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37歳ひとり社長の妊娠(妊娠中期〜後期編)

はじめまして、田口と言います。普段は会社の代表として(10人以下のチームを専門にした)業務改善サポートを提供しています。

プライベートでは、2022年1月に入籍し、5月に会社を法人化、8月に妊娠。23年4月に母になります。私のように年齢を重ねてから結婚出産に向き合う方も多いかもしれないと思い、個人的な経験をナレッジとしてまとめています。


「37歳ひとり社長の妊娠(妊活から妊娠初期編)」はこちら


「37歳ひとり社長のパートナー論/現実的な結婚とパートナーシップについて」はこちら


出産までいよいよカウンドダウンとなり(23年4月上旬/執筆時点)、妊娠後半戦(妊娠中期〜後期)を振り返りながらナレッジポイントをお届けしたいと思います。※なお、以下記載している体験談には個人差があります。


このナレッジが役に立つかもしれない方


・フリーランスや一人社長の方でこれから子供を持つことを検討している方
・妊娠出産育児を控えていて今後も仕事を続けることを考えている方
・妊娠出産育児を控えているメンバーがいるリーダーの方
・妊娠出産育児においてパートナーをどうサポートすればいいのか掴みたい方

このナレッジが役に立たないかもしれない方


・今後は妊娠出産育児において自身の時間をすべて投下できる環境にある方 ・体系だった妊活や不妊治療の情報が知りたい方
・妊娠出産と仕事は別物だと完全に割り切っている方

本記事のポイント

今回も先にポイント(結論)をお伝えします。

1:妊娠後半戦、メインテーマは先3年の働き方

妊娠前半戦と後半戦の大きな違いは、「今後の働き方」という中期的な視点の有無になります。妊娠前半戦は、体の変化に戸惑いながら「出産までの10ヶ月間」に何をすればいいのか整理していくのがメインになります。後半戦になると出産後「どういう体制で子育てをするのか(それを実現させるために働き方をどうするのか)」を考えることがメインテーマになります

2:他人の経験則は参考になるが、自分たちの最適解にはならない

出産までの10ヶ月間に何をすべきか(何が起きるのか)は、ある程度体系化されていて、事前に準備ができます。ですが、出産後は100人いれば100通りのやり方があり、自分達にとっての最適解を模索する必要があります。「正解」はないため、子育て先輩の経験則やアドバイスはあくまで参考程度にしておくことが大事です。※経験則は役立つので知っておいた方がよい。

3:夫婦単位で子育てするのは無理ゲー

後述しますが現代の子育ては、「構造上」かなり難易度が高いものになっています。さらに、たった1年ちょっとの間に「妊娠〜出産〜乳児育児」を経験する母親は、心身ともに想像以上の負担がかかります。母親父親という子育て素人たちだけで乗り越えるのはほぼ無理ゲーです。チーム戦としてどう変化に対応するかを冷静に考えておく必要があります。

4:臨月、やばい。

最後は完全に感想でしかありませんが、臨月(特に予定日前の最後2週間)の体力の消耗は想像以上でした。詳細は後述しますが寝返りだけでも本気で息切れします。
(魔女の宅急便のおソノさんのすごさを実感。キキの自立を促す器の広さをみせつつ、おそらく臨月ぎりぎりまでパン屋の店頭にたっていたおソノさん。ちなみにおソノさんの年齢設定は26歳・・!)

「魔女の宅急便」©1989 Studio Ghibli




産後の体制づくりは「超」チーム戦


つわりが終わり安定期にはいると、少し気持ちに余裕がでてきます。この時期に、(出産直後から子供が2歳にくらいなるまで)どういう体制で育てていくのかをパートーナーと検討しはじめました。

まずはリサーチのため周りにいる会社員・フリーランス・経営者など働く母たちにヒヤリングし、何に苦労しどんなサポートが必要だったかを確認していきました。

十数人にヒヤリングしたことで、出産まで何が起きるかわからないこと・生まれてからは親子の数だけ(子供の特性、母親の気質、親子の相性など)やり方が異なることを実感します。

