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私はずっと会いたかった

去年のGWに香港で出会った彼を引きずっている。ぼーっとしていると火傷してしまいそうなくらい、熱い彼だった。滞在中は毎日会っていたからか、帰国してもなお、未だに私の心を掴んで離さない。

帰国後は、彼に似た人を好きになることもあった。見た目は可愛いけれど中身はすごく熱い人で、一緒にいると「幸せだなぁ」とかみしめる日々。GW前は全然意識もしなかったのに、彼に出会った後で再開したら、どんどんその人に夢中になった。

もっと一緒にいたい、その人がいいと思っていたけれど、多分私はずっと、その人の後ろに香港でだけ出会えた彼を、想像していたのかもしれない。その人のことももちろん好き。けれど、彼の存在が近くにくると、どうしても会いたくてしょうがなくなってしまうのだ。


1度、彼に少しだけ会えたことがある。東京にいると知って走り回ったのだけれどなかなか見つからず、ようやく会えた頃には残り時間も少なかった。「また会おうね」と約束して別れたのは、11月のことだ。

そしてとうとう、約束が果たされる日が来た。ずっと憧れていたあの彼に、ようやくゆっくり会えるのだ。待ち合わせは新宿の雑居ビル5階。席に座って、彼が来るのを待つ。香港で一緒に過ごした日々を思い出す。早く会いたかった、そう思い返すと胸の鼓動がますます高鳴る。


お店で会った彼はあの頃と少し変わっていて、ちょっと日焼けをしたみたい。アクセサリーもたくさんつけて、違う人のように見えた。けれど、カッチリとした体形は変わらない。可愛いあの子とは違うところだ。

楽しみな反面、少し違った緊張もあった。このまま一緒にいて、もしも大嫌いになってしまったらどうしようなんて、根拠のない不安がふと横切ったのだ。いいのかな、本当に会ってしまって、いいのだろうか。

彼が私に近づいてくる。私は大きく、口をあけた。

そんな"彼"の名前は、焼き小籠包(可愛いあの子は小籠包)。念願叶って食べた"彼"は確かにおいしかったのだけれど、やっぱり香港で食べたそれのほうがジューシーで、香ばしかったような記憶が残る。これは思い出がそうさせてるのか、それとも本当においしかったのか。香港に戻って確かめてみたいところである。

1度、少しだけ会えた彼との話はこちら


テーマ:小籠包

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