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【2021衆院選】4年間の政治の流れ

はじめに

 今年(2021年)、前回からは4年ぶりとなる衆議院議員総選挙が実施されます。
 前回の総選挙と言えば、民進党が希望の党に合流しようとし、かと思えば合流しなかった議員・候補者が立憲民主党を結党したり。最終的には立憲民主党が最大野党の座を勝ち取りましたが、野党は分裂し、再度まとまるのにはさらに時間を要することになりました。
 それ以降の4年間にも、日本の政党政治は様々に動き、変化してきました。特に大きな動きを示したのは、立憲民主党を中心とした旧民主党系の勢力の動きです。次の選挙で投票する政党を決める前に、改めてこの4年間、どんなことがあってどういう風に政治が動いてきたのか、振り返ってみましょう。

野党の動き
2017年:希望の党と立憲民主党

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7月3日
 都議選で都民ファーストの会躍進。
 森友・加計の両学園をめぐる疑惑や、稲田防衛大臣(当時)の失言問題などが響き、結党以来最低の議席数となった。
【東京都議選2017】小池氏支持勢力が79議席…自民は惨敗23議席 : まとめ読み : ニュース : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)

9月17日
 安倍首相が衆議院を解散するとの見方が強まる。
 25日に正式に表明され、28日に衆議院が解散。
衆院選、10月22日が有力 臨時国会冒頭解散が軸:朝日新聞デジタル (asahi.com)
衆院28日解散へ 首相が正式表明: 日本経済新聞 (nikkei.com)
衆院解散、総選挙へ 首相「看板替えの党に負けぬ」: 日本経済新聞 (nikkei.com)

9月25日
 民進党を離党した保守系議員を中心に、小池百合子・東京都知事を代表とする希望の党が結党される。
小池氏が「希望」結成 民進、合流へ調整: 日本経済新聞 (nikkei.com)

9月28日
 前原誠司・民進党代表、希望の党との事実上の合流を提案し、党に了承される。
 民進党自体は無くさないが、衆院選に候補者を擁立せず、希望の党から立候補する方針に。
民進、希望との合流了承 小池氏は候補者選別の意向: 日本経済新聞 (nikkei.com)

10月2日
 枝野幸男・民進党代表代行、立憲民主党を結党。
 党の理念・政策に合わない民進党議員を「排除」するとの小池・希望の党代表の発言を受け、希望の党に合流しないリベラル系議員の受け皿となった。
枝野氏、新党「立憲民主党」結成を表明: 日本経済新聞 (nikkei.com)
政策不一致なら「排除する」 小池氏、民進出身者巡り: 日本経済新聞 (nikkei.com)

10月22日
 衆院選投開票。立憲民主党は躍進し最大野党に。希望の党は伸び悩む。
衆院選、全議席が確定 自民は284に: 日本経済新聞 (nikkei.com)

⇒選挙後、希望の党では共同代表に元民進党の玉木雄一郎氏が選挙された。その後、小池代表の辞任に伴い党代表に就任。
小池希望代表が辞任「責任終えた」 新代表に玉木氏: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 当初、低支持率に悩んでいた民進党は、勢いのあった希望の党に党ごと参加することで、一気に政権交代実現を狙いました。しかし、希望側が全ての議員・候補者を受け入れるわけではないことを示すと、希望の党に参加せず無所属での立候補を表明する議員も続出しました。
 その中で、リベラル系議員を中心に立憲民主党が結党されました。衆議院解散後の結党だったが、流れを掴み、低迷する希望の党を尻目に野党第一党へと躍進しました。
 旧民主党系は、左派の立憲民主党、右派の希望の党、双方に参加しなかった民進党※に分裂することになりました。立憲は野党再合流を「数合わせ」として不要とする立場を取り、野党再合流・団結の必要性は認める民進・希望も、衆院選での遺恨、政策の違いなど党内から反発も大きく、容易に交渉は進みませんでした。
 野党再合流への具体的な動きは、翌年4月の民進・希望の合流交渉進展まで待つ必要がありました。

※合流しなかった参議院議員と、どの党の公認も受けず立候補し当選した民進党員の衆議院議員が所属


2018年~2019年:立憲民主党と国民民主党の連携と確執

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2018年5月7日
 希望の党と民進党が合流、国民民主党を結党する。
 この際、約半分の議員が両方の政党から離脱し、無所属や立憲民主党への入党を選択した。
国民民主党 旗揚げ 野党第2党に: 日本経済新聞 (nikkei.com)

~2019年7月参院選ごろまで
 立憲・国民間で対立が先鋭化。
 立憲民主党は安倍政権との対決姿勢を示すも、国民民主党は「対決より解決」を掲げ、両党の足並みは完全には揃わなかった。
 特に参議院では、両党の議席数が近かったため、最大野党の座をめぐり他の小党や議員も巻き込んだ議席争奪合戦が繰り広げられた。
立民と国民 参院会派で対立 参院選へ野党共闘に影: 日本経済新聞 (nikkei.com)
参院で野党戦術が対立 国民は審議重視、立民は日程闘争: 日本経済新聞 (nikkei.com)

