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舞闘技カポエイラの漫画「バトゥーキ」−ビリンバウという不思議な楽器

以前、「音楽系漫画まとめ10選」というnoteを書きました。

この中の、迫稔雄の「バトゥーキ」を7巻まで読んでみました(2021年3月時点で10巻まで出ています)。絵が独特で好みが分かれるかもしれませんが、面白いです。

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バトゥーキ
『嘘喰い』の迫稔雄が送る最新作。『週刊ヤングジャンプ』2018年31号より連載開始。ブラジル発祥の文化で、格闘技と音楽とダンスの要素があるカポエイラをテーマにした新感覚格闘音楽漫画。

中学校に進学したばかりの三條一里は、満月を見るたびに何故かなにかに縛られるような、一人で取り残されるような、不思議な感覚に囚われていた。そんな中、不思議なホームレスの男メストレと出会う。踊りとも音楽とも格闘技ともつかぬ不思議な体術を操るメストレの動きに、自分の事を解放してくれるかのような魅力を感じる。メストレと知り合ってしばらく経ったある日、両親が「自分達は一里の本当の両親ではない」と話しているのを聞いてしまう。

なんといっても「カポエイラ」というものがあまり身近ではないので、こんな文化があるのか〜という発見がありました(名前は聞いたことあったけどよく分かっていませんでしたので!)。迫さんが本当にカポエイラをやっているようです。

実際のカポエイラの動画もYouTubeにいろいろとあがっています。こちらの動画が分かりやすかったです。

この動画で選手の後ろに青い服を着た人たちがいますね。彼らが持っているのが楽器です。こうやって音楽に合わせて踊り戦う格闘技が「カポエイラ」。その発祥はブラジルの奴隷たちだったそうです。

今日はこの「バトゥーキ」にも登場するカポエイラで使われる楽器”ビリンバウ”について調べてみました。

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↑これがビリンバウ。ブラジルの民族楽器で打弦楽器の一種です

構成

ビリンバウは以下の6つで構成されます。

・長い棒:ヴェルガ
・ヴェルガに張る弦(針金):アラーミ
・ヴェルガとお腹に挟まれた丸いひょうたん:カバッサ
・アラーミを弾くバチ:バケッタ
・アラーミに押し付けて音を変化させる丸型の金属片:ドブラゥン
・ラタン製のカゴの中に植物の種が入ったもの:カシシ

アラーミをバケッタで弾いて音を出す、原始的な楽器です。カバッサは共鳴器として、ドブラゥンは音程の調節の役割を持っています。カシシは単体でマラカスのように振って使われることもあるようです。

また、ハーモニーを奏でるために音の高さの異なる3本のビリンバウを用いるのが一般的。最も低いものをグンガ、真ん中のものをメジオ、一番高いものをヴィオラと呼びます。音の高さはひょうたんのカバッサが小さいほど高くなります。

リズム(トーキ)

ゲーム(ジョゴという)のスタイル、輪を作ってやるカポエイラの集会(ホーダという)の状況、そのホーダのリーダー(主にグンガを弾く者)の意向によって、様々なトーキが使い分けられます。

【サン・ベント・グランジ・ジ・アンゴーラ】
古くから伝わるリズムで代表的なトーキです。主に、ハーモニーの高いところを担うヴィオラで弾かれ、早いテンポで弾かれる事が多いそう。コンテンポラニア(≒現代のカポエイラ)で使われることも多いです。

【サン・ベント・グランジ・ジ・ビンバ】
サン・ベント・グランジ・ジ・ヘジョナウとも呼ばれる。カポエイラのうち、「カポエイラ・ヘジョナウ」の創始者であるメストレ・ビンバのアカデミアで使われていたもの。早いテンポで弾かれることが多いリズムです。

他にも、サン・ベント・ペケーノイウーナサンタ・マリーアカヴァラリーアなどがあります。

(カタカナ多くて覚えるの大変ですね(笑))

日本人のビリンバウ奏者

ビリンバウで検索すると海外の方の動画や日本のカポエイリスタ、カポエイラ教室の先生などの動画がたくさん出てきます。ですが、日本人ビリンバウ奏者の方もいらっしゃるようです。

【渡辺亮(わたなべ りょう)】
武蔵野美術大学卒のパーカッショニストです。現在は東京学芸大学非常勤講師もされているみたいです。渡辺さんは在学中からブラジルのパーカッションを中心に音楽活動を始め、ビリンバウの使い手として知られています。2016年にはテレビ朝日「題名のない音楽会」小野リサ、上妻宏光、『ボサノヴァを愛する音楽家たち』にビリンバウで出演し、2019年にはNHK Eテレ「ムジカ・ピッコリーノ」にも出演。私が知らなかっただけで、とってもご活躍されています。

↑演奏は50秒あたりから始まります

【白河理子(しらかわ・りこ)】
タレント、作家、コラムニストの白河さん。バレエ音楽、ジャズやブラジリアンミュージックに傾倒し、ピアノ・フルートに加えビリンバウも演奏されるそうです。2010年には「ジャズライブハウスレストランガイド」(ヤマハミュージックメディア)も出版されており、音楽への造詣が深い方のようです。


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今回は主に下記サイトを参考にしました。カポエイラの歴史はとても複雑です。詳しく知りたい方は参考にしてみてくださいね〜。
▼ビリンバウ入門
http://www.urucungo.org/index.html
▼用語解説
http://capoeira-jp.com/yogo/a.htm


「バトゥーキ」はKindleで試し読みもできます。

▼コミック(楽天)

https://hb.afl.rakuten.co.jp/ichiba/1d882045.73e453cd.1d882046.402ecf81/?pc=https%3A%2F%2Fitem.rakuten.co.jp%2Fbook%2F15749211%2F&link_type=hybrid_url&ut=eyJwYWdlIjoiaXRlbSIsInR5cGUiOiJoeWJyaWRfdXJsIiwic2l6ZSI6IjI0MHgyNDAiLCJuYW0iOjEsIm5hbXAiOiJyaWdodCIsImNvbSI6MSwiY29tcCI6ImRvd24iLCJwcmljZSI6MSwiYm9yIjoxLCJjb2wiOjEsImJidG4iOjEsInByb2QiOjAsImFtcCI6ZmFsc2V9

▼電子書籍(楽天)

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(権利関係がこわいので記事見出しにはみんなのフォトギャラリーを利用することが多いのですが、こういうマイナーな楽器の写真やイラストがないので、誰かつくってくれるととってもうれしいです!笑)

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