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仕事って何だろう?モヤっとしたときに読む「生きるように働く」

仕事とそれ以外を、スイッチを切り替えるように働く人もいれば、日々の生活と地続きになって仕事がある人、または仕事に夢中な自分が好きな人もいる。色々な生き方があるなかで、私は「暮らしと仕事」がセットになって過ごせるといいな、と思う。

ドキュメンタリーを見ているような感覚で読み終わってしまった、ナカムラケンタさんの『生きるように働く』。気持ちが止まった言葉は主に以下の3つだった。

「地域のなかに、この完結する循環をつくらんといかんよな。一級品すべて東京に送ります、そればっかりしか意識がない。東京に良い肉を買ってもらう、築地で取引してもらうっていう頭しかないから、ずっと従属した下請け状態なんよ。たとえば『今までは徳島の野菜とりよったけど、熊本にいい山地できたからシフトします』と言われたら、ガタガタになる」
「地域でサービスを行う産業ができれば、雇用も生まれる。そうすると、組織や地域は変わっていく」(Ⅲ 根を張り、幹を伸ばす)

10月に行った徳島県神山町を思い出す。そこでしか食べられないご飯、パン、人の雰囲気。2日間滞在した先の朝ごはんがおいしくて、それだけでもう1度そこに行く立派な理由になるような気がする。

特産品や郷土料理を、その土地の空気と一緒にいただけることはすごく贅沢だ。にし阿波地域で食べられている「そば米雑炊」がすごく好きで、フリーズドライを買って帰ったけれど、やっぱりその時に食べたほうが何倍もおいしく感じられる。地産地消は、体にも地域にもいい影響を与えてくれる。

「人は忘れてしまう生き物。それはさびしいことだけど仕方ない。だからこそ、お互いに相手のことを知っている関係というのは、とても大切でかけがえのないもの。それは誰にでも求められるものではなく、求められても答えることができるとは限らない。いい場所とは、誰かが待っていてくれるところなんじゃないか」(Ⅳ 枝を貼り、葉が茂る)

高校1年生から整理をしていないアドレス帳を、改めて見返してみた。きっと当時は直接交換していたはずなのに、3割くらいは顔も思い出せない人がいる。多分私も、誰かにとっての“3割”になることは多いだろう。忘れることは仕方のないことだけれど、せめて忘れなかった人のことは、いつまでも大事に考え続けていきたい。

「寿司はお金のバロメーターで、自家用ジェット機はいらないけれど、うまい寿司を遠慮なく食べられるだけの経済力は持ちたいという考え方」(Ⅴ 森になる)

“お金持ちになる”の意味合いは人それぞれである。「自家用ジェットはいらないけれど、うまい寿司を遠慮なく食べたい」に、その人らしさや正直さ、ある意味での“無欲さ”があり、何度も繰り返し見たくなってしまう。

私は今、百貨店化粧品を惜しみなく使えるような経済力を持ちたいです。

生きること、働くこと。この先を生きていく限りでは、いつもついてくる言葉。私はどんなふうに生きるのが好きなのか。どんなふうに働くのが好きなのか。「生きるように働く」とは、どんな働き方なのかを考える、ひとつのきっかけになる本でした。


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