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誕生日×インフルエンザ×ケーキ。

11月25日。
私の54歳の誕生日だった。

数週間前から、娘があれやこれやと計画を立ててくれていた。
お母さんがやりたいこととか、ない?と毎日残業して帰ってくる娘が質問してきた。
ありがたい。
社会人になった娘の、自腹でなんとかして私の誕生日を祝いたいんだという気持ちが嬉しかった。
やったことのないネイルとか、
行ったことのない猫カフェに行ってみたいとか、
提案するたびに調べて情報をスマホに送ってくれた。

そんなワクワクドキドキな日々を過ごしていた矢先、夫が熱を出して早めに帰宅した。
21日夕方だった。
たちまち具合が悪くなり、その日の夜はいつもより酷いいびきと唸り声が一晩中続いた。
隣で寝ている私は一睡もできずに翌朝を迎えた。

22日の朝、夫は38.7℃の熱。
申し訳ないが、私も娘も仕事があるから出勤しなければならない。
夫には発熱外来の受付をしている近くの病院の情報を伝えて、検査してもらうようにお願いした。
しんどいところ動くのは大変だろうけど、翌日23日は祝日で病院はお休みだから、今日検査してもらってねと。
今は発熱や風邪の症状だと病院に診てもらうのも一苦労だ。
37.5℃以上発熱していないと診てもらえない発熱外来。
発熱している場合、診察しませんという病院。
発熱や咳鼻水などの症状があったら必ず事前に問い合わせてくださいと言うのが当たり前である。
高熱で寝込んでいる夫をおいて、娘と私は出勤した。

その日の夕方から私の様子がおかしくなってきた。
から咳が止まらず、痰も出てきて寒い。
これはうつってる。
ろくに寝ていないし。
いつも飲む栄養ドリンクが全く効かなくてとにかく眠かった。
職場の人にうつさないよう、咳が止まらなくなったら外へ出て落ち着かせたり、自席をアルコール消毒したりして帰ってきた。

帰宅後、夫は病院へ行かずに寝ていたと。
朝、近くの自販機でポカリスエットを買って置いておいたのを飲んだだけだと。
夫はコロナなのかインフルエンザなのかまた別のものなのか。
不安なまま、私も発熱。
まだ微熱のうちにお風呂に入っておこうと入浴したが、体を洗うのも面倒なほどになっていた。
娘だけでもうつってほしくないと隔離していたが、狭いアパートと夫の容赦ない咳はあっという間に娘まで感染させた。

23日朝。
私は37.8℃。
ただただしんどかった。
娘は出かける予定でいたが、体がソワソワしておかしいと様子を見ているうちに微熱が出てきた。
外出せずに正解だった。
比較的元気なうちに娘に洗濯などを任せた。
私もご飯を食べる気がしなくてポカリスエットと水ばかり飲んでいた。
23日は祝日だから、私の検査も諦めた。
だが自宅にコロナの抗原検査キットがあるのを思い出し、私だけ検査をしてみた。

陰性。
自分でやる検査はあまり信用していなかったけど、コロナの可能性が薄れてホッとした。
あとはインフルエンザか。
その日の夜、とうとう娘も発熱。
38.7℃。夫と同じだ。
家族で私だけインフルエンザの予防接種をしていた。だから私だけ38℃を超えなかったのだろうか、だからインフルエンザかもしれない。
そう思いながらお風呂にも入れず寝ていた。

24日。
娘の高熱が続く。
夫は熱が下がりおかゆを食べられるまでに落ち着いてきた。
私は37.1℃まで下がっていた。
娘を発熱外来に連れて行くためあちこち調べた。
かかりつけの病院が臨時休診だった。
仕方なく近所だが初めての病院に問い合わせ検査してもらうことができた。
結果、インフルエンザA。
解熱剤とタミフルが処方された。