さらに、(地域特性、両親のサポートの有無、時間の融通性、お金など条件は個人ごとに異なるものの)以下は体制づくりのポイントだと感じました。

  • 病院の方針と出産方法を検討し、体力温存をする

  • 病院スタッフ・行政など専門家に頼ること(特に出産直後)

  • 当事者のやる気や体力でカバーしようとしないこと

  • 自身で仕事の調整ができる場合は、働き方を段階的に移行すること

  • 母親の気持ちが安定する環境をつくることがキーであり、そのための最適解を見つけることが最も大事

冷静に考えると、親が2人ORワンオペで子育てをするといった体制は「社会人経験のない新人が、指導もOJTも研修もなしに、先輩のアドバイスももらえず、いきなり現場に放り込まれて20年単位のプロジェクトを遂行しなければいけない(しかも失敗はしてはいけない)」のような状態です。

ただでさえ、子育ての前提がハードモードなのに、さらに「働く」というオプションが追加されます。この状態でうまくいく方が奇跡です。

※なお以下の2記事は子育てのメタ認知としてとても分かりやすくおすすめです。
親や生育環境だけで人生は決まらない _フカイのまとめ<育児編#4/4>|COTEN代表 深井龍之介|note

「親という立場が背負う負担の大きさ」を冷静に把握することができます。

ワンオペ育児は歴史的非常事態 _feat.ホモ・サピエンスの育児<育児編#3/4>|COTEN代表 深井龍之介|note

歴史を俯瞰してみた際に、ワンオペ育児は超イレギュラー

「子育ての難易度は、構造の問題だ」そう痛感したことで、子育てがうまくいかないのは当たり前だと割り切ることができました。(構造を理解するほど、そもそも仕事の子育ての両立は無理だと痛感。)

こういった背景を踏まえ、母親になる私の特性や夫婦の働き方から、産後の体制づくりの方針は以下に決定しました。

  • 母親は出産直前まで仕事はつづけ、産後2ヶ月は仕事を休む。3ヶ月目から保育園に入園を前提に仕事には徐々に復帰していく。

  • 父親は育休は取らず産後1~2ヶ月はリモートワークにする。その期間は妻が家事ができないことを前提とする。

  • 産後は、行政サービス・産後ドゥーラ・ベビーシッター・自分たちの親の協力を活用する。


私の働き方は、自身で仕事量の調整ができる反面、産休や育休といった制度は利用できません。そのため長期間仕事から離れる=売上がなくなる(収入がなくなる)ことになります。また経営者のママたちのアドバイス(仕事から一度離れると勘を取り戻すのに3倍の時間がかかる)も参考に、「事前に仕事量を調整し産後2ヶ月だけは休む。その後は復帰」という方針を選びました。

産後の体制づくりで実際に行ったこと

方針を決めた後は、チームメンバー(母親・父親・子供・両家の親・行政サービス・産後ドゥーラ・ベビーシッター)が実際にどのような役割を担うのか整理してきました。

具体的には

  • 1週間の流れをシフトにまとめチームメンバーの役割分担を明確化

  • 外注コスト(行政サービス・産後ドゥーラ・ベビーシッター等)の算出

  • 産後ドゥーラさん、ベビーシッターさんの面接と決定

  • 両家の母親に協力を打診し、体制の理解をしてもらいシフトを決定する

  • 産後の子供の環境づくりの理解(特に睡眠環境)

  • 出産前後の収入変化と事前に確保すべき資金

といったことをスプレッドシートにまとめ可視化していきました。


妊娠後半戦は何が起きるのか、何をしておくといいのか

産後の体制づくり以外の細かいタスクもあるため、妊娠後半戦もやるべきことは結構あります。以下に知っておいた方がいいこと、やっておいた方がいいものをまとめて記載します。


1:心身の変化

妊娠出産はどんなに順調であっても「普通」の状態ではありません。病気ではないけれど常に配慮が必要です。妊娠後期になるとマイナートラブルも多く出てきます。

<マイナートラブル:例>
・寝れない・トイレが近い(ホルモンの関係やお腹の重さで睡眠は浅くなり、トイレは近くなります。私は夜は3時間ごとに目が覚めます。)

