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吉祥寺 井の頭公園のジンクスのはなし

井の頭公園に行くと、いろんなストーリーが頭に浮かぶ。

肩車された子どもに、ベンチに座る恋人。

パントマイムをするひとに、それを真剣に観ているひと。

仲睦まじく散歩する老夫婦。ひとりで読書する男性。

明るいうちから、近くの居酒屋からは焼き鳥の煙が出ていて、早くも宴会をするひとたち。

カフェの店員さんに、コーヒーを受け取る女性。

少し薄暗い木の下で、サックスを吹くひと。

きっと流行りのSNSに投稿するために写真を撮る若者。

花見をする団体と、ボートに乗るために並ぶひとたち。

餌を待つ鯉と、気ままな鴨たち。

どうしてかわからないけど、ここに来ると瞬時にストーリーが浮かぶ。

それだけ表情のある場所なのかもしれない。

しあわせそう。

だけど、井の頭公園には昔からこんなジンクスがある。

  ーボートに乗ったカップルは別れるー



「絶対にうちらは別れないんだから乗ってみようか。」


「そうだね!そんなの絶対嘘だもん。」


「スワンボートと手漕ぎボート、どっちが良いかなぁ?」

「じゃあ、あひる!」


「もうこの辺に券売機があると思うんだけどなぁ。」


「そうだね。」

「あった!!!」


「わっ!もうボート終了の時間まで20分しかない。」


「今から漕ぎまくって、疲れてる戻ってくるのやだなぁ。」


「また今度にしようか。」


「そうだね。」


嘘だとは思うけど、本当は乗りたくなかったんだ。
だから、また今度もボート終了間際にしか行かないと思う。

そう思う人は、少なくないんじゃないかな。


ボートに乗った人たちの結末が知りたい。

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