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2021年最大の学び

今年、写真やカメラの扱いについて最も価値のある、というか
「これは気付いてよかったな」
と感じたのは、明確に

写真はプリントすると良い

ということでした。

西海橋をCyanotypeで

長年写真を撮っておられる方からすると、それはもう
「今更何言ってんの」
と言われそうな内容ですが、デジカメ→スマホ→フィルム、という流れでカメラを扱い始めた僕にとっては、改めて学ぶべき事とその価値を、身を以て知る事ができたと実感しています。

自宅でのプリント

とはいえ、自宅で引き伸ばし機を使ってプリントする、というわけでもなく、現像したフィルムをスキャンしてデータを取り込み、Lightroomで調整してインクジェットプリンターを使って印刷する、という程度です。

ただ、それでもバックライトが点灯して見えるようになる写真のデータと、部屋の明かりや太陽光で照らしてみる紙の写真では、だいぶ見え方が変わってきます。

SNSなどスマホやPCのディスプレイを使ってみる場合の編集と、紙に印刷する際の編集では、コントラストや明るさなど、少し違った仕上がりにすると良い、というのも経験できました。

また、年末になってからですが、大判カメラでFuji Instax Wideのフィルムを使って撮る事ができるアダプタを購入して、早速試しています。
これなんかはもうほぼポラロイドなんですが、大判カメラのレンズを使って撮る事ができるので、非常に綺麗な絵を残す事ができます。

LomoGraflok 4x5 instant BackをRittreck Viewにつけて撮影してみました


Cyanotypeとコンタクトプリント

しばらくプリンタを使って印刷していたんですが、最近になって始めたCyanotypeで、さらにプリントの楽しみが広がっています。

4x5や5x7などの大きなフィルムであれば、現像済フィルムを感光紙に直接密着させて露光すれば、フィルムと全く同じ大きさのプリントを作る事ができます。

5x7フィルムのコンタクトプリント

これまで、フィルムをスキャン→編集・調整→印刷、というプロセスを経ていたものが、フィルムから直接プリントを作る事ができるようになった、というのは非常に大きな変化でした。

主題:何を写したかったのか

カメラを始めた当初、写真の撮り方を解説されている方のウェブサイトや動画を拝見して、ほぼ必ずと言っていいほど出ていたのが
構図
主題

この二つのキーワード。

構図なんてどう考えればいいのか全くわからなかったし、主題に至ってはもう考え方すら見当もつかない状態でした。
が、写真をプリントするようになって、写真をじっくり選ぶ際に
「この写真は、自分は何を写したくて撮ったんだろう」
と考える時間を持てるようになりました。

そこから逆算するような感じで、
主題=自分が写したかったもの
構図=主題を含めて、自分にはどう観えていたのか

というように捉えるようになりました。

これまで、というか今でもカメラを持って歩き回っているうちに、結構気軽にバシバシ写真を撮る事が多です。
過去に撮影した写真で、後になって
「これは何を撮りたくてシャッターを切ったんだろう」
と振り返る機会が増えてきて、例えば後からよくわからない写真だなぁと感じたものでも、
「この写真に写っているものの何かが、自分の目を引いてシャッターボタンを押させたに違いない」
と、思うようになっています。

その「自分の目を引いた何か」こそが主題になりうるもの
主題をどのように引き立たせるかが、構図の選び方だったり絞り値を使ったボケの調整だったりするのかなと思います。

お経で言う「如是我聞」

お経の冒頭部分でよく聞く文句の「如是我聞」と言う言葉があります。
聖書や論語のように「神が(孔子が)こう言った」と言う言葉ではなく、
「私は釈迦の言葉をこのように理解した」
と言う意味の文句だ、と聞いた事があります。

「写真は真実を写す」と言う言葉もよく聞きますが、この言葉を作った人は「事実」と「真実」を慎重に比較して、あえて「真実」を選んだのかなと思います。

厳密な定義はどのようになっているかはわかりませんが、僕にとっては
真実=事実+主観
と言うように考えています。

写真はありのまま、光の反射を記録するものですが、絞りやシャッタースピード、レンズの焦点距離によって写り方がかなり変わってきます。
同じ被写体を撮るにしても、
・絞り開放で撮るのか絞って撮るのか
・スローシャッターで撮るのかハイスピードで撮るのか
・ISOは低感度で撮るのか高感度を選ぶのか
・カラーで撮るのかモノクロで撮るのか
・L判でプリントするのかA4で出すのか
・そもそもデジタルで撮るかフィルムで撮るか

と言う選択肢から、様々な設定を選んで行くことになります。

自分の目を引いた主題を、自分の目がどのように観たのかを人に伝えやすくするためのテクニックが『写真のテクニック』で、構図や絞りの設定などは、全てが
「如是我観(かくの如く我観たり)」
を写真という形で表現するためのものなのだろう、と理解しています。

何が自分の目を引いたのか、そのものは、自分にはどのように見えたのかを表現するのが、写真技法なのだろう、という考えが今年の収穫です。

今年を振り返って

今年は色々なことを学び、体験する事ができました。
色々達成したこともありますが、その数倍の失敗を重ねています。

ピントやら色々なものが残念な一枚…

失敗を人よりも多く経験しているであろう自負だけは、誰にも負けないかもしれませんが、それだけに得たものは大きい1年でした。

来年は、今持っているカメラを使って、もっと「如是我観」をわかりやすく、明確にプリントの形で残せるように、プロの写真集などを多く観て、たくさんシャッターを切っていこうと思います。

主役は誰なのか、をある程度わかりやすく出来始めた、と思えた1枚です

もちろん、フィルムをたくさん消費することになると思いますが、お金が続いてフィルムが手に入る間は、フィルムカメラは使い続けます。



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