と、言うことは、3人ともコロナではなくインフルエンザA罹患だったのか。
娘はすぐにタミフルと解熱剤を飲んで、少し楽になったタイミングで買ってきたゼリーを食べていた。
3人とも酷く咳が出た。
特に娘の症状はつらそうだった。
喉の痛み、咳鼻水、耳の痛み。水もうまく飲めないくらい喉の痛みが酷かった。
私は短い時間で食料や飲み物を買いに行った。
だが下がったと思っていた熱がまた上がり始めた。
夕方は上がりやすいしインフルだと繰り返し波がやってくるのを経験上分かっていたからやっぱりなぁと。
夫と私はインフルエンザだとしてもなんの薬も飲まずに過ごしてきていた。

25日。
私の誕生日で、田舎の家族やお友達からお祝いメッセージが届いた。ありがたい。この年になっても祝ってくれる人がいるなんて。
その度に「今日はケーキはお預けだなぁ」と言いながら返信していた。
元気になってから食べれば良いんだし、特に食べたいとも思わないし。
娘の熱以外の症状が酷く、私も咳などが辛かったため、かかりつけの病院へ問い合わせてみたところ発熱外来の枠で診察してくれると。
これはありがたい。インフルエンザと分かっていても診てくれると。
夫も診てもらうか聞いてみると、俺はいい、と。
人には会わないけど職場に行ってこなければならないからちょっと出てくると。
夫は熱が下がり咳だけしていた。ただまともなご飯は食べられずおかゆばかり作って食べていた。私も娘もまだおかゆだけ。油を使ったものはもってのほかだった。
娘と私の予約をして、お昼過ぎの発熱外来時間に診てもらうことになった。

発熱外来枠の患者は、外で待機。病院の中には入らず受付も全て外で済ませた。
私は微熱があったがだいぶ元気になっていた。
ただ自分が検査していないことも気になっていたし、酷い咳とお腹の調子の悪さ(緑の下痢便と胃の不快感)があった。
娘は喉の痛み、鼻水、咳、耳の痛み少し。
それぞれ弱いところに強く症状が出るものだ。

外で順番待ちをしている時、夫から家族グループにメッセージが入った。
「今、ケーキ屋にいるんだけど、適当にケーキ買って行くね」
え、ちょっと待って。
誰がケーキ食べたいって言った?
今日はいらないでしょ。
娘が咳き込みながら返信をしようとしたら、診察の順番が回ってきた。
先生がビニールだらけの体で外まで来てくれて、問診スタート。私は時間が経っていたが検査してもらえるとのことで、職場にもお伝えする手前検査してもらった。薬も処方してもらった。
続いてすぐに娘の問診。飲めない薬があるので娘が思い出せずにいたので私が答えた。症状が辛かったので色々な薬を処方してもらった。
私の検査結果を待っている間、夫に返信しようと思ったら、すでに時遅し。
メッセージを打つより電話しないと、と娘が電話して確認すると
「買ってきた」と。

えー、誰が食べるの?
いつ食べるのよ。
誰1人今の時点でまともなご飯を食べられないでいるのに?
いつもケーキなんて買ってこないじゃないか。
私の誕生日のケーキはほとんど私が買ってきてたじゃないか。
なんでこんな時に限って、勝手に買ってくるの?
私たちが帰ってから買いに出ても遅くないでしょ。
ケーキはいつでも食べられるんだから。
今日は無理なんですけど。。。

私より調子の悪い娘は絶句。
自分の返信が間に合わなかったことへの罪悪感にさいなまれていた。
いやいや、違うよ。娘は悪くない。
夫の気持ちは分かるよ。
ありがたい、そうだよ、私の誕生日だもん。
誕生日と言えばケーキだもんね。
でも、今、私が喜ぶと思う?
まともなご飯も食べられないのに油だらけのケーキは無理。
明日だって食べるの躊躇するよ。
自分だってそうなんじゃないの?
唐揚げ食べられるくらいまで回復してからケーキでしょ。
まいったなぁ。。。

病院の会計を外で済ませ、薬局の順番は車の中で待ち、電話で薬の説明を受けて、車まで薬を運んでもらい、その場でお会計。徹底してる。助かった。少しでも早く症状が楽になる。ありがたかった。