2019年の参院選
 立憲・国民両党は概ね協力するものの、静岡県選挙区で国民民主党の現職に立憲民主党が新人候補をぶつけるなど、完全な協力とは言い難い選挙。
 結果は、立憲・国民ともに伸び悩むことに。野党には新たにれいわ新選組、NHKから国民を守る党(現・NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で)の2党が加わった。
立民、都市部に課題残す 非改選含め32議席: 日本経済新聞 (nikkei.com)
「野党共闘で埋没」 国民民主が参院選総括: 日本経済新聞 (nikkei.com)
立民の参院選総括案「れいわの方がインパクト強く」: 日本経済新聞 (nikkei.com)
れいわとN国「政党」に 諸派が議席、現行制度初: 日本経済新聞 (nikkei.com)

2019年9月30日
 立憲・国民・社民の3党が、衆議院において同じ議員グループ(共同会派)を結成。
 しかし政党合併までは話が進まず、翌年1月以降、合流議論自体が棚上げとなった。
共同会派、多難の船出 参院は総会を別開催 人事でしこり: 日本経済新聞 (nikkei.com)


2020年~2021年:新立憲・新国民結党と野党共闘の進展

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8月24日
 立憲民主党と国民民主党が合流することを決定。本年7月より、半年ぶりに合流議論が再開されていた。
 他方、玉木雄一郎・国民民主党代表は、党内に反対する議員がいることを理由に立憲に合流しないことを表明した。
国民民主、立民との合流決定 過半議員が合流新党へ: 日本経済新聞 (nikkei.com)
合流新党結成で基本合意 福山、平野氏らが会談: 日本経済新聞 (nikkei.com)

9月15日
 立憲・国民が合流した新党が結党。これに先立つ9月10日の代表選挙で枝野幸男・旧立憲代表が、新党名として「立憲民主党」が改めて採択された。
 同日、合流新党に参加しない一部の旧国民の議員が新党「国民民主党」を結党した。
新党名は「立憲民主党」 代表に枝野氏、野党第1党: 日本経済新聞 (nikkei.com)
新「立憲民主党」が結党 150人 枝野氏「選択肢示す」: 日本経済新聞 (nikkei.com)
新「国民民主党」15人で始動 代表に玉木氏: 日本経済新聞 (nikkei.com)

→新しい立憲民主党が他の野党に比べ大きな勢力を持つようになったことで、立憲がリードする中で野党間の調整が進むようになりました。

与党の動き

自民党
 森友・加計の両学園を巡る疑惑や行政の統計改ざん問題などにより支持率が低下していた安倍政権ですが、2017年の衆院選では野党の分裂に助けられ議席を維持。2019年の参院選でも勝利を収めていました。
 しかし、コロナウイルスが襲来するにいたり、持病再発の恐れもあった安倍首相はついに辞職を決断。8年弱の史上最長政権に終止符を打ちました。
急遽後を受け持った菅義偉首相も、デジタル庁設置やコロナワクチン接種などに道筋をつけましたが、支持率は向上せず、自民党総裁再選の見込みが薄くなる中で総裁選挙不出馬・退陣に追い込まれました。
 自民党総裁選挙の結果、安倍政権の下で長く外務大臣を務めた岸田文雄氏が新総裁に選出され、国会による指名を経て内閣総理大臣に就任しました。
今回の総選挙は自民党にとって、「安倍一強」終焉後初の本格的な国政選挙です。
写真で振り返る菅政権の1年:写真 :日本経済新聞 (nikkei.com)
脱炭素は道半ば スガノミクス、携帯値下げ成果 - 産経ニュース(sankei.com)
菅首相、退陣へ 総裁選立候補を断念 コロナで支持低迷、党内混乱:朝日新聞デジタル (asahi.com)

今回の選挙の構図

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 今回の選挙は、大きな2陣営とその他の政党によって争われることになります。
 まずは与党陣営。新しい岸田内閣を支える自民党と公明党は、2009~12年の民主党政権を挟んですでに約20年、与党連合として連携しています。
 それに対して、立憲民主党・日本共産党・国民民主党・れいわ新選組・社民党の5つの野党は、政権交代を実現すべく、立憲民主党を中心に協力関係にあります。
 その他には、本拠地・大阪を中心に依然として根強い人気を誇る日本維新の会、国会議員がいない政治団体やいわゆるインディーズ候補らを集め勢力拡大を狙う「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」(旧・NHKから国民を守る党)が、それぞれの立場から選挙を戦います。
 その他にも、東京都を中心に選挙区・比例ブロックに候補者を擁立する諸派がいくつか存在し、議席獲得を目指して戦います。

まとめ

 以上、前回の衆院選前後からの政治情勢の移り変わりを簡単に解説しました。
 この4年間は、それ以前に比べると比較的「新党」の動きが少なく、与野党対立の構図が安定していた時期といえるかもしれません。
 与党陣営は約8年続いた安倍総裁が交代するとともに、野党陣営も立憲民主党を中心として改めて団結し、与党に挑戦します。維新や2019年参院選で国政に参入したれいわ・旧N国が衆院選での成果獲得に動きます。

 ただ、本記事では政党や政治家の4年間の動きを簡単に振り返ったのみです。国会でどういう議論があったのか、それに伴い世論や支持率はどう動いてきたのか、については整理が及んでいません。
 そういった点については、私たちMielkaによるサイトJAPAN CHOICEにある各種コンテンツもぜひチェックして、さらに理解を深めていただければと思います。

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画像出典:各党の公式ホームページ及びSNSの画像を使用しました。

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