目には見えなくなった母の実家
「〇日におばあちゃんちを壊すことにしたよ」
年が明け、実家で過ごす最終日に、母が思い出したように言った。母がおばあちゃんのおなかにいるときから、父と結婚するまでのときを過ごした家。数年前におばあちゃんが亡くなり、ぽっかり空いた家になっても、母は毎日欠かさず訪れ、ずっときれいに保っていた家。けれど、2019年の台風で床上浸水が起こってから、維持が難しくなってしまった家。
いよいよ無くなってしまうんだ、と思ったと同時に、なんでもっと早く言ってくれなかったんだろうと、少し母を憎