帰宅すると夫はお粥を作って食べていた。
なんて言ったら良いのか分からずにいたが、買ってきたケーキは冷蔵庫に入っていてそれを見て言った。
気持ちはありがたいけど、このケーキいつ誰が食べるの?どうするの?
そう聞くと
「じゃあいいよ!」
「いいよってなに?」
「捨てればいいじゃん!」
と、怒っていた。
捨てるって言ったって、、、。
夫は「ホールケーキ」を買ってきていた。
困った。ろうそくまでつけて。

「申し訳ないけど私は今日このケーキは食べられないからね」
「…」

私はインフルエンザで胃が荒れていて気持ち悪かったが、ケーキを冷凍することを思いつき検索した。
果物と分けて冷凍するといいとのこと。
解凍時に水分が出るから。
面倒だったが、ホールケーキの上に乗っているイチゴとブルーベリーをとりクリームを拭き、ラップに包んで別にした。
ケーキは箱ごと冷凍庫に入れた。
冷凍食品をあまりストックしていなかったのが幸いだった。

それからケーキに触れることなく、3人とも仕事に復帰。
普通にご飯が食べられるようになるまでに回復した。
30日朝。
「ケーキを解凍するので今夜食べてください」
と2人にお伝えした。
いつまでも冷凍庫半分近くをホールケーキに陣取ってもらっても困るため。

凍らせたイチゴを解凍して食べるのはお勧めしない。いっそ凍ったまま牛乳や豆乳と一緒にミキサーにかけてしまえばよかった。
半解凍のケーキは大丈夫だった。幸いにしてスポンジの間にフルーツが挟まっていなかったから、ぐちゃぐちゃにならずに済んだ。

夫は
「申し訳ないねえ」
と、当分にカットされた(私がカットした)ケーキを食べながら1度だけ言った。
私は、何にも返事をしなかった。
返す言葉が見つからなかったから。
ありがとうでもないし、別にいいよでもないし、やってくれたよなぁでもないし、捨てなくてよかったでもないし。
気持ちはありがたかったのですが、モノを送る時って、本当の気持ちが出るモノだなぁと。
モノにも気持ちは感じられるし、乗っかってくる。
今回は改めて、そう思った。
自分は気をつけようと、勉強になった。
エゴに走らないよう、タイミングを間違えぬよう、相手に不快な思いをさせないように。
夫には申し訳ないが、勉強になった。

あの時はケーキより、ポカリ1本の方がとってもありがたかったんだよなぁ。
そんなことは、本人には言わないけど。
求めても、しょうがないし。

なぜケーキだったのか。
きっと誕生日を祝いたい、という夫の気持ちの表れなんだ。それは私が軸となるのではなく、夫本人の軸で「祝いたい」と。
お祝いするのは自分のためではなくその対象者のためだと私は思うのだが、今回の夫の行動は、夫自身を満たすための行動だったのではないかと感じてしまう。
だから、素直には喜んで受け入れられないのだ。
夫には申し訳ないが。

今夜はリベンジで、娘が一緒に夕食を外で食べようと誘ってくれた。
夫は忘年会で今夜はいない。

色々あったがそれぞれ気持ちはありがたい。
無事にまた一つ歳を重ねることができて、周りの皆様に感謝だ。
ありがとうございます^_^

色々と思い出に残る誕生日となりました(笑)。

最後に愚痴らせてもらうと、
夫は仕事関係の方から電話が来るたびに、
「俺、インフルエンザだから会社に行けないんだよ。A型だし。」
とやたらとインフルを連発していた。
だけど、検査していないのは夫だけ。
正しくは
「家族2人が検査して2人ともコロナではなくインフルエンザAだったから俺もそうかも」
でしょ。
娘がたくさんの薬を処方してもらったのを見て、
「俺が飲んであげようか」
って言ったのを聞き逃さなかったよ。
おかしいよね。
突っ込みすぎると嫌になるから(笑)。

咳がちゃんと治るまで、無理せずに過ごしたい。
どうか皆様、お気をつけてお過ごしください。









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