  • つねに体のどこかが痛い(体重の増加、運動量の低下、お腹の重さ、出産に向けて関節や靭帯が緩むなどか原因で常に体のどこかが痛くなります。私は指の痺れが2ヶ月くらい続いています。)

  • すぐに息があがる(母体は免疫力もさがり、出産前と比較して子宮の大きさが100倍の大きさになり、1.5倍〜2倍の血液を循環させるため同じ動きでもすぐに息があがります。散歩は5分に1回は休憩が必要ですし、ミーティングするだけで息が切れます。寝返りはトレーニング級のしんどさになり、へそより下は見えなくなります。)

    マイナートラブルに関しては、病院に相談すると、眠り方(寝る姿勢)・歩き方・ストレッチや筋トレ方法をアドバイスしてもらえある程度改善できます。私が通う産院では希望者にはリハビリ指導もしてくれかなり助かりました。この時期に、パートナー以外にも、出産の不安や子育ての話ができる人を探しておくと精神面の不安はかなり軽減されます。

2:働き方の変化

妊娠後期になるにつれて動くのが本当にしんどくなります。睡眠もしっかりとれなくなるため仕事のペースはゆるめないと対応できなくなります。途中で休憩を入れる、1週間で帳尻をあわせるなどコントロールする必要があります。私自身は産休制度はないため(※)出産直前まで仕事をしていましたが、新規案件はとらずクライアントワークは休憩をいれながら1日あたり3時間〜7時間の稼働時間で調整をしていきました。

※労働基準法では、産前)出産予定日の6週間前、産後)出産の翌日から8週間までが休業できる。

画像出典:産休は いつから取れる?

参考▶︎労働基準法や育児・介護休業法等の法令に基づいた申請時期、休業期間を自動計算できるサイト

3:協力体制づくり

妊娠期から、周りに頼る環境をつくっておくと体力面だけでなく、精神的にも安定します。

私自身は、

  • 仕事関係(クライアントや業務委託スタッフへの説明と産後の協力体制作り)

  • プライベート(パートナーと方針の擦り合わせ、両家の親の協力体制作り)

  • 専門家(担当医、助産師、行政担当者、理学療法士、産後ドゥーラなど専門知識を持った人に気になることはすぐに相談)

  • 子育ての先輩(特に属性が似ている人や直近1年以内に出産している人に相談できると、かなり参考になる知見がもらえます)

といった感じで切り口変えて相談できる相手や頼れる環境をつくっていきました。

4:コストカットできるもの

妊娠〜産後は収入が変化することに加え、出産費用・毎月の検診・通院交通費・育児グッズの準備・外注費用などで結構な出費が発生します。コストを抑える方法として以下は有効でした。

■出産費用
出産費用は地域によって差があるだけなく(※)病院・出産方法・入院分娩の時間帯によって費用が変動します。申請できる制度を抜け漏れなく対応しておくのがおすすめです。

<申請できる制度:例>条件によって申請できるかどうかが異なります。
出産育児一時金・出産手当金・高額療養費制度・出産子育て応援交付金 ・医療費控除など

(※)全国で最も費用がかかる東京都は平均56万円。(公的病院は以下表の金額が平均だが、私的病院はさらに高額なります)はやく保険適用できるようになってほしい・・・。(出産費用の保険適用、26年度めど検討 厚労省

出典:日経新聞/厚生労働省集計

■行政サポートの活用
夫婦2人ORワンオペは無理ゲーです。サポートもコストを抑えながら利用することが可能です。産後ケアセンター、ベビーシッター補助などサポートは調べて活用検討してみてください。

<地域ごと>
例:ケアセンター
世田谷区産後ケアセンター(デイケア、ショートステイが利用可能)
例:子育てサポート
横浜子育てサポートシステム(1時間単位で子供を預けることが可能)

<国>
出産・子育て応援給付金(23年1月スタート計10万円を「クーポン」等で配布)
内閣府ベビーシッター割引券制度(企業が導入する制度/従業員がベビーシッターを利用した際の助成制度)
東京都ベビーシッター利用支援事業(対象となる自治体で一時預かりが割安で利用できる)

■育児グッズの購入
地味にで出費が重なるのが育児グッズです。最低限必要なものだけ準備しておき、消耗品以外は新品でなくていいと割り切れるといいかもしれません。

私たち夫婦は、新品で必須のものや消耗品は、Amazonらくらくベビーを利用し、新品にこだわらないものは、子育て先輩から譲ってもらったりメルカリで探しました。

5:その他

子育てに関するアドバイスは、個人の経験則がベースになっているため良くも悪くも偏りがあります。世代差、地域差、属性によって当たり前の基準は異なります。前提となる価値観が異なれば、自分たちが出す最適解を理解してもらえないこともあります。

何か意見を言われてナイーブになった時は、「肉体を酷使して(妊娠して出産して)お金も時間も費やす人が、どうするのかを決定すればいい。それ以外の人のアドバイスは気持ちはいただくが採用するかどうかは好きにする」と割り切れると他人の意見をいい意味でスルーできます。※価値観や子育ての条件が似ている場合のアドバイスはかなり参考になります。

※友人夫妻から紹介された以下2冊は、データの裏付けや汎用性がある内容でかなり参考になりました。

米国最強経済学者にして2児の母が読み解く子どもの育て方ベスト
ママと赤ちゃんのぐっすり本


当事者ではない周りは何をするといいのか

出産前と後では人生観がひっくり返るくらいのインパクトがあるかもしれません。ドラスティックな変化には周りのサポートが欠かせないはずです。

リーダーができること

行政の最新情報をキャッチアップしつつ、組織として導入できる制度や体制づくりを検討できるといいかもしれません。また日頃から、「どんな業務も属人的にならないようにしておく・欠員が出た際に残されたメンバーに負担がかかる仕事環境を改善しておく・稼働時間に依存せずにパフォーマンスを出す環境をつくる」といったことがキーになるかと思います。

また(子育てにコミットしてこなかった場合は特に)自身の価値観と体験を押し付けない姿勢が大切かもしれません。

また本人にとって何がベストなのか深く話し合い納得できる方法を模索することができると働く母の負担は減るのかもしれません。


パートナーができること

親であり当事者であるという意識を持ちながら、情報を取りにいくこと。パートナーと話し合い、お互いの役割をアップデートしつつ何をしてほしいのかがすり合わせすことが大切な気がします。

※以下は産後の夫婦間の変化を理解するのにおすすめの本です。

妻のトリセツ
産後クライシス

最後に


私自身、出産直前ですが(23年4月上旬/執筆時点)重くなった自分のお腹を眺めながら、この膨らみから我が子が生まれ来月には「我が子がいる生活」になることはファンタジーに感じるくらい現実感がありません。

ですが、この10ヶ月でタピオカ状態から問題なくここまで成長した我が子とは、肩を組みお互いを労いたい気持ちでいっぱいです。

出産後、自分がどうなるのか正直想像できません。子育てが楽しくて仕事なんてどうでもよくなるかもしれませんし、ホルモンバランスに翻弄され気持ちがコントロールできなくなるかもしれません。

パートナーとぶつかり今までのように仕事ができないことに苛立つかもしれません。そして同じくらい嬉しさと楽しさもあると思います。そういったごった煮の感情を経験できるのが、子育ての醍醐味かもしれません。

やるべきことはやったので、あとは無事に出産できるように頑張りたいと思います。

クライアントの皆さんをはじめ、パートナー、スタッフ、友人、家族のみんなに心からの尊敬と感謝を。これからも我が家の試行錯誤を見守っていただけたら嬉しく思います。


<合同会社アセンブル提供サービス>
執筆者田口が代表を務める合同会社アセンブルの提供サービス

公式サイト:https://migiude.me/
提供サービス:10人以下チームの業務改善
<執筆者/田口史子SNS>
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