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追憶の中の金曜島①

 10年前、筆者はワーホリで金曜島という無人島で働いていました。真珠の養殖のアシスタントをして過ごしていたのです。最初に見た求人広告はケアンズのオーキッドプラザの掲示板です。様々な求人広告が画鋲などで木の掲示板に沢山ありました。その中で筆者が一番惹かれた広告がこの金曜島でした。海が好きだったのと無人島で働く!?すごく楽しそう!!とその求人広告から目が離せませんでした。さらに、求人の文言の中で

~一生できない経験がこの島で出来ます~

 と記されていました。この一文が筆者を動かしたのです。ただ、現実はなかなか厳しかった島の生活でした。おそらく体力的にも精神的にも人生で一番鍛えられた職場でした。途中、なんで自分はここにいるんだろうと朦朧と考えたことは何回もありました。

 島での生活はざっくり言って、寝る前の数分以外自分の自由時間はありませんでした。仕事時間というか無人島ではほとんどの時間何かしらしていたので、本当にまとまった自由時間と言うものが週7日ほとんどありませんでした。軍隊だ、監獄だと比喩したワーホリメーカーもいました。

 筆者の唯一息抜きになる時間は、朝の日記を書く時間でした。日記がなんでも話せる親友でした笑。セカンドビザと言う二年目のワーキングホリデーのビザ取得のためにもここでヘマをしたらいけない。絶対どんなに苦しくても辛いことがあってもビザはどうしても取得したいという執念がありました。また、なんとなく楽して生きていた自分をこの苦しい環境下でさらに鍛えられるのではという目論見もあったのであからさまに理不尽な事が起こらない限りは頑張ろうと決めたのも覚えています。

 島では魚釣りからボートの運転、ロープの結び方、料理、真珠の売買の管理、畑仕事、家畜の世話、馬の世話、真珠貝のメンテナンス、船の燃料の入れ替え、真珠の養殖場ツアーの手伝い…etc 

 沢山の仕事や、やらなければいけない事がありました。加えてボスがかなり頑固者なので言葉遣いや気遣いも常にしていないといけない環境でした。

仕事の他にも無人島なので、自家発電や水タンクなども一日の中で止めたり付けたりと調整したり、ゴミを燃やしたり、様々な生き物を屠殺したり、今まで経験の無かった体験を一気にすることになり、慣れるまでとても大変でした。

 腕や足は蚊やサンドフライ(クイーンズランド特有の小さな蚊)に刺されまくり、耳の中もたまに刺されていました。眠っているうちに身体中を掻きまくってしまうので下にタオルを敷いて血がシーツに付かないようにしていました。手も釣りでさびきが指に引っかかったりや魚の鋭利なヒレでよく切っていたのでボロボロ。大学の卒業式の名残りの桜の柄のネイルも、もはや魚の血か自分の血か分からないほど薄汚れていました。魚を〆るのが趣味だ!!と言い聞かせてエラに包丁をえいやーーとグサっ‼️慣れた頃にはもはや秒殺になっていました笑。

 ガソリンなどを変える時には、口で漏斗を吸ってから戻していたりしたのでたまに誤飲したりして、毒を飲んでしまったああ
(´;ω;`)死んでしまう〜と地味にパニクったりしていました笑。そんなわけで、女を捨て全力で頑張っていました。

 そして、ボスがたまに言ってくる。もういいんじゃないか?辞めても!や、お前は賢いからここでそんなに頑張らなくてもいいなどと、週に一度は仕事を諦めるような誘導尋問を言ってくる事が精神的にキツかったのを覚えています。きっと精神的強く、島の暮らしを本当に好きな人としか暮らしたくなかったのだと思います。そのたびに、いや、まだ頑張ります!!と大きな声で答えて、自分にも言い聞かせていたのを覚えています。
 
 そんなわけでワーホリメーカーが私以外全員いなくなるという時もありました。合う合わないどころか、どれだけ我慢できるか、どれだけドМになれるかが島で暮らせる条件なのかもしれないと思いました。

 また、ボスの口癖が

 死んだら休める!!で、何言ってるんだと最初は思いましたがある意味究極な言葉であるとも思いました。そして、俺は、朝は何をしよう~今日はどんなことをしよう~と思いながら起きる!楽しくて仕方がないんだ!!と言っていたのも覚えています。自分が創ったこの島を本当に好きでこうして島で生きることがこの人にとっての生き甲斐であり、美学なのだとも感じました。この時に、ボスに対して、島に対して、辛いことに対しての見方も少し変わりました。

 この金曜島で学んだ沢山のことは、いろいろなことを同時進行で行い、効率よく仕事をすることなど、今の筆者の暮らしにとても大きく影響しています。この島での経験が最初にあったからこそ、その後のワーホリ生活はは常に行動!死んだら休める!と言った気持ちでなんにでも挑戦する姿勢が出来上がっていったのだと思います。

 本日はここまで。金曜島では他にも摩訶不思議アドベンチャーな体験が沢山あるので、またその時の事を思い出しつつ書いていこうと思ったのでシリーズにしていきたいと思います。

そんなわけで今回は①とさせていただきました。ここまで読んでいただきありがとうございました✨


✳︎筆者の自己紹介✳︎



オーストラリアに所持金10万でワーホリに来てから早10年!無人島での真珠の養殖から始まり、オーストラリア全都市を渡り、ニュージーランド、カナダにもワーホリに行きました。現在はメルボルンで、ネイルやヨガ講師をしながらバリスタもしています。ワーホリについての質問などもお気軽にお問合せください🎶ハートも押してくれると励みになります♡

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