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物語が面白くなる“絶体絶命”

かわいい子には旅をさせよと言うように、「かわいい主人公にはピンチを与えよ」が、主人公が好かれる一番の秘訣なのかもしれない。

『コンフィデンスマンJP ロマンス編』をAmazonプライムで見た。ドラマも、ほかの映画も見たことがないから、これが私の、初めてのコンフィデンスマンJPだ。語彙を最大限まで乏しくして伝えると、すごくおもしろかった。最後まで目が離せなかったし、長澤まさみが今までよりも好きになった。

どうしておもしろかったんだろう、と考えてみると、『半沢直樹』的な要素が隠れているような気がしてきた。

半沢直樹のドラマは、これでもか!というくらい半沢が窮地に立たされる。出てくる敵役は“悪者の権化”のように良いところが無いし、見ているこっちまでイライラさせる。ただ、それがおもしろさの秘訣。

彼はもうダメだ、絶体絶命、一体どうなるんだ!!と、視聴者の心を最大限かき乱したあとで、大どんでん返しの勧善懲悪で終わりを迎える半沢直樹。見た後で心がすっきり晴れやかになっているのである。まさにコンフィデンスマンJPも、そんな心の揺れがあった。

この心情の波がおもしろさを作っていると思えるようになったのは、1冊の本を読んでからだ。

脚本家であり、心理カウンセラーでもある三宅隆太さんが、脚本を書く人の心理状態にもアプローチしながら書き方のコツを教えていく本。読んでわくわくするような記事が書きたくて購入したら、ドラマや映画を見るときもこの本のことを考えるようになった。

本の中には、こんな文章がある。

“昔から物語の推進力を高める方法はひとつしかないと言われています。それは「主人公を追い込む」ことです。”

そして、「ほんとうに限界まで追い込まれた主人公」は、逃げることをやめて、主体的な行動に出る。そこに魅力が引き出されていくという。

きっと視聴者は、追い込まれた主人公を見て心配したり、なんとか行動して切り抜けた主人公に共感や好意をよせたりしながら、その物語が好きになっていくのだろう。

ピンチを乗り越えた人はとても魅力的だ。それは数々の物語が教えてくれる。では、常に課題を抱えてしまう私の状況も、もしかしたら魅力的に見えるための種がたくさんある状態なのかもしれない。

あとは立ち向かうだけ。そうしたらきっと、映画の主人公のような人生が待っているはずなのだ。


一昨年の毎日note






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