。

とても付き合ってるようには見えないなぁ…σ(- -;)
付き合ってたら、こんな時間は、2人で一緒にコンクールを見るものじゃないのかな?
アタシだったら、絶対そうするけどなぁ。

帰りのバスでも、M先輩とT先輩は並んで座ってたけど、M先輩はずっと黙ってて、T先輩は女子軍団で喋ってる。

本当に、お母さんの言う通りかもしれないわ。

いつかアタシに、本当にチャンスが来るかもしれない。

その日まで、アタシは待ってる。
ホルンをもっと上手くなって、堂々とM先輩に告白する日を待ってる!


そんなこんなでアタシの初めての吹奏楽コンクールは終わって、あっという間に夏休みも終わって、2学期が始まったら、学校の中は体育祭一色になっちゃった。

体育はアタシの得意分野だから、頑張っていい所を、M先輩に見せなくちゃ。

あっでもそしたら、アタシのブルマ姿をM先輩に見られちゃうってことだよね?

えーっ、恥ずかしいよぉ(/ω\)

でも吹奏楽部は開会式と閉会式で演奏するから、その時も体操服姿、つまり女子はブルマよね。

嫌だなぁ、ジャージを下だけでも穿かせてくれないかなぁ。

体育祭は、事前の予行演習と本番の2回、全学年が揃うんだよ。
その時、M先輩に見られても恥ずかしくないように、ブルマもちょっと大きい中学校のじゃなくて、少し小さめの小学校の時のを穿いて、パンツもはみ出たりしないように小さめのを穿いて、万全の体勢でいなくちゃ。

そんなこんなを親友の梅ちゃんに話したら、

「アハハ!考えすぎだってば!M先輩が朋ちゃんの体操着をそんなにガン見するわけ、ないじゃん」

って笑われたけど…。

そんな感じで、ちょっと照れながら体育祭の予行演習の日になったの。

吹奏楽部は別行動が許されてるんだ。

だから集合場所も最初からテントの下なの。これは嬉しかったよ♪

でもブルマ姿はやっぱり恥ずかしかったなぁ。
小学校のブルマを穿いて来たらパツンパツンで苦しかったし。普通に中学校のブルマにしとけばよかった…ρ(- -*)

あっ最初のチューニングは、照れちゃった!

1人1人、M先輩が持つチューナーの前で音を出して、楽器の調整をするんだけど、アタシの番の時は照れちゃったよぉ(*ノωノ)

だって憧れの初恋のM先輩が、アタシのブルマ姿を間近で見てるんだもん。
もう死にそうなくらい恥ずかしかったっ((ノェ`*)っ))

チューニングが終わって、ホルンの席に戻っても心配で、パンツがはみ出てなかったかなとかチェックしてたら、ホルンのH先輩に心配されちゃったの。

「朋ちゃん、どうしたの?ブルマでも破れたの?それともゴムが切れたとか…」

「あっ、先輩、何でもないです、なんでも…」

「そう?ならいいけど、何かあったら言ってね」

アタシは何人の人を巻き込んでるのよ。ますます恥ずかしくなっちゃった。

そこへY先生が登場。ジャージ姿の先生を見るのは初めてだから、格好良く見えたなぁ。

「みんな、チューニングは終わったか?じゃあ音出ししよっか。せーの!」

わーっ、外で一斉に音出しするのも迫力があるね!
アタシも負けないようにホルンを一生懸命吹かなくちゃ。

開会式の練習はすぐ終わったんだけど、そのあとクラスのみんなに合流するのが大変💦
楽器をケースに入れて、いったん音楽室へ運ぶんだって。その後になるから、最初の方の競技に出る人は大変だ~。

小さな楽器の人はいいけど、大きな楽器の人は大変だよね。
ホルンはそれほど大変じゃないから、よかった~。

M先輩のバリトンサックスは、結構大変みたいで、まだ片付けに手間取ってる。
アタシが彼女なら、手伝いに行くけどなぁ。
その彼女のT先輩は、クラリネットだから簡単に片付けて、M先輩のことなんか眼中にないって感じなの。
本当に付き合ってんのかな、あの2人…。

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例によって長くなってしまいました。今回の小説ですが、今日の中編は、推測がかなり混じっております。

ただ吹奏楽部で写真を撮る時には、必ずこの小説の主人公の朋ちゃん(勿論、仮名)は、コンクール以外の時も、私の近くに来てくれていました。

その時は気が付かなかったんですが、後から後輩や親からの話を聞くと、そうだったのか…と気付かされることが沢山ありました。

体育祭予行のエピソードも、多少盛ってますが(苦笑)、なんでそんなに俺のチューニングを嫌がるんだろう?と思ったのを覚えています(;^ω^)

次回、最終回です。

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