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たびしゃしん――旅のメモ

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31か国の旅で見たもの・感じたこと、国内旅行について写真とともに紹介していきます。
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2016年12月の記事一覧

自分の正義、それをふりかざす状況

ネパール最後の夜、私は病院のベッドで点滴につながれたまま胃痛と戦っていた。ゲストハウスでシャワーを浴びている途中、胃の辺りに違和感を覚え、着替えた頃には全く動けなくなってしまったのだ。 歩けなかった私の最後の手段はフェイスブックメッセンジャー。繋がっていたゲストハウスのオーナーへ連絡し、従業員が駆けつけて病院まで運んでくれた。 何の痛みだったのかは未だにわからない。とはいえ、もしかしたらと思い当たる節がひとつだけあった。 ゲストハウスへ帰る途中で起こった、タクシードライ

火葬場でのシャッター音が何気ない日常

ガンジス川の支流があるパシュパティナートは、川岸がヒンドゥー教徒の火葬場になっている。葬儀場?と思うけれど、ここは世界遺産に認定されたヒンドゥー教寺院。各国から来る観光客で賑わいを見せている。 午前9時前に到着した私は、ドブのような川で子どもが遊んでいるのを横目に裏道を1,2時間程度散歩し、川岸へ戻ってきた。 行きにはまばらだった人も戻ってくる頃には倍になり、特に密集している川岸の一部を橋から眺めると、人の間からふたつの足が見えた。 死体だ。 密集しているのは親族なのだ

もっともっと知りたいよ、サドゥー

ガイドブックを見た時から、気になっていた人がいた。 彼の名は、サドゥー。ヒンドゥー教における修行僧で、ウィキペディアではこう語られている。 サドゥーはあらゆる物質的・世俗的所有を放棄し、肉体に様々な苦行を課すことや、瞑想によりヒンドゥー教における第四かつ最終的な解脱を得ることを人生の目標としている。 私は、彼らを見ることができるのか。期待に胸を膨らませ、修行中のサドゥーに会えるかもしれないというネパール最大のヒンドゥー教寺院、パシュパティナートへ向かった。 朝9

小さな村にある、大きな「家族」

ヒンドゥー教では「ティージ」と呼ばれる、女性のためのお祭りが夏に開催される。私がその存在を知ったのは、ホームスティさせてもらった村で、ちょうどティージが開催されていたからだ。 「ミホもサリー着て、お祭りに参加してみる?」 ホームスティ先の娘、17歳のアスタに提案してもらい、アスタと、アスタの母であるサンティと、ヒンドゥー教の民族衣装であるサリーを着てすぐ近くの村の一角へと足を運んだ。 会場になっている赤いテントの中には50席ほどの椅子が用意されていて、女性たちが座っていた