見出し画像

32歳、ラグビーを始める 2

以下の記事の続きです!


グランドに向かう


初めての練習参加。
練習は朝9時半から。言われた公園に着くと、そこは一面の天然芝だった。
芝から漂う、ムワッとした匂いが心地よい。学生時代に散々嗅いだ匂いで懐かしかった。
グランドの端に大きなプレハブ小屋があった。外観は高校の部室そのものだった。そこに恐る恐る近づくと、小屋の前には60-70歳くらいの初老の方が3人ほどいた。
「おはようございます!」と大きな声で挨拶された。自分も思わず「おはようございます!」と大きな声で返事した。社会人になってからこんなに大声で挨拶するのは初めてだ。

小屋の前にいると、ようやく40歳くらいのがっちりした体の人がこちらに歩いてきた。その人が私を誘ってくれたKさんだった。
「メールしたKです。来てくれてありがとうね!よろしく!」と挨拶してくださった。私はKさんとようやく会うことができ、ひとまず場所は間違っていないことを認識できた。

それから10年前に使っていたスパイクを久々に履いたり、ストレッチをしながらグランドで他の人を待っていた。ストレッチをするだけでもう体から汗が吹き出してくる。でもだだっ広いグランドの上で、芝を背中に感じながら行うストレッチはとても心地よい。
そこから集まったのはKさんと同じ40歳くらいの人が2人と、60-70歳くらいの方が5人くらい。そして練習開始の9時半になった。

「不惑」


ようやく理解したのだが、元々誘ってくれた方がいるラグビーチームは人が集まらず、地域の「不惑倶楽部」チームと一緒に練習をしているのだ。
ラグビーには「不惑倶楽部」という団体がある。
不惑は40歳以上のラグビーチームであり、生涯スポーツとしてラグビーを楽しむことを目指す団体だ。
履いているズボンの色で年代を分ける、上の年代の色のパンツを履いている人にタックルをしてはいけない、など、何歳になってもラグビーを楽しむことができるように配慮されている。
「ラグビーは、少年をいちはやく大人にし、大人にいつまでも少年の心を抱かせる」という言葉があるが、まさにそれを体現した団体だ。
全国に不惑チームがあり、グランドにいた方々は、私が住んでいる県の不惑チームの方なのだった。

(続く)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?