「面白くない」が言えない人間の映画レビュー#1「セシボン」

拝啓 
映画「セシボン」をご覧になった方とそうでない方へ

梅雨の走りかと思うような日々が続いていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。私は元気です。

さて、1970年代の韓国で、フォークソングブームの真っただ中。

日本で言うところの1970年代に活躍した、「ゆず」が、「南こうせつ」感を出していたような実在のグループ「ツインフォリオ」を輩出した、実在の音楽喫茶「セシボン」を描いた実在の映画。

「セシボン」をご存知でしょうか。

私は昨日存知ました。

この実在のグループに、実在しない山崎まさよしを加えた3人が、実在しないヒロイン、深田恭子に恋をする、実在したり実在しなかったりする映画です。韓国映画には優れたラブストーリー作品を多数ありますが、これもその一つなのではないかと思ったり思わなかったりします。

中でも非凡の二人に囲まれた凡人の実在しない山崎まさよしが、実在しない深田恭子の前で始めたばっかのギターで弾き語りをするシーンは秀逸。

最初は順調に弾き語る実在しない彼。「俺結構イケてる?」と勘違いしたころに、楽譜の次の小節には実在する「F」の文字が。

彼は実在する「Fコード」の壁を超えていけるのか。

「俺はお前を超えていく!」というセリフを吐きアラバスタの亡国の危機を救った実在しない麦わらの彼のような要素をはらみつつ、繊細な男女の心の機微をギター初心者の壁「Fコード」を使って表した実在する脚本の手腕には脱帽したので、着帽したあと、事務所に花束を送りつけたいと思います。

ギターのFコードが弾けない方、Fコードは弾けるのに聞かせる相手がいない方にはおすすめの映画です。
最初のみずみずしい青春映画特有の雰囲気から最後のほうにかけて、雰囲気ガラッと変わりますので、表裏激しい方にもおすすめの映画です。
他にも実在したり実在しなかったりするので、多様な価値観の中で本当の自分とは何だろうか。確かに僕はこの世界に実在するのだろうかと考えている僕のような人にもおすすめです。

この世に実在する人もそうでない人もぜひ見てください。

敬具


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