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ミスコンとモデリングは全く違う正反対の世界

分野の違う方たちの目線で見てみると、ミスコンテストのコンテスタントとファッションモデルは同じように見えるかもしれません。

モデルを夢見てミスコンに挑戦するという人もたくさんいらっしゃると思います。

フィリピンのようなミスコンがオリンピックよりも盛り上がるミスコン大国では、コンテスタントとしてタイトルを勝ち取るとモデル事務所にも所属しやすくなったり、元々事務所に所属している人が箔をつけるためにコンテストに挑戦したり、ミスコンとモデルの仕事が繋がっている国もあります。

でもファッションの都パリやミラノで、コンテストのタイトルがモデルとしての価値になることは残念ながらありません。

むしろその経験から得た技術と感覚しか持たないままファッションの世界に飛び込むと、仕事が取れない状況に陥ってしまうことがあります。

なぜならコンテスタントとモデルには実はものすごく違いがあって、むしろ正反対の世界であるからです。

今回はランウェイに限った話をしますが、2つの世界に共通するのは「人の前でウォーキングをする」という形態だけのように思います。

陸上で例えてみます。
経験の無い私たちからしてみたら「短距離走れる人は長距離も走れるのでは?」と思ってしまいますよね。
でも「レーンを走る」という形態は同じですが、実際それらは全く違う競技です。

使う筋肉も、目的も、必要なポテンシャルも、体づくりも、練習メニューも、食事のメニューも何から何まで違うと思います。

これと同じように、コンテスタントとファッションモデルも多くの違いがあります。

・目的
・体づくり
・ウォーキング
・意識・存在感
これらのポイントに絞って比較していきます。



①ミスコン


-メイン・魅せたいもの…自分自身

-表現…
(顔)表情や感情を出したり、笑顔も見せる
(身体)ステージの上で大きく見せたり、自分らしさを発揮するために適切な動きをする

-お客さま…観客、応援してくれる人たち、審査員

-身体づくり…健康的、筋肉で支えられている豊かな胸、筋肉で引き締まった身体、丸く高いお尻

-ウォーキング…目線を残す、存在感を見せる、腰を入れる、顔を残す、見渡す、オーラを解き放つ、表情をつける、自分らしい抑揚をつける

-意識・存在感…存在感を出す、意志を込める、意識を自分に向ける(自分のこんなところを見て欲しい、表現したい)、人の目を自分に向ける

② ファッションモデル


-メイン・魅せたいもの…服、ジュエリー、バッグ、ヘア、メイク、ブランドの世界観

-表現…
(顔)指示がない限りは表情や感情を出したり、笑顔は見せない
(身体)指示がない限りは特別目立つような動きはしない

-お客さま…ブランドのクライアントさん、購入者層の観客やゲスト、など

-身体づくり…基本的には痩せた身体、胸は服を邪魔しない程度、そのブランドの用意した服が入るか、似合う顔や身体か

-ウォーキング…目線も顔も残さない、自分としての存在感ではなく服の存在感が出るように、ウォーキング基本雰囲気に合わないなら腰入れない、目線一定、指示なければ表情をつけない、抑揚いらない淡々と歩く

-意識・存在感…自分としての存在感は出さない、世界観や服にあった意志を持って歩く、意識を服と世界観の中に溶け込ませる、人の目を服や服を着ている像としての自分に向ける



最後に

ランウェイを見ていて、どんなに顔の造形や身体が綺麗でも、ヘアメイクや服やアイテム、ルック全体に自然と目がいくのはプロモデルが歩いているからです。

見た人が表情や動きに気を取られるようなウォーキングをモデルがしていると、メインの服に目がいかなくなってしまいます。

ただ真顔で歩けばいいというわけでもありません。

ミスコンもファッションもどちらも素晴らしい世界ですが、目的を理解していないとチグハグになってしまうのです。

「目立ちたいからモデルになりたい」という方もたまに会いますが、その場合はタレントさんかインフルエンサーさんのほうが適性があると感じます。

モデルは目立つための仕事ではなく、目立たせるプロフェッショナルだと思うからです。

「自分を表現したい」という自分発信の表現者になりたい方は、モデルをするのはかなりストレスがたまると思います。
クライアントさん、ブランドさんの意向を汲み取って、自分の表現スキルや感性を活かして売りたい物と世界観を一致させそれを目立たせるための存在だからです。


少し耳が痛い言葉の羅列になってしまいましたが、自分自身ミスコンの経験があり違いを実感する事が多いからこそ伝えておきたいと思いました。

私の場合は、幸運なことにミスコンの時のウォーキングの先生たち自身がこの違いを理解されていて
「ミスコンウォーキングのクセがついてしまうと、モデル活動に支障をきたすと思うし戻すの大変だよ。」と言ってくださっていたので覚悟ができていました。

それに元々自分の存在感を無くす方が得意だったので、私にとってはミスコンウォーキングの習得のほうがとても大変でした。

指導者の中にはミスコンウォーキングを"モデルウォーキング"として指導している方もいらっしゃるので、本当に見極めが必要だと思います。

方向性の間違いに気付いてからウォーキングや体の動かし方や表情のクセを戻したり修正するのは、とても時間がかかるからです。

また別の記事で書きますが、コンテスタントとモデルのこの顕著な違いが、ウォーキングを誰に習えばいいか?というところに繋がってきます。


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