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刺繍の詩集『いろはにほへ木』(いろはにほへもく)

自分の「好きなこと」が、
なにより自分自身を助けてくれる。

それは本当なんだ、と
あらためて知ることに
なりました。

………………………………

ちいさな詩集をつくりました。
「木」をテーマにした刺繍と詩を
組み合わせた詩集です。

こちらの刺繍、
担当は「美糸(みいと)」さん。
と言いましても、私の母ですが。

母は2019年12月、
70歳を目前に脳出血で倒れ、
右半身に麻痺が残り、
車椅子生活になりました。
デイサービスには行かないというので、
訪問リハビリを受けていましたが、
そのうち、こちらもやめるとのことで…
家にいて自分でできるリハビリを、
自分で考えてやってもらことにしたのです。
優しいんだか優しくないんだかな娘の私は、
できる家事はどんどんやってもらうことに
しました。
洗い物も掃除も、洗濯物をたたむのも、
家事は何よりのリハビリになる気がして。
母は右利きでしたが、全てのことを
左手でやることになりました。
そんな中、編み物や刺繍を
やってみることにしたのです。
おかげに、手芸というのは、
素晴らしい力を持っているということを、
知ることになりました。
編み物も刺繍も、
右手から左手に針を持ち変えて
やり始めたのですが、
もうこれ以上は動くようにならないと
言われていた右手が、手芸をやる時は
左手の補助を自然にやり、
「右手だって動きますよ」と、
少し、いや、だいぶ動くのです。
もうひとつ、とても大事だったこと。
それは「好きなこと」だったこと。
母は、編み物も刺繍も縫い物も、
以前から好きだったのです。
「好きなこと」が、
体も心も動かしてくれる、
自分を助けてくれるということ。
それを、あらためて
知ることになりました。

優しいんだか優しくないんだかな娘は、
毎月図案を描くとき、
母が利き手でない左手で刺繍をすることは、
すっかり忘れて図案を描きます。
図案を渡された母は、毎月
「むずかしい」と悲鳴をあげつつ、
それでもこの頃は、
「次は何?」と、
なんだかたのしみになってきた
ようです。

「木」をテーマにした刺繍は、
毎月ひとつずつ…
イチョウ、ロクロギ、ハナノキ、
ニワトコ、ホウノキ、
ヘビノボラズ、トチノキ。
「いろはにほへ」…
「と」まできました。
美糸さん担当は「ろ」からです。

この先どこまで行けるのか?
「えひもせす、ん!」まで、
最後までお互い行けるのか⁈
わからない…ので、
「いろはにほへと」までの
7編を集めたちいさな詩集を、
いったんつくりました。

眺めたり、読んだり、
切ってポストカードにしたり、
飾ったり、お友達にあげたり…
自由自在に使っていただきたくて、
あえて綴じずにつくりました。

絵も詩も、
ご飯を食べるのと同じように、
暮らしの中に一緒にいるもの。
暮らしの中で使うもの。
あなたのそばで、
あなたの今日を、
少しばかりおだやかに、
たのしくできたなら。

紙は、
素敵な風合いを持つ、里紙。
デジタルは、速くて手軽で、
便利で無料で…良いです、本当に。
そんな中、あえて紙。
紙、だからこその、
紙、にしかない、
愉しみ。
紙って実は、ライブ。
紙のライブ感…
あるような気がします。

もしもご興味わきましたら、
紙だからこそを、ぜひ。

『いろはにほへ木』刺しゅうと詩と。(B6サイズ・7枚セット)
「トチノキ」(刺繍の詩集『いろはにほへ木』より)
〈2024年4月10日〉より、みいふう書翰オンラインショップにて販売いたします

「刺しゅうと詩と。」は、
毎月発行の【みいふう書翰便】の中に
同封されている絵と詩のひとつです。
「ち・り・ぬ・る・を…」と、
この先も続いていきます。
もしも気になりましたら、
毎月発行の【みいふう書翰便】も、ぜひ。

「を」!…どうしよう…

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