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パチリと変わる自然の時間

「すっごい大雨だけどそっちは大丈夫?」と連絡が来た。私はちょうど外に出た時で、「あぁ、このくらいなら傘をささずに済む」と安堵したタイミングだった。

雨が降っているところ、降っていないところの境目に出会うのが好きだった。一歩先の道路はびしょ濡れなのに、今いる場所はカラカラに乾いていたり、電車の中でふと顔をあげたら雨が窓にたたきつけられていたり。自然が創る「変わり目」に立ち会う瞬間はいつも不思議で、自分のコントロールが効かない世界があることを実感している。

日曜日に訪れた森林公園でも、まさにそんな「自然の変わり目」に立ち会った。18時前に入り口に立ち、セミとカラスが大合唱する公園内へ足を踏み入れた時のことだ。都会のセミがここに集結しているんじゃないかと思うほどの声と、羽をばたつかせて鳴きながら移動するカラス。蒸し暑い空気の中、「まだ夏は続くんだ」とベンチでぼーっとしていたら、一瞬で空気が変わったのを感じた。

18時半。あんなに騒がしかったセミとカラスの声が、秋を告げる鈴虫の声に瞬時に切り替わったのだ。明るかったはずの空が群青色に変わり、涼しい風が顔にふれた。

確かに夜はセミもカラスも鳴かない。けれどこんなにも一瞬に、まるで電気のスイッチを切ったみたいにパチリと変わってしまうものなのかと、自然の中に流れる「時間」の概念にただただ圧倒される出来事だった。

自然はこんなにも時間厳守なのか、といつも時間オーバーする仕事を想像して思う。パッと切り替えてしまった方が、側から見ても気持ちがいいよなぁ。


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