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妊婦時代を懐かしむ。ありがとう、親切にしてくれたみなさん。

出産して2か月くらい経ったある日、お子をオットに預け、1人で整体に向かった。
出産後、初めての1人でのお出かけ。

横断道路を渡る。
もう妊婦ではなく、周りからは普通の人にしか見えないから、急足で渡らなきゃ、と気がつきちょっと焦る。
妊婦の時は、お腹をかばいつつ、車に会釈なんかしながら、ゆっくり、でも少し急足風で歩いていたのになぁ。

バスに乗る。
これまでは入り口付近の優先席にさっと座っていたのになぁと思いながら、空席を横目に急ぎ奥に進む。当然の如く立つ。

たった10か月(実際にお腹が大きかった時代なんて4か月くらい)の妊婦生活なのに、ひとつひとつが新鮮に思えた。

1人のお出かけを通して、妊婦時代に見知らぬ人たちの「親切」に触れる機会が多くあったことを改めて感じた。

電車での往復の通勤時、立っているとほぼ毎回、席を譲っていただいた。
そのほとんどは女性だった。
カバンで席を確保して、ドア付近に立っている私に駆け寄り、あそこに座りなさい、と譲ってくださる方も複数名いた。
席を譲ってくださり、降りるときに、お大事にね、や、がんばってね、などと声をかけてくださる方もいた。

世の中は妊婦に優しかった。温かい気持ちに何度もさせてもらった妊婦生活だった。

こんなこともあった。
混雑した電車内。優先席に座っていたときに、足の悪いおばあさんが乗ってきた。優先席には私の他に、若い女性とおじさん。
足の悪い方の前には若い女性が座っていたけれど、携帯をしていて気が付かないのか、気がつかないふりが、はたまた具合が悪いのか。まぁわからないけど、譲る気配なし。
その隣のおじさんも立つ気配なし。

ちょっと様子を見ていたけれど、状況変わらずだったので、おばあさんからは少し距離があるが、元気な妊婦の私が席を譲ろうと席を立とうとしたら、「あなたは座ってなさい。」と隣のおじさんが私を制して立ち上がり、足の悪いおばあさんに席を譲ってくれた。
その言い方や表情がなんとも忘れられない。きっと、私と同じようなムスメをお持ちなんだろうな。親戚のおじさんに言われたような、そんな気持ちになった。

親切にしてくれた皆さん、どうもありがとう。
おかげさまで無事に子を産み落とし、順調に育ってくれています。
親切にしてくださったみなさんに、直接お礼はできないから、「優しさ」を私も誰かに還元していきたいと思います。

あのみんなの温かさが懐かしくて、またお腹の大きい時代に戻りたいな、なんてちょっと思ってしまう。


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