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絶対に飲まないんだからーー紅茶専門店「TEAPOND」

アラビアンナイト、チョコレートスウィング、ミルクキャラメルーー。悩みぬいた結果、ファンタジックでスウィートな名前の紅茶を3種類買った。レトロで可愛いパッケージは、特別な日を狙って大切に飲みたい気持ちを掻き立てる。

特にノンカフェインのアラビアンナイトは、夜寝る前にゆっくり本を読みながら、お気に入りのマグカップで飲みたい。いや、そのために購入した。

青色の茶葉が幻想的で、見つけた瞬間ときめいた紅茶。

コーヒーの激戦区・清澄白河で、"紅茶専門店"としてお店を構える「TEAPOND」で見つけたものだ。店内には色とりどりの茶葉や、個性豊かな味の紅茶が揃っていた。

小さい店内は人であふれていて、気になる紅茶の場所までたどり着くのも難しいほど。まるで甘い蜜があるかのように、次から次へと人が吸い込まれて入ってくる。もちろん私も、蜜の香りを嗅ぎ分けて、入ってきた人のひとりだ。

ティーバッグ10個入りで1360円。私にとってこれは、ちょっと深呼吸してから買うぐらいの値段。茶葉を見つめながら夜の自分を想像してみた。一息ついて、リラックスしながら飲むアラビアンナイトをイメージすればするほど、もう買う以外の選択肢は無くなる。ほわほわと浮かれた気持ちで紅茶を購入した。


そして、あっという間にもう4日が経とうとしている。アラビアンナイトは内袋にしっかりと収まり、頑丈に封が閉じられたままだ。

飲もうと思えば今でも飲める。家にいないわけではないし、お湯だってケトルで沸かせばすぐに用意できる。けれど、それじゃダメなのだ。納期がすぐそこまで来ている原稿を進めながら、片手でぐいっとなんて飲みたくない。

「絶対に余裕があるときじゃないと飲まないんだから」と、手に取った茶葉の缶を、平積みの本の上に置いた。

始めて封を切れるのは、もしかしたら週末になるかもしれない。あの時の気持ちが覚めないまま、「待て」状態で週末を迎えるような気がしている。

けれど、絶対に飲まない。アラビアンナイトと向き合って、じっくり味わえる状態になるまでは、絶対に飲まないんだから。

そんな思いで今、私はパソコンと真摯に向き合っている。


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