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「漫画の天使になる」と娘は言った。

近頃の我が子(小1・7歳)のマイブーム、それは手塚治虫の漫画である。

年長の頃、伝記えほんで手塚治虫のことを知り興味を持ったようで、今夏の初め頃に伝記を読み返していて突然「『ブラックジャック』と『リボンの騎士』を読んでみたい」と言ってきたのである。

小学一年生にはまだ早いのではないかという気持ちもありつつ、幸い、読み書きは得意な子なので文字の面は問題なさそうだし読ませてみるかと、とりあえず文庫版(全集)の1巻をそれぞれ与えてみたところ、なんとこれが大ヒットしてしまった。

特に『ブラックジャック』への熱烈なハマり方は目を見張るものがある。続刊をねだられてぼちぼちのペースで買い与えて現在5巻。学校の児童クラブにも少し置いてあることに気づいたらしくそれもたまに読んでいるようだ。

私もかつて小学校の図書館で読んだような記憶はあるが、あまり詳しくは覚えていなかったのでこれを機に1巻から読み直している。
改めて言うまでもないがとても面白い。キャラクターは魅力的で、ストーリーは毎度驚きに満ちていて、考えさせられる深い話も多く唸ってしまう。ブラックジャックという人は天才外科医であるが、ただ天才で何でも解決してしまう訳ではないところがとてもいい。時に悩み、苦しみ、失敗し、救えない患者もいる。命は救えても、後にそれ以上の悲劇が待ち受けていることもある。命の価値とは何かと問いかけてくるような話もある。

小学一年生が読むものなのか!?と改めて思うが、それでも我が子は真剣にページをめくっている。ギャグコマに笑って「見てこれ!」と見せてくることもある。読んだ話について熱心に語ってくれる日もある。


そしてとうとう「私も漫画家になりたい」と言い出した。

これまで我が子が語っていた夢は「絵本作家とファッションデザイナー」であった。元々絵を描いたりお話を作ったりするのが好きな子だ。いつかは漫画の道も考える日がくるかもしれないと思っていたが、まさかこんなに早いとは。

「私ね、手塚治虫みたいな漫画家になる!」
と堂々と宣言する我が子に、私が「それはずいぶん立派な目標だね。なんてったって手塚治虫は”漫画の神様”だよ」と言うと

「それなら、私は”漫画の天使”になる!」

神様に対抗して思いついたのが天使だったらしい。
私が思わず笑うと「女神の方がいいかな」とちょっと考えていた。



というわけで、手塚漫画との出会いが、我が子の数年来言い続けていた将来の夢をあっさりと変えさせてしまったのであった。
流石は漫画の神様である。すごいなあ。

なお、先日放送されたEテレ番組『漫勉』の手塚治虫回も、我が子は食い入るように見た。そして見終えるとすぐに手元の漫画を開き、「これ!テレビで出てたあの背景だね!」などと言い出した。もはやすっかり手塚治虫オタクに片足を突っ込んでいる。

「手塚先生の他の漫画ももっと読んでみたい」とのことで、今気になるのは『火の鳥』だそうだ。これまたずっしりと来るものを選んだなあという感じだが、そう遠くないうちに我が家の本棚に加わるだろう。


そして先日、六本木の「ブラックジャック展」にも親子で顔を出したのだが、その話はまた後日